「テンポと間が絶妙な映画でした」ブラック校則 たきさんの映画レビュー(感想・評価)
テンポと間が絶妙な映画でした
面白い映画でした。ドラマ、Huluを3話まで視聴して、公開初日へ映画館へ行ってきました。1話のあのシーンが、このシーンの伏線なっていたんだ!と思うところが多く、よく見ないと気づかれないような小ネタも多く散りばめられていて、まず制作陣の愛と熱量を感じました。
予告やタイトル、ティザーにあるように、メッセージ性が強いストーリーとなっていて、ただの単純な青春ストーリーではないと感じました。と、同時に、すごく普通の青春ストーリーにも感じました。それぞれが抱える悩みや葛藤がとても等身大で、そんな状況を打破するための魔法の力が出てくるわけでもなければ、殺人や推理などのサスペンス要素もない。ただみんながそれぞれの場所でそれぞれの人生を精一杯生きているんだというすごくシンプルなことを、改めて思い出させてくれました。私はもう社会人であり、なにかルールやフローを変えるには予算や、効果を表すKPI、その後の損益比較などなど、自分の感情一つで気軽に行動ができない。でもこれは私がお金という対価をもらって労働している以上仕方ないことだし、そうでなければいけないことだと思う。ブラック校則には学生にしかできない自由と、行動が描かれていた。徹底的に学生目線のだからこそ、時にくだらなくも感じるし、歯痒い思いもする。でも、いつまでも人は子供でいられないから、その刹那な瞬間を全力で生きている姿にぐっと来ました。
また要所要所に流れる音楽が非常に美しく、重厚な音色はどこかパイプオルガンを彷彿させ、私には宗教音楽のようにも聞こえました。日本には神道という”神様”に対する信仰がある。この世のすべてのものは神様から生まれてきたものであり、そこに存在している私たち自身が何にも代え難い尊い存在である。私はこのブラック校則にそんなテーマを感じました。僕はここで生きている、ここで生きていいんだ。誰もがそれぞれの美しさを持ってる、茶色い髪、声、悲しみを隠す笑顔、一人で立てない足。同じものは2つとなくて、誰も自分の代わりはできない。エンディング曲であるSexyZoneの”麒麟の子”の歌詞に「We're Wonder Child!」という歌詞がある。まさに、これ!この曲がこの映画のエンディング曲で本当に良かったと映画館で感じました。
役者陣もとても良かったです。ものすごく華がある役者さんが出演していたかと言われると、正直そうではないが、非常に勘のいい演技をする方たちが多く、演出家さんの意図をとても丁寧に汲み取っているのだろうなと感じました。特に主演の佐藤勝利くんと高橋海人くんの対応力の高さはさすがジャニーズとい思いました。そんな絶妙な掛け合いとテンポの中で一人存在するモトーラさんの存在感がすごかったです。キャスティングについては納得の◎。やっぱりオリジナル映画はいいなと思いました。
ドラマ、Huluは今後も配信が続きます。映画の中で不可解だった数字や演出がまだまだあり、ドラマを見終わったあと必ずもう一度映画館へ足を運ぼうと決めています。
私はこの映画にとても宗教性を感じましたが、この作品のいいところは全体的に余白が多く、見る人の年代や現在置かれている状況などでいろんな感じ方ができるところだと思います。私自身、鑑賞後は、あぁそういう見方も面白そう!とレビューサイトを読み漁って楽しんでいます。ぜひ映画館へ行って、多くの方に多くのブラック校則を感じてもらいたいなと思いました。