劇場公開日 2019年9月6日

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ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺんのレビュー・感想・評価

全44件中、41~44件目を表示

4.0輪郭線を捨てて描かれた冒険物語

2019年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

少し前のフランスのアニメ作品だが、ようやく日本語版が見れるようになった。
原題は、北極点という意味で「地球のてっぺん」。
ストーリーは1880年代前半だが、史実では、人類が北極点付近に到達できたのは、20世紀に入ってしばらく経ってかららしい。
ロシア貴族の若い女性サーシャが、北極点を目指して消息を絶った探検家の祖父の“名誉”と、失われた砕氷船を取り戻すために、「長い旅路」へ向かう・・・。

アートの面では、自分はパッと観て、1920~30年代の商業ポスターを思ったが、1940年代の鉄道会社のポスターからインスパイアされたそうだ。
輪郭線をあまり描かず(描いても黒い線は使われない)、かつ、版画のようにベタ塗りの色面で構成していく。(最初は線で起こすとしても、線画の線を最後に抜くという発想法では、こういう絵柄は作れないと思う。)
その代わり、2次元的な陰影は一つ一つ丁寧に付けており、光と影のコントラストは美しい。
原色はほとんど使われず、パステル的な少し濁った中間色が使われているが、北方の風景を描くのには効果的だ。

「シンプルな画風」とか「ミニマム」などと、ちらしに書かれているが、自分はそうは思わなかった。映像表現だけとっても、必要十分なクオリティをもち、予算不足や表現不足など一切感じない。
輪郭線を捨てたことで、豊かな表情やキレのある動作といった、マンガ的な表現は制限される。しかしその代わりに、フレーム一つ一つが、そのまま版画やポスター画であるような世界が実現している。
そもそも、“おとぎ話”には写実性は必要とされない。「髪の毛1本1本」が描かれなくても、「風に合わせてなびく髪」であれば良い。
また、音響表現がイケており、絵の写実性の不足を補っている。流氷のきしむ音や割れる音には、息をのむ。

ストーリーは、見かけによらず、フランス映画らしからぬ(?)ほど、かなりご都合主義だし、ハリウッド的でもある。
正直、「ありえない・・・」なのだが、スッキリとまとめ上げていることも事実で、“おとぎ話”と割り切った方が良さそうだ。
主人公のサーシャの絵柄は“カワイイ”が、声は低くハスキーで、“しぶとい”キャラに合っている。
大きなスクリーンと、素晴らしい音響で観ると、より楽しめる映画だと思う。

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Imperator

4.5素晴らしかった

2019年9月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

かつての東映動画や日本アニメーションから失われた、少年少女の冒険譚「漫画映画」であり。
名作劇場を筆頭にした旅における少女の成長譚であり。
女性の自立を描いた作品であり。

わんぱく王子、ホルス、三千里、ペリーヌ、未来少年コナン、かぐや姫など、高畑宮崎のテイストが受け継がれたような純粋さ。シンプルさ。

鮮やかな色彩と、繊細な表現で綴られた、実に夢溢れるアニメーションの面白さが詰まった、宝物みたいな作品でした。

観終わってすぐは満足しすぎて、「すごーい」「きれーい」「面白い」と、語彙を失った感じになりました。

控え目に言って最高でした。

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コージィ日本犬

4.0南極よりも遠い場所

2019年8月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

TAAF2016・長編コンペティション・グランプリ受賞作

遭難してしまった祖父を探す為、過酷な北極点を目指す孫娘の物語、
荒くれた海の男達の男気と優しさに交しながらの成長譚も良く表現されてます。

人物作画は輪郭線を省く独自の手法、背景はベタ塗りの彩画。

この背景美術は目を瞠るものが有り、
行く手に立ち塞がる氷河、崩れ落ちる氷山、弄ばる帆船の動き等々、壮大さに感銘しました。

劇場の大画面で観るべきアニメーション映画です。

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褐色の猪

3.0英語題名+フランス語題名

2019年8月1日
PCから投稿

楽しい

単純

幸せ

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Naaki