ミッドサマーのレビュー・感想・評価
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映像美と見てはいけないもののコントラスト
ヒットの要因はその辺りの匙加減が絶妙だったからだと思う。姦通儀式での若く美しい赤毛の娘の裸体と臨席している女たちのだらしない身体の対比などはその象徴。これで、ハッピーエンドだったら、さほど話題にもなっていなかっただろう。
救いがないので見終わった後の後味の悪さといったらない。また、R15+指定作品というと、過激な性描写かグロテスクなバイオレンスシーンが含まれている事が対象になるようだが、この作品はその二本立て。エゲツなさはハンパない。
どことなく、グリーンインフェルノ(R18+)に通じる雰囲気を感じさせる作品だが、グロさではこちらの方が上かも知れない。
そういう意味では稀代の問題作と言えるのではないだろうか?
理不尽でなにが起こるかわからない時代だから
ホルガへようこそお越しくださいました!
新たな血と新たな女王
衝撃だった。彼らはカルト集団なのか、極めて純粋な伝統継承者たちなのか。あまりにも開放的で牧歌的な風景がそれをぼやかしてしまうほど、狂信的で盲目的。冷静に見つめれば、これはスウェーデンのいち山村の出来事なのではなく、多少形を変えながらも世界中にある(いや、かつてあった)風習なのではないか。アフリカでだって、アジアでだって、そして日本でだって。むしろ日本を舞台にして焼き直してみれば、ごく自然に物語が生まれるんじゃないかとさえ思った。
祭事は、人間の思考とは関係がなく、何かの意図に添って行われていく。老人は、老いてゆく苦しみよりは、自らの命を与える。それを見送る村人たちもそれを当たり前のように笑顔で見届ける。そして時折、よそから新しい血を迎える。似つかわしくないものは排除され、選ばれし者には同化を強要しながら。
なんておぞましいのだ。姿が見えないのに赤ん坊の泣き声がする不気味さが、その気分を駆り立てる。不穏な音楽に、不穏な空気。なのに幸せそうに村人たちは笑っている。これはきついなあ。感情を揺すられたことを評価の対象とすれば星数は増えるが、嫌悪をマイナスに査定するとなれば、数は減る。差し引いて、プラマイゼロ。
ジョシュが根尾くん(中日)にしか見えない
友人の誘いで旅行に行ったスウェーデンで田舎の因習に巻き込まれるという話
最初の感想はジョシュが中日の根尾くんに似てる笑
インテリなところからもNEO7にしか見えなかった笑笑
しかしなかなかの胸糞映画でした
スタートからダニーがクリスチャンに負担かけまくりだったから僕はクリスチャン側の見方しちゃったからかもしれないけどダニー側の見方をすれば印象も変わるのだろうか
田舎の因習って部外者には理不尽な場合もあるんだけどそれがホラー映画によくあってる
本当は犬鳴村にもこういう味付けが欲しかった…なんて思いながら観てました
いろいろムカつきながらも雰囲気にどっぷり浸かりながらしっかり楽しめました。ディレクターカットも観たいなぁ
A24はトップが交代して・・・
勝ちに不思議あり、
負けに不思議なし。
は、
故野村克也氏の言葉。
映画の興行に当てはめると、
大ヒットに不思議あり、
惨敗に不思議なし。
本作のコロナウイルスにも負けないヒットに関しての不思議を2点ほど。
1 疑い
現実の世界から一周まわったセカイ。
ヘレディタリーを観た時に、
近々、こういう作品を撮るんだろうという予感はしていた。
周りの20代前後のグループが、
ケラケラ笑いながら観てたので、
健全な感覚に少し安心した。
絶望の淵に立たされた人にとって、
気にもとめてくれない法律や、
見て見ぬふりをするルールなんて、
追い込まれる素材に過ぎない。
全員でこちらを気にかけてくれる人たちが、
独自のルールで集団生活をしていても、
合法ではない死生観を持っていても、
目の前の現実よりも、
そちらに希望を見出すケースがあっても不思議ではない、いや不思議、ん?不思議ではない。
ひと昔前までは、少なくとも日本の一部の村社会では、子どもに対しても普通に行われていた風習。
と考えれば一定の人数の共感するであろうひとたちはSNSの騒がれ方に興味シンシンで映画館に行く。
2 悟り
珍品(セカイを内容にしている)は忘れた頃にヒットする。
ベルイマン(ベルイマンはまともで、別枠ですが、一応、作品の性質上、入れておきます)パゾリーニ、ホドロフスキー、リンチ、トリアー、ハネケ他、一定の周期で論理的に理解不能な、予想外の珍品がヒットするタイミングがある。
ヒットの大凡の流れは、
意識高い系映画→スピリチュアル系映画
→宇宙難解系映画→おバカ系映画→ウェルメイド系映画→意識高い系・・
と流行り廃りを繰り返してきた。
そんな流れの中でアクション大作がブームになり、ヒューマニズム映画が騒がれ、
そして世界が疲れてる時にスピリチュアル系珍品映画がブームになるような気がしないでもない。
最後に。
古今東西で様々な人々に石を投げられ、
足蹴にされてきた【イノセンス】を、
ドアの向こうから声が聞こえてくるような映画館ではなく、いわゆるメジャーといわれるようなシネコンでエンターテインメントとしてアップグレードさせる体に持ち込んだのは一定の評価があってもいいと考えます。
最後の最後に。
上記の監督たちよりは、純粋マジメ野郎または、それを装う事に長けた人なんだろうなアリ・アスター。
A24はトップが交代して、
カロルコやミラマックスのようになってしまう気配ですが、もう少し踏ん張って欲しいです。
マルパソのようにファンドとは一定の距離を置いて、なおかつ集金力がある広告塔のヒーローが必要なんてかなり現実的にはハードルが高いでしょう。
ビョルン・アンドレセンにおどろきました。
好みがわかれる
幻惑的
共感する必要はない。
まず映画鑑賞に共感は必要ないと感じる。
理由として共感させる為に作られていないから。よく共感できなかったというレビューがあるが「?」である。感情移入したいのであれば、感動する映画を観れば良いだけの話であるし、この映画が、その様な性質でないことは観る前から分かることである。
どちらを選ぶか。
それよりも、通常版とディレクターズカット版のどちらを選ぶかという問題は、中だるみを避けたい人は前者を、知りたがりの人は後者を選べば問題ないと思う。知りたがりの筆者は、中だるみしながらも通常版より23分長いディレクターズカットの方を選んだ。大は小を兼ねるという理由で。
映像について
ストーリーよりもイメージが強い印象がある。含蓄のあるセリフや驚くべきプロットや伏線はなくて、むしろ強烈なイメージが先行する感じだった。いわば、美術館でショッキングなインスタレーションが部屋を移る度に現れる様な感覚、もしくはパフォーマンスアートとを交互に見せられるような感覚とも言うべきか。しかしショッキングと言っても、10中5くらい。生易しいほう。しかし、耐性がない人は5中5、つまりMAXになってしまうので要注意。筆者は少し狂っているのかも。
北欧は良いところですよ
アリ・アスター監督のデビュー作「ヘレディタリー継承」を観たとき、孤高の奇才アレハンドロ・ホドロフスキー監督の「エルトポ」を見た時の衝撃が蘇りましたが、今回のミッドサマーも期待を裏切らない素晴らしい出来です。冒頭からエンディングまでヒリヒリするような映像と効果音と象徴的なタペストリーや村の建造物などじっくりと味わって鑑賞しました。まあ話は北欧(設定はスウェーデンだが実際には予算の問題でスウェーハンガリーのブダペストで撮影)の人里離れた古くから続くカルト教団に観光気分で訪れたアメリカ人達が酷い目にあうというありがちな話ですが、じっくりとアリ・アスターワールドを楽しむことが出来ました。72才の老男女のアッテストゥパンの儀式、鶏小屋の中で翼を広げた鳥のように吊り下げられたサイモンの残虐かつ凄惨な姿、殺されたマークがバカっぽい帽子をかぶり顔面の皮を失いもはや誰か判別不可能な姿、近親相姦の末に誕生し障害を抱えたルビン、数字の9と13、そして熊などなど、。ディテールやカメラワークなどすべてが素晴らしい。メイクイーンらしからぬダニーの田舎っぽい感じや、すごく優しくて良い人キャラだが悪の根源、ペレ。そして極めつけはいろんな意味でふんだりけったりのダニーの恋人クリスチャン。同情してしまいます。もう何度か観たい映画です。
美観と恐怖
見せつけられる集団ヒステリー
こういう映画だと思って観た方がいい
映画館に「映画」を観に来る人にオススメ
トラウマに注意
悪趣味なユーモアで華やかに彩られたスウェーデン版『翔んで埼玉』
情緒不安定な妹テリが起こした事件をきっかけにして心に深い傷を負ったダニー。ダニーを気遣いつつも少しずつもてあまし始めていた彼氏のクリスチャンは軽い気持ちで友人達と計画していたスウェーデン旅行にダニーを誘う。目的地は友人ペレの故郷で、90年に1度だけ催される祝祭の準備が進められているヘルシングランド。一面花が咲き乱れる美しい村と陽気な村人達にダニー達はすぐに魅了されるが、厳かに始まった祝祭の行事は彼らの想像が及ばない奇怪なものだった。
観客の精神をジリジリと雑巾絞りする不吉極まりない邪教系スリラー、『ヘレディタリー 継承』を世に問うた奇才アリ・アスターの2作目で、凄惨な悲劇を冷たく傍観する冒頭から前作にも漲っていた冷たく乾いた不気味さが全開。直視が困難なゴア描写を青空の下で惜しげもなく見せる悪趣味ぶりは不快を軽々と超越して笑うに笑えないユーモアに充ちています。『ウィッカーマン』、『ローズマリーの赤ちゃん』、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』、『マンディ 怒りのロード・ウォリアー』といった邪教を描いた映画へのオマージュだけでなく、『悪魔のいけにえ』や『シャイニング』といったクラシックホラーへのリスペクトも映像のそこかしこに散りばめられていますが、一番影響が大きいのは何といっても『食人族』。終盤の儀式における突き抜けた凄惨さは、もしも食人族が北欧にいたらこんな感じみたいな極彩色のシャレなのだと思います。見せなくてもいいものを延々と見せ続けたり、逆に見せた方が解りやすいものを出し惜しみしたりするいちいちツボを外した演出がとにかく凶悪で、一番ムチャクチャなのはクレジットでかかるフランキー・ヴァリのアノ曲。冒頭のダニーの心情に寄り添うかのような歌詞を白夜の村に被せるセンスに顔面が引きつりました。鑑賞前はとにかくグロテスクな作品だと誤解していましたが、最後のワンカットにダニーの魂の救済があったと受け止めたので、個人的には一部を除き死ぬべき人間がキッチリ死ぬ感動的で爽やかな作品でした。
ある意味スウェーデンを徹底的に茶化した設定ですが、クレジットを見る限り夥しい数のスウェーデン人が参加しているからか架空の祝祭ながら作り物感は皆無で、卓上の料理の一品一品の細部まで実にリアル。日本が誇る屈指のクズ映画『翔んで埼玉』にもこれくらい突き抜けたギャグが一つでも入っていれば少しは笑えたかも知れません。
『ファイティング・ファミリー』では素っ頓狂なプロレス一家に支えられながら戦う女子レスラーを健気に演じたフローレンス・ピューがここではある意味真逆のキャラクターであるダニーを熱演。今年公開の『ブラック・ウィドウ』ではキレのいいアクションも披露していて要注目の逸材。個人的には首尾一貫して一切共感できない友人マークを演じたウィル・ポールターに注目。『デトロイト』でムチャクチャムカつく警官クラウスを演じていた人です。
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