「意外なフック(惹きつけ)を見逃さず映画の本質へ」ミッドサマー MPさんの映画レビュー(感想・評価)
意外なフック(惹きつけ)を見逃さず映画の本質へ
アメリカに住む少女ダニーは不幸の真っ只中にいる。恋人のクリスチャンとの関係は微妙に破綻しているし、愛する家族はある日突然、この世を去ってしまうのだから。そこで、ダニーはスウェーデンからの交換留学生、ペレの提案により、クリスチャンや仲間たちとペレの故郷、ホルガを訪れることになる。
さて、すでにスリーパーヒットとなっている本作は、ホラーかラブストーリーかエロ映画か、実態を隠したまま若い女性を中心にさらなる数字の上積みを続けている。そこで、ネタバレを回避しつつ、筆者が思う映画の根幹について解説してみたい。できれば、観賞後にお読みになることをお勧めする。全ては冒頭のダニーの状況に起因している。ホルガを訪れたダニーはそこで行われる"夏至祭"の女王に選出されるのだが、それは予め計画されていたことが、冒頭の数分を見れば分かる。これがまず1つ。そして、残酷でえげつない儀式が行われるホルガは、ダニーにとって辛い記憶しかない故郷のアメリカよりも、むしろ悪夢だったという皮肉。これが2つめ。こっちも地獄、あっちも地獄という追い詰められた状況は、「ヘレディタリー/継承」でアレックス・ウルフが演じた主人公と同じだ。監督のアリ・アスターは重要なテーマの一つとして、"家族とは決して逃れられないもの"という要素を挙げているが、それを証明するシーンが夏至祭のシーンで一瞬だけ登場するので、見逃すべきではない。結論から言うと、本作は前作と同じ家族をテーマにした恐怖映画ではあるけれど、意外なフック(惹きつけ)が用意されている分、頭脳的な楽しみは倍増しているような気がする。
momokichiさん
ダニは夏至祭の最中に死んだはずの母親(悲しげな顔をしていてダニが呼びかけても応えません)と再会します。それが幻覚なのか、現実なのかは微妙ですが。
それを証明するシーンが夏至祭のシーンで一瞬だけ登場するので、見逃すべきではない
→すいません。これはどこのシーンでしょうか。。気になってます。
「家族とは逃れられないもの」
なるほどと思いました。