「空を飛ぶと逆上がり」映画ドラえもん のび太の新恐竜 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
空を飛ぶと逆上がり
映画ドラえもん40作目。
今年は誕生=漫画連載開始50年のアニバーサリー。
それを飾る映画は、第1作目『恐竜』を現代解釈のオリジナル・ストーリーで描く『新恐竜』。
恐竜の研究は日々変わるというのを聞いた事がある。例えば、『ジュラシック・パーク』で車並みに早かったティラノサウルスだが、現在の学説によると足が遅かったとか。(草食恐竜も足が遅かった為、捕食には困らなかったとか)
なので、今新しい『のび太の恐竜』が作られても全然アリだ。天国の藤子先生も興味津々…いや、自分が作りたかっただろう。
話の始まり方は『恐竜』ベース。『恐竜』を見ている昔からのドラファンにはニヤリネタ。
懲りずに恐竜丸ごと見つけてやる宣言するのび太。
大笑いするジャイアン&スネ夫。
そしてのび太が見つけたのは、本当に恐竜の卵。タイムふろしきで孵す。
産まれたのは、フタバスズキリュウ…ではなく、翼の生えた新種の恐竜の双子。
ピンクのメスを“ミュー”、ミドリのオスを“キュー”と名付け、育てる。
『恐竜』ではピー助を狙う悪役が居たが、今回はおらず、やがて成長した2匹を元の時代へ送り戻す大冒険に出発する…!
恐竜の新しい学説、生態、フル3DCGを駆使した映像、そしてクライマックスはあの未曾有の絶滅大災害…。
進化の歴史も込められているが、やはり一番の話のテーマは映画ドラえもんらしい種族を超えた友情。
次第に空も飛べるようになったミューに対し、空を飛べないキュー。
そんなキューに、逆上がりが出来ないのび太は自分を重ね、優しく見守る。
この時点でもう展開は分かる。
キューの飛行とのび太の逆上がり…終盤とエンディング後をエモーショナルに締め括る。
ダメでドジで勉強もスポーツも出来ないけど、常に何かを誰かを思いやるのび太は、やはりイイ少年だ。
シリーズ最大のヒット『宝島』の監督&脚本コンビが再タッグを組み、第1作へリスペクト。他のシリーズ作を彷彿させるようなネタもちらほら。
ひみつ道具の“ジオラマセット”や“クレヨン”は終盤への伏線。でも“ジオラマセット”があれば『宇宙開拓史』の問題は一発解決だったんじゃないかなぁ、と。
ゲスト声優はキムタクと渡辺直美。だけど二人共もっと話に絡むかと思ったら、傍観者的な位置付けで少々肩透かし。
一番のサプライズゲスト声優は、あの恐竜とその声の人気俳優。リアルタイムで見てた人には鳥肌ものだろう。
今回コロナの影響もあってか、興行成績が大幅ダウンしたのは残念。(『月面探査記』50・2億円→今回33・5億円)
個人的には自分が恐竜好きでもある為、前作の『月面探査記』よりずっと面白かった。
冒険、友情、感動、為になる知識も。
これぞTHE映画ドラえもん!
藤子先生の昔から、そして今も、ドラえもんと恐竜の相性はいい。