「ある意味川村元気はパンツを脱いだのかも......」映画ドラえもん のび太の新恐竜 へるだいばぁさんの映画レビュー(感想・評価)
ある意味川村元気はパンツを脱いだのかも......
【ネタバレ注意】
批判を承知で言います。絶賛コメントばかりなんだけど、みんな本当にそう思ってるの?あれは悪質な二次創作にして、川村元気の【怨念返し】。そこにはF先生の【大切な想い】は微塵も感じられなかった。前作が素晴らしかっただけに残念。
セルとCGの食い合わせも悪く、CGの悪い面が目立った。気になったのは【イナゴの缶詰め】のくだり。あれ必要だったのかな?ゲスト声優も技術的に?マーク。タイムパトロールの女性司令官役の【彼女】が、新作セーラームーンのスーパーヴィラン役らしいけど、絶賛コメントの洪水の提灯記事ばかりだけど本当に大丈夫?
前作の広瀬アリス&神木隆之介のスキルが高かったので尚更?マークが浮かんだ。
【彼】への忖度なのか、未だにある世代のアイコンだと思って書かれたトーンの台詞が、いちいち鼻についた。
どうせそこまで【彼】を乗っけるなら『ちょ、待てよ』も乗せるくらいのメタ的センスも脚本家には欲しかった。
のび太の良さって、逆上がりなんかできなくても、あやとりが上手くて射撃スキルが高くて好奇心旺盛だけど、堪え性が無いけどか弱く無垢な物への純粋な優しさなはず。
なのに『ぼくも努力するから、君も努力するんだ』なんて事は口が避けても強要する子じゃなかったはず。
自己啓発本に誤った影響されてしまった親や先生の発する言葉通りの事が出来れば良いなんて言う、多様性を無視するような生き方&考え方する子供達は【ドラえもんの世界】には居なかったと思う。
オイラはここに脚本家、川村元気の【怨念返し】を感じた。ジャイアン&スネ夫は、のび太が逆上がりが下手でからかっても、能力的に劣るのび太をみんなの慰み者にする様な事は絶対にしなかったはずだし、何より出木杉くんがそこに同意してた場面に凄まじい闇を感じた。あのシーンはやはり川村元気の何らかの【想い】が反映されてしまった感があり、ある意味川村元気はパンツを脱いだのかもしれない。
キューとのケンカの後砂浜で落ち込むのび太にしずかちゃんが慰めに来る80年代月9ドラマ的演出って......
あそこはしずかちゃんも含めた仲間達みんなで、のび太を励ますのがドラえもんの世界だったはずだし、そもそものび太は、できない事は押しつけない子だったと思うんだけど。
大体、化石だった卵がタイム風呂敷で再生したら卵を孵すのは、のび太の内面の良さを描くのと、逆行した時間を正方向に戻す効果を描く二重の意味も込めて、のび太自身がやらないとダメなんじゃないの?
F先生の大長編原作版と2006年版ではちゃんとやってたよね?
改変して良い所としっかりと則らないといけない所はあるよね。
まだまだ言いたい事はあるけど、なによりもドラえもんを【セカイ系】にレイプしたらダメだよね。【新宝島】では、ジブリっぽさを狙っていたのが見え見えだったけど、今回はセカイ系って......川村元気の引き出しは多いけど、浅さが露呈してしまった感があるかなぁ。
ぴー助登場の接待or忖度も必要だったのかな?
結論【川村元気の怨念返し&無駄な忖度&接待にまみれた、悪質な二次創作】でした。
前作は、50代おっさんが涙がでるほど感動したし、わくわくしたけど、今作はその落差に悲しくなりました。
川村元気の『皆さん、こんな感じでこれが好きなんでしょう。』というナメた空気にそろそろ、現場クリエーター、そして何より観客達も声を上げて『No!!』を突きつけた方が良いと本気で思わされる作品でした。
願わくば、親子でこの作品を鑑賞された皆さんの流された涙は本物ですが【この作品が提示したもの】に少しでも違和感を感じてもらえればと思いました。
最後に。レギュラーメンバーの確かな演技と想い、キュー&ミューの声優&キャラクターの可愛さ、そして、作画&背景をはじめとする技術スタッフの力量と想いの熱さに救われました。