「藤子・F・不二雄先生はどう思うかな」映画ドラえもん のび太の新恐竜 kanaさんの映画レビュー(感想・評価)
藤子・F・不二雄先生はどう思うかな
昔からドラちゃんが大好きで大好きで、大人になった今でもアニメを見ています。大長編はなかなか見られなかったのですが、息子が4歳になったので久しぶりに映画館へ出掛けました。
最近のテレビシリーズでも思っていたのですが、藤子・F・不二雄先生が表現したかったドラえもんの世界やコンセプトというのは、こういうのじゃないんですよ!なんでも言葉に出せばいいわけじゃないんです!ゲストのキャラや動物に可愛さなんていらないんだよ!キムタクの声もいらないよ!
〈良かった点〉
•映像の美しさ。恐竜は迫力があってよかった。
•スネオがのび太のママに「相変わらずお綺麗ですね」と言ったところ。
•絶体絶命のピンチで、ジャイアンが友チョコを恐竜に食べさせるのに成功したところ。
〈悪かった点〉
•キューとミューが可愛すぎるところ。あざとい。恐竜なんだから媚びるな。なんでこの2匹と仲間たちだけ他の恐竜と絵のタッチが違うの?新種だから?
•のび太はこんなに押し付けがましい子ではない。のび太は頭も運動神経も悪くて、要領も悪くて、たまに嘘をついたりずるいこともする。ドラえもんに結構ひどいことを言うときもある。でも、一人で悩んで葛藤して、勇気を出して行動して、ようやく誰かを助ける粘り強さと優しさがある。自分に劣等感があるからこそ、キューの気持ちに寄り添えるはずなのに、暴力体育教師みたいになってるじゃない。どんなに努力してもできないことがあるってこと、自分がよく知ってるだろうに。あと、いくらキューとミューと離れたくないからって、一人で暴走しすぎじゃないかな。あんなふうに暴れて泣き喚くなんて、のび太らしくない。のび太なら、しくしく泣きながらも、タイムパトロールの人にきちんとお願いすると思う。小学5年生、大事な場面において、それくらいの思慮深さはある。
全体的に、もっとシンプルで良いんじゃないかと思う。過剰な可愛さも、感情的なセリフも、昔のドラ映画にはなかった。敵は不気味で怖く、結末も悲しくて理不尽なものがあったように思うけど(バギーが壊れたり、リルルが消滅したりとか)、だからこそ今でも心に残ってる。近頃のドラは映像がきれいで迫力があって、キャラの目もキラキラしてて可愛いけど、物語の内容は対象年齢が下がっている。せいぜい幼稚園までじゃないかな。思ったことを全部言葉に出すんじゃなくて、少ないセリフでも、表情や仕草、背景で伝えられるようなアニメがいいな。ドラえもんは本来そういう作品だったんだけどな。時代の流れなのか。藤子・F・不二雄先生は天国で苦笑してるんじゃないかな。