「短所から過剰に目をそむけていた」映画ドラえもん のび太の新恐竜 hi02さんの映画レビュー(感想・評価)
短所から過剰に目をそむけていた
しずかちゃん・ジャイアン・スネ夫と博物館に行ったのび太は、
恐竜に強く惹かれ、
生きている恐竜を見つけると宣言する。
博物館での化石採集体験で石を持ち帰ったのび太は、
それを恐竜の卵と信じる。
タイム風呂敷にかけると、それはまさしく恐竜の卵で、
双子の恐竜、ミューとキューがうまれる。
のび太は2頭を育てるが、大きくなると、
ドラえもんのすすめで、2頭を生まれた時代に戻すことにする。
タイムマシンにのり、ミューとキューの仲間を探しにいく冒険に
ドラえもん・のび太・しずかちゃん・ジャイアン・スネ夫で出かける。
ミューは器用ですぐに飛べるようになった一方で、
キューは不器用で中々飛べない。
苦難の末、ドラえもんたちはミューとキューの仲間を見つけることができたが、
キューはうまく飛べないことから、仲間に入れてもらえない。
2頭の育ての親であるのび太は、キューに飛ぶ練習をさせる一方で、
自分も苦手な逆上がりの練習から避けていたことに気付き、
逆上がりの練習にはげむ。
のび太が巨大な飛ぶ恐竜に襲われた時に、キューは飛べるようになり、
のび太は助かり、キューは仲間として認めてもらえる。
のび太とミュー・キューの涙のお別れで、幕は閉じる。
短所を長所にという世間の風潮の中、
キューは飛べるように、のび太は逆上がりができるように
愚直に懸命に努力する姿は、意外に感じた。
キューはミューよりも体が小さく、羽も小さく、尾も短い。
これを逆手にとり、キューは飛ぶのは苦手だが、
別の分野で良い所がある(泳ぎが得意なのではないか、と私は読んでいた)
という風に話は展開されるだろう、と思っていた。
短所を長所にというスローガンのもと、
嫌なこと、面倒なこと、苦手なことから
過剰に目をそらしていたな、と本作品をみて、強く感じた。
ただし、努力の礼賛や押しつけは根性論につながり、
過剰になるとこちらも甚だ不適切だ、ということは付け加えておきたい。