「時の流れ」映画ドラえもん のび太の新恐竜 ヨッシーさんの映画レビュー(感想・評価)
時の流れ
僕は毎年ドラえもんの映画を見ている。アニメの通常放送を卒業してもそれは変わらない。
そして、何を隠そう僕が初めて見たドラえもん映画が「のび太の恐竜2006」なのだ。
そういう意味で今回の映画を見てひしひしと時の流れを感じることが多々あった。
おそらく子供の頃だったら素直に感動していたところで疑問を覚えてしまったり、それが少し寂しくもあった。
さて、そんな感傷はここまでにして作品を見ていく。
今回の作品のテーマはずばり「進化」
進化とはできないことを出来るようにしようとする努力の先にある。
即ちのび太が最初逆上がりが出来なくて、最後の最後に逆上がりに成功するのも、これも「成長」という「進化」の一種なのだ。
本作はそのテーマのもとキューが大空を飛べるように進化するまでをダイナミックに描いており、特にキューが空へと羽ばたくシーンは迫力抜群で感動した。
最後の島の秘密には震えた。
ただ、お話の展開で少々気になるところがないわけでは無い。
以下、心が薄汚れた大人になってしまった自分が思う疑問です。(子供は読まないように。)
今回新しく登場した友チョコという新道具。あの道具でなければという必然性が薄いように感じた。桃太郎印のきびだんごでも良かった気がした。(動物をコントロール出来るという性能は一緒だし、友チョコオリジナル要素の1時間だけ相手の能力を手に入れられるというところが物語にうまくいかされていた気はしない。)
そのほかにもこれはこの道具で良く無い??と思う新道具がないわけではなかった。
また、あのタイムパトロール隊員はクライマックスの時に遠くから見守って進化の解説をするという説明役ポジション。それ以上のストーリーが見えてこなかった。テーマをわかりやすく伝えるために作られたキャラクターなのかな??と。
そして、最大はキューたちを救うためにのび太が逆時計を使って時間を巻き戻そうとしたところ。
それが未来の法律、歴史を変えるというところでイケない行為であると知りながらあえて強行しようとする。そして、あまっさえその行為をジャイアンたちは「カッコ良かったぜ」と称賛する。
この部分でウーンとなってしまった。
自分も「ダメなものはダメ!!」と言ってしまう大人側になってしまったのかと少々ショックを受けてしまった。
ピー助がゲストで出てくる展開は胸打つものがあった。
何はともあれ50周年のリスタート作品としてふさわしい物かどうかはさておき、見て損はない映画になってます。