ソワレのレビュー・感想・評価
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私はソワレがすき
誕生日クーポンが切れる日だったので、何かみよう!と検索したら、なんとシネコンで本作が上映していてびっくり。
単館系だと勘違いしてた私。
たまたま、村上虹郎さんの英語でのインタビューを動画でみて興味津々の本作でした。
レトロな雰囲気で、セリフが少なめの進行、ちょいちょい挟んでくる時系列不明の画像がモヤモヤし、どうしてソワレ?と理解できず取り残されかけた前半の私。
そこから若い2人の走る逃げる〜の逃走シーンの始まり始まり。
出会う人が助けてくれるパターンか、と思いきや…現実を思い知らされるような対応。
今時の映画なのに暗くて悲しくて救われないのか?とソワソワするなか、ソワレのシーンが美しくて胸が熱くなった。
やがて、たどり着く2人の着地点で心臓を鷲掴みされた。
ああ、人はみんなスポットライトを浴びたいと思って生きる。
どんなに苦しい毎日でも、きっと誰かが探してくれる、いつか光が差すことがあるよ…そう、伝えられた気がした。
誰もが自分の人生では主役なのだから。
村上さんと芋生さんの熱演に拍手!
しっかりとした作品だったけれど謎でした
映像は魅力的に感じたけれど、そもそもの設定が自分には馴染めず、理解しかねる作品に感じてしまいました。
ストーリーに目がいくよりも、もっと素晴らしい映像に目が向くようにし向けてほしかったように思ってしまいました。
翔太ではなく、タカラのその後が知りたかった。。
とても興味深い映画です。
若い男女の逃避行。その気持ちが徐々にすれ違っていく心などをすごくよく表現しています。
でも、ちょっと翔太の変化がいきなり過ぎるかな??って思いました。
最後の別れのシーンからのラストですが、確かに翔太が主人公として物語が進んでいくので、
彼のシーンで終わることは想定していましたが、タカラちゃんがどうなっていったのか?を少し出して欲しかった。回想シーンだけでなく、捕まった後にどうしているのか?がとても気になりました。
雰囲気がありつつ、余韻も残すような独特な映画感がとてもよかったです。
本プロジェクトの次回作を期待しております。
翔太とタカラはあなたのそばにいる
外山文治監督「ソワレ」物語も映像も心に突き刺さるくらい素晴らしくて動揺。誰も空っぽの自分からは逃れられないという呪縛からの、ひとりぽっちだった2人の逃避行。映画を観終わったあと、翔太とタカラはあなたの心の中に残り続ける。
闇に消えていく市電からのあの光景の2人、廃校の踊り場から階段を上がるタカラ、商店街から路地に抜けるタカラ。それぞれのシーンはゾクゾクしましたね。
芋生さんが良かった
内容的には「映画上では良くある話」なのでしょうが、とにかく芋生さんの悲しげな表情が良かった。これに尽きます。
村上さんのだめ男ぶりも流石です。できればブカブカ煙草を吸うのは止めてほしかった。煙草でだめ男を演出するのは見飽きます。
後半が間延びした感じもしましたが、最後の1分できちんとまとめたのは見事です。
素晴らしいの一言
夏の吐き気を催すような蒸し暑さと対比的に映し出される砂浜と海。
若者たちの生きるということに対するどうしようもない寂しさと迷い。
神様は試練を与えるがどこかに逃げ道を作ってくれている。しかし、どこに散りばめられているかは分からない。
二人が逃亡した意味。
二人はそれぞれが抱えた絶望や鬱屈を振り払うためにに逃げ続ける。
泥臭く。ときには現実が迫り、ときには過去の暗い影にまとわりつかれながらも必死で逃げる。
翔太には言いようの無い孤独と逃れようの無い挫折が。
タカラには身を切られるような過去の記憶とトラウマが。
二人の逃亡はそんな現実に対する必死の抵抗と
希望への渇望に満たされていた。
そして行き着いた先の二人のソワレ。夜の公演。
登場人物はとにかく人間臭く、そんな彼らには時として胸を締め付けられる。
それだけに衝撃は待ち構えている。
翔太は果たしてその後タカラを迎えに行ったのだろうか?
二人は再会したのだろうか?
きっとそうであってほしい。
いや、そうでなければならない。
映像美、美しい音楽とともに本当に良く練られた脚本。
久々に映画を見た。そんな風に思わせてくれる作品でした。
共感できないのにそれなりの満足感
若い男女の逃避行物語。
この手の話って、主人公たちの行動が少し暴力的だったり刹那的だったりする印象があるが、本作はとにかくやるせない行動のてんこ盛り。2人で逃げ出すまでの間に、おいおい!なんでそんな選択する!?と疑問に思うことだらけ。
特に男の方はどんな気持ちで一緒に逃げてるのかまったく理解できない。女の子の境遇とか雰囲気に同情したのか、流れに逆らえなかったのか、でもそれが情に変わっていったのかと思っていたら本人がグチグチ言い出す始末。
そもそもアルバイト感覚で男のやっていたことは立派な犯罪だったし、そのことは何も問われないというところは腑に落ちない。なんだよそれと思っていたのに、最後で何か急なオチをつけてきた。あのシーンだけで印象はかなり変わってしまった(いい方向で)。いや、それでも男になんら共感できないままだ。
時々良いけど1mmしか刺さらない感じ
先週から変なんです。刺さらない、と言うか、かなり刺さり難くなってるみたいで。でも青痛脆いは結構刺さったけどなぁ…
冒頭。潮騒が都会の雑踏のノイズに切り替わって行く所とか。空き家で2人の「影絵」を使った、タカラの心象表現とか。雨上がりの夜のステージ、ラストのタカラの後ろ姿などなど。琴線を引っ掻く場面はたくさんあるけれど。
その二倍ある「それはちょっと、どうかと思うよ」が、良い場面を帳消しにする無惨。最後の号泣場面などは、ドン引き…
合理性がどうのこうのでは無く、翔太の人格の問題でも無く。根底にある厭世観みたいなものへの拒否反応、と言えば良いのか…
芋生悠さんの熱演には共感を覚えました。個人的な好き嫌いのレベルの話ですが、外山文治さんは、やっぱり苦手です。
意味の無いものなどない。空っぽな人間などいない。的な話で、刺さる人には刺さると思います。実際、同じ列に座ってた女性は泣いてましたので。
これに1,800円とか1,900円は払いたくないよ、ってだけ。
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8/31追記&ネタバレに変更
「新世界合同会社」は「作家主義打ち出し、純度の高い作品目指す」との記事を見ました。豊原功補さんは、かつての「ディレクターズカンパニー」みたいなもんを目指しているとも。
ディレクターズカンパニーの初期作品を調べてみたんですが、
1984:人魚伝説、逆噴射家族
1985:台風クラブ、ドレミファ娘の血が騒ぐ
と、作家性だけでは無く、時代を映す鏡としての作品が並びます。
一方のソアレ。人間のドロドロした部分や不遇・不幸を並べ立て不条理を訴える手法には、全く目新しさも感じないけれど。
両親から愛情を注がれたという記憶もなく、幸せを感じる事も無く、作り笑いの方法だけは知っている、「死んだように生きて来た娘」。あてもない逃避行生活であっても、「私の方を向いてくれる人」との時間は、彼女にとって十分に幸せと言える時間だった。に違いない。的な。
「夜会」と言うタイトルは、影絵の中で翔太に寄り添ったタカラの心象を現すタイトルなんでしょうけど。決定的に、何か足りない気がして、技術的に。タカラの変化って、も少し描写あっても良いんじゃないかと言うのと、そもそも時代的な問題やら、役者の男と不幸な娘を引き合わせるための設定の問題やら、観客が置いてけぼりにならないような工夫って無いんでしょうか。
作家性って言う言葉って、便利ですよね。「製作側が密室で自己満足する事を正当化するため」に使われる言葉だと感じることが、たびたびあります。印象としては、そっち系の映画の範疇を超えきれてないと思いました。
これは単館どまりかねぇ。
しかも、パンチ足りないし。
単館でやってる作品て、たまに、ずしーんと来るやつあるから。
エモいとはこのことか
村上虹郎さんのSNSから気になって拝見しましたが良いですね。
序盤から最終まで胸をギュッと掴まれる様な脚本で、見た後は暫く余韻に浸っておりました。
虹郎さん、昔モノクロの映画に出演されているのを見ましたが、その時より演技が上手くなっている気がします。末恐ろしい良い俳優さんです。
芋生悠さんはオーディションで選ばれたとのこと、幸薄い感じでこの映画の仄暗い世界観にぴったりの容姿だと思いました。また彼女、身体張ってます笑
ただ新人さんなのか虹郎さんに比べるとどうしても演技力に差がある様に思え、言葉を話すシーン等少々残念でした。
エモーショナルな気分を味わいたい方は見た方が良いです。
単館上映映画っぽい良い映画で好き
派手さはありませんが、しっとりじわりと来ました。
虹郎さんは言うまでもなく、充て書きされたような、しっくり具合。ダメ男っぷりと優しい男っぷりが良いバランスでした。
芋生さんもとても良かったです。傷ついた女性。絶望的と言ってもいいくらいですが、守りたい、応援したいと思いました。
過去に観た映画にも出演されていたのでびっくりしました。
単純な話かと思ったら、少し予想外なこともあり、「そういう事か!」と、ちょっと気持ちよかった。
胸糞悪い
と
切ない
を行ったり来たり。
単館上映映画っぽく?、テレビドラマなら「過剰演出」と言われそうな演出もありますが、映画っぽくて良い。
また良い映画を作って欲しい。
何回も観返してじっくり味わいたい映画
こういう台詞の少ない空気を読み取るような映画はいいですね、観返すたびにいろいろ感じることは多いんじゃないでしょうか?
話の筋や構成だけ追っかけるのではなく、じっくりと味わい、余韻に浸れる、個人的には大変いい出来映えだと思います。
満足?
113本目。
監督は満足なんだろう。
でも作り手と観る側との温度差を感じる。
だっておかしいもん。
製作段階で誰か言わない?
映画だからってのを、言い訳にしてる気がする。
でもまあ、地元では盛り上がる作品だとは思う。
【”辛いときは、新しい場所を作って・・こうやって笑うんだよ・・” 若き男女の自由を求めて彷徨う姿が刹那的で哀しいが、”煌めき”も感じさせる作品。】
■印象的なシーン
1.山下タカラ(芋生悠)が、刑期を終えた”許しがたき父親”に再び襲われ、偶々タカラを探していた翔太(村上虹郎)に助けられるシーン。
タカラが積年の恨みなのか、咄嗟の行動なのか、鋏で父親の腹を刺してしまい・・。
ー何故、翔太がタカラと一緒に逃げたのか、最初はピンと来なかったが、翔太のそれまでの生き方”劇団員として俳優を目指しているがパッとせず、オレオレ詐欺の手先として少しばかりの金を手にする姿を思い出し、
”翔太もタカラと同じく、”空虚で鬱屈した感情”を抱えていたからだろう”と、推測する。
2.和歌山の山中で梅干しを作っている農家でバイトに雇ってもらいながら、夜、金をくすねようとした翔太に農家の男が掛けた言葉。
”自分からは逃げれやんぞ・・”
翌朝、男の妻(江口のりこ)が語った言葉。
”あの人も、昔は・・”
3.一夜のソワレ ”夜会” の幻想的なシーン。
4.自由になるために船に乗ろうとした二人が警察に捕まってしまうシーンで、タカラが翔太に叫んだ言葉・・。
”・・・・、こうやって笑うんだよ!”
<”空虚で鬱屈した感情”を抱いた二人が、自由を求めて彷徨う姿が、刹那的で哀しいが、
未来の煌めきも感じさせる作品。
独特の世界観を漂わせた、外山文治監督のオリジナル脚本も秀逸である。>
いやー、これは傑作だった。まず画が綺麗、ひきのファーストカットから...
いやー、これは傑作だった。まず画が綺麗、ひきのファーストカットから魅入られる。?をちょっとずつ出して行きながら中盤に色々と繋がってきて、彼等にグッと惹きつけられていった。監督の繊細な演出が際立った良い作品だった。
雪に耐えて梅花麗し
父親による性的暴行を受けていた女性を助けに入った男と、その際に父親を挟みで刺してしまった女の逃避行の話。
東京で劇団員をするも鳴かず飛ばずでオレオレ詐欺をしているクズ男翔太。
高校を中退して老人ホームで働く、幼い頃から父親による暴行を受けていたタカラ。
タカラの境遇を聞き、そんなことがあって言い訳はないと、憤りと同情から衝動的に逃げでしまい巻き起こっていくストーリー。
そんなことでという様なことに感動するタカラと、そんな彼女をみて苛立つ翔太とか、警察に追われながら共に時間を過ごす中で、互いの行動をみて、心が近付いたり離れたり。
汗臭く青臭く若さの匂うむず痒さで最初から最後まで突っ走られて、悲しさが強い作品だけど、本編では語られない未来に少しだけ希望が感じられる終わり方で、なかなか良かった。
それにしても、少し前に別作品の舞台挨拶で拝見した時は可愛らしく柔らかい感じの人だったけど、芋生悠にこういう役はハマり過ぎ。
ラブストーリーではあるが、映画への愛の讃歌
まず、この映画、万人受けはしないだろうなと思います。スクリーンから惹き付けられるものはあると思うけど、全体的に静かで普通に見ていたら感情移入もしにくい作品かと思います。
でも、自分としては見方を変えたら本作の伝えたいことを感じ取ることができました。まあ、あくまで自分の解釈としてですが、、、
さて、作品に触れると自分が見てて思ったことは、主人公=映画、ヒロイン=観客ということです。
主人公は人間的であれど、どことなくファンタジーな存在のように思います。あまりよく知らない人と共通なものがあるからと一緒に逃げてくれる。正直、ありえない存在だと思った人は絶対いると思います。自分も思いました。
それに比べ、ヒロイン側の方は感情を追っていくと人間的で現実的な存在として描かれていたように思います。ただただ普通と幸せが欲しかった女性として。だけど、それを得ることができない、どうしようもない現実が襲ってくる。きっと、介護も大変ながらやりがいはあったと思います。でも気づいてしまったんだと思います。ただ死ぬのを待つだけに。
そんな時に起きた悲劇による人生の転機によって変わっていく。
この逃避行自体も非現実的ではあるけど、それはやっと望んでいたようなヒロインにとっての自由でもあったのだと思います。しかも、ヒロイン一人ではなく、男性の主人公と。
ただ死ぬのだけを待つだけだと思っていたのに、ある意味、王子さまのような存在と出会い、二人で逃げる。
現実は常に襲っては来るが、逃避行していくうちに自分の長所、人の優しさ、恋心、愛を感じながら経験していく。失われた時間を非現実的な部分で取り戻していく。
だけど、主人公も人間的な部分も出てきてヒロインに対して苛立ちが募り、二人が分断されてしまう。なぜなら主人公は失うことだけになっていくばかりだから。
一人になったヒロインは改めて現実を知り、孤独なことを知る。そこで死ぬことを選んでいくんだけど、怖いから人間だから死ねない。
そこでもう一度出会う主人公とヒロイン。もう本当にご都合主義的で主人公はファンタジーな存在だなとここで改めて感じさせるが心が揺さぶられる。ネイルの部分も非現実的ながらロマンティックで良い。
二人は最終的には、ヒロインだけが捕まる。
正直、ここまでならロマンティックな話で終わるのだが、この映画、ラストになぜ主人公がファンタジーな存在なのか納得させられる。
ヒロインが度々、辛い時にやっていた仕草があるのだが、その仕草が主人公の自主映画で演技付けした部分であったという、いわば、どんでん返しのようなものが明かされる。
つまり、この映画はラブストーリーというよりも映画を見る人たちに向けた愛の讃歌のような作品なんだと思う。
映画には喜怒哀楽があり、人生が描かれていたり、時にはリンクする時もある。
ヒロインが捕まる時に言った「私の人生、からっぽじゃなかった」という言葉は映画を見てきた観客に対しての言葉のように感じた。
だから、映画の影響力というものを映像で見事に素敵な形で見せた映画史上最高の人生最高のラストカットだと個人的に感じる。
主人公=映画、ヒロイン=観客というのは現実を見なきゃいけないけども非現実的なものを主人公(映画)が誘い、理想を見て現実に生きることを描いた映画なのではないかと思った。
なので、評価に惑わされずに映画が好きなら一度は見てほしいし、響いた人ならラストカットは永遠なものになるかと思うのでぜひとも劇場で見てほしい作品。
#68 何故逃避行することになったのか
最初はわからなかったが、ラストで色んな謎が解けた。
暗闇の人生を生きてきたタカラにとって、翔太は心の中に光を灯してくれる唯一の存在だったんだな。
またいつか翔太がタカラを探し出せたらいいな。
救いようのない映画
終始どんよりした空気が漂い、抜け出せない泥沼に苦しい気持ちになる。
冒頭の演技レッスンのシーンで「リアルではなくリアリティ」と書かれていて、エンターテインメント・フィクションとはそういうものだが、この映画はリアルにこだわったドキュメンタリーのようなタッチ。セリフも少なめで、その空気感で伝えようとするものがある。
演技が教えてくれる。消せない過去があるとしても、いつだって強く信じれば何者かになれる。変わることができるんだと。
唯一の希望は笑顔で前を向くこと。
ところで、あれだけインターホン恐怖症だったのにそこはすぐ開けちゃうの?そんないきなり信頼して全速力で逃げられる?電車乗る前に血は落とした方がいいんじゃない?とか…ちょっといろいろ気になってしまった。
芋生悠の文字通り身体を張った演技は見ものなのでファンは必見である。
※試写会で観させてもらいましたが、奇譚のない率直なレビューを心がけています。
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