「【カセットテープの音は柔らかく温かい。そして”上書き”されても、完全には消去されない・・。】」サヨナラまでの30分 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【カセットテープの音は柔らかく温かい。そして”上書き”されても、完全には消去されない・・。】
2020年の映画でカセットテープを題材にした映画が観れるとは思わなかった。
現代では、”忘れ去られつつある”アイテムだから。
今作が素晴らしいのは、音楽を愛し、その魅力から離れられない若者たちの様々な姿がきちんと描かれているところであろう。
そして、ハイトーンボイスで奏でられる数々の楽曲の美しさが、今作の魅力を増幅させる。
”ソウタ”が孤独を好むことになった理由を”カナ”に満点の星空の下、背中合わせで語る姿。
二人がピアノを連弾するシーンの幻想的な事・・。
”ソウタ”に付きまとい、彼に”他人”と交流することの楽しさを再び思い出させていく”アキ”の姿・・。
”アキ”は”ソウタ”が音楽を友人たちと楽しそうに奏でるシーンでは嬉しそうに、”カナ”と親しくなっていく様を見る時には、何とも切なそうな表情で見守る・・。
新田真剣佑さん、北村匠海さん、そして久保田紗友さんが役を演じる様が自然で良かった。新田さん、北村さんの歌唱も素晴らしく・・。
そして、バンドメンバーを演じた葉山さん、上杉さん、清原さんの安定した演技も・・。
<真に音楽と友を愛した男の想いは”上書き”されても、永遠に残る・・。
深い喪失を乗越え、再び一歩を踏み出す若者たちの姿が良かった・・、とても。>
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