「☆☆☆★★★(取り敢えず暫定的に) 「家族って何?」 これはレビュ...」最初の晩餐 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★(取り敢えず暫定的に) 「家族って何?」 これはレビュ...
☆☆☆★★★(取り敢えず暫定的に)
「家族って何?」
これはレビューをするのが難しい。
いや!決して難しい芸術作品とは全く違う。寧ろ、分かりやすい程に分かりやすく。観た人の全てが1度観ただけで、映画の内容は完全に理解出来る筈。
だけども…。
当たり前の事なのだけれども。映画に登場する人物全てには、異なる人格が備わっている。
勿論、観客である我々全ての人達にも異なる人格が備わっている。
それだけに、その異なる人格と人格が集まり。家族となるべく機能し、お互いの人格を理解し合う為には何が必要な事なのか?
分かりやすく考えたら何だろう?同じ屋根の下に暮らすに辺り。お互いの居場所を理解し合う事なのだろうか?
同じ血を持つ家族でも。お互いを理解し、気持ちを共有出来ない家族も多い。ましてや、この作品で描かれる家族には。血の繋がらない親と子供達が、悩みを(映画が進むに連れて明らかになって行く)抱え込んでいた。
映画は、1人1人のそんな悩みを氷解させ。家族で共有する為のレシピを紹介していた。
チーズを下に挽いた目玉焼きは。父親が新しい母親を迎え入れて欲しい!との想いを込めて。
味噌汁の合わせ味噌は。新しい母親が《妥協案》だったのだが、妹の本音では。都会人に対する九州女のDNAがざわついたからだったし。魚の骨で母親とは打ち解けた。
弟は血の繋がらない兄と焼き芋で打ち解け。父親と兄は、キノコのピザでお互いを理解し合う。
作品中には他にも数多くの料理が登場し。観客には、少しずつこの家族の謎が明らかになって行く。
ただ少し気になったのだが。家族以外の登場人物達にも、それぞれ小さなエピソードがあり。それらを満遍なく描こうとする余りに、映画全体が長くなってしまっている。
その様な場面は多いのだけど。そんな中の1つとして、例えば戸田恵梨香の同級生の男性。そして何故だか嫉妬している様に見える夫。
(おそらく)血は繋がってはいないものの。この母親とこの娘には、似た様な(女としての)匂いを漂わせる意図…とも思われた。
あるいは、映画の中ではっきりとは描かれてはいないが。永瀬正敏が、斉藤由貴の流す涙に(前夫)対する嫉妬心を露わにし。それによってシュンが家を出て行く要因となった事の対象として描いているのか?等。裏設定みたいなモノもあるのかも知れない。
もしもその通りだったのならば、狙いとしては面白いのだが。それら多くのエピソードだったり場面が、映画全体のバランス面等を考えてみると、(個人的には)無駄に長くなってしまっている…と強く感じる。
1回観ただけで内容自体は理解出来るのだが。どうやら1回観ただけでは、この作品の奥底に潜んでいる全てはなかなか理解し難いのかも知れない。まるで氷山は海の上に出ている部分よりも、海の下に隠れている部分はその数百倍もある様に。
それらの要素を此方が拾いきれているのかどうか…。だからこそ採点は暫定的にしました。(但し、上がる事はあっても下がる事は無いでしょうね。)
とは言いつつも、ここ数年で才能を感じさせてくれる新しい監督さんが多くて嬉しい限りですが。新たに将来性を感じさせてくれる監督さんがもう1人登場した気がしています。
2019年11月20日 MO V I X 亀有/スクリーン7