劇場公開日 2019年11月1日

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「心に残る、目頭が熱くなる、とても良い家族映画」最初の晩餐 まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5心に残る、目頭が熱くなる、とても良い家族映画

2019年11月2日
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悪くない…というより良い作品…いや、かなり期待以上な映画!最初は引き込まれるだろうかっていう少しの不安があったけど、観ていく内に味わい深くなっていき、不器用なところはあれど良い内容だなぁ…!とジワジワきました。上映後、思い出したりパンフレットを読んだりしていると、またジワジワきます。
父親の死と、葬儀で母親が「父の遺言で」と出していく想い出のご飯の品々がきっかけで、家族の過去のエピソードが思い返されていき、そして当時下の子供2人が知り得なかった親達の事情や家族ってなんだろう…など色々な事や想いが浮き彫りになっていくストーリー。
現在と過去を行き来するような内容で有りがちなのが、現在・過去、どちらかのキャストや雰囲気の方がより惹き込まれるような感じになっていて、そちら側の方に偏った集中がいってしまうこと。この映画はそれが無かった。母親役は斉藤由貴、父親役は永瀬正敏。そのベテラン勢は特に文句無く良かった。現在の子供役は、兄・窪塚洋介、姉・戸田恵梨香、弟・染谷将太のそうそうたるキャスト。どの人達も味があって演技力もあってちゃんと兄弟だった。凄い良かった。中盤よりもっと後に出てきた窪塚洋介の存在感は半端なかった。流石です…。で、問題は子供時代の彼らで、子役だとどうしても演技とかが是枝監督とか西川美和とかの巨匠作品じゃない限り「子役の演技!」て感じな結果になりがちで、どうしても観てる側的に現在側の方ばかり見入っちゃうのだけど、この映画は子供時代がとても光ってた…!!兄・楽駆(らいく)、妹・森七菜、弟・外川燎/牧純矢。森七菜くらいしか知らなかったけど、初々しさも含めてとても皆んな良かった!親達が再婚し、兄は母親の連れ子で妹弟は父親の連れ子という家族構成に置かれて、大人も子供も(特に子供達)人間関係への戸惑いやご飯の問題がちょこちょこ勃発していく過去のシーンは不器用なところもありながら丁寧に描かれていて良かった。現在の兄弟達のキャストにちゃんと繋がるような子供達の見た目、そしてそれぞれの性格がちゃんとあり、この性格の大人と子供が一緒に暮らしていく中で起こる衝突やそれでも徐々にお互いに家族という愛情が芽生えていくシーンやエピソードの数々は、号泣まではいかなくても何度も目頭が熱くなってしまった…。兄と弟、兄と妹、それぞれの関係性がステップアップしてくところは本当に…めちゃくちゃ良かった。子供の中にある、可愛らしさと大人になろうとする部分がとても良い感じに出て来てて…。親の離婚や再婚相手やその子供とのストーリーのドラマ・映画は沢山あるけど、その中でもこの作品はかなり成功パターンだなぁーと感心してしまった。世の中には色んな人間がいるけど、この家族に関しては、父も母も兄・姉・弟も、みんなそれぞれ根っこの部分は良い人達だし、そんな人達が家族になれたことが奇跡でもあったんだなと思った。

心に残る家族を描いた映画は今まで幾つかあった。「ぼくたちの家族」「湯を沸かすほどの熱い愛」「万引き家族」「母と暮せば」「家族はつらいよ」「おとうと」「母べえ」「重力ピエロ」「オー!ファーザー!」「永い言い訳」などなど…。「最初の晩餐」も心に残る家族の映画に私の中ではカテゴリーされた。

まとまった感想が書けなかったけど、今後も思い出す度に目頭が熱くなることは間違いない映画。キャスティング本当良かったなー。楽駆くんが好み過ぎた笑。演技はまだ初々しさがあったけど雰囲気とかがめちゃくちゃ良かった。弟役の2人は無茶苦茶可愛いくて何回も叫びそうになった笑。森七菜はもはや貫禄があるね…清原伽耶とかと並ぶかもね…。清原伽耶も森七菜も日本アカデミーの来年か再来年あたりの新人賞有力候補だと(みんな思ってると)思う。

まつこ