「オープニングで泣いた」前田建設ファンタジー営業部 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
オープニングで泣いた
面白いの。
『空想世界対話装置』を通じて弓教授から依頼を受けた前田建設が、光子力研究所に設置されるマジンガーZの格納庫を積算するっていう体でWeb連載やろうって話なのね。
最初、「積算までして作らないってどういうことっすか」と乗り気でないメンバーに向かっておぎやはぎの小木さんが熱く語るのね。内容は、まあ、半分当たってるような外れてるようななんだけど、それにみんなが感動する演出がいい。それで観てるこっちもノセられて、そこで、アニメみたいなオープニングがブワーッとくるからね。ここで泣いた。
その後は全然乗り気でなかったメンバーが一人ずつ小木サイドに転んでくの。
このときの岸井ゆきのがいい。「こういうOLいる!」って感じ。岸井ゆきのならでは。
最初は前田建設社内の人が「ふざけたことやりやがって」と反対なんだけど、だんだん、味方になってくんの。みんななんか本気でマジンガーZの格納庫を作る気分になるんだよね。
途中でダムを作る現場に行って『かつてはダムの前だと呼ばれてたんだ』ってあたりが良かった。
建設会社の人は「これは、私が造ったんだ」っていう誇りがあるよね。
かつてはダムも、大きな橋も、人類最初のチャレンジで難工事で、でもそれをやり切って、みんなの生活を豊かにしたっていう。
その誇りが「その私たちが、地球を守るマジンガーZの格納庫を作れないはずがない。作らなきゃ!」ってなってくのが良かった。
コメディとしても良くできてんの。
まあ熱い話だけど、所詮は、空想だからね。別にミケーネ帝国も攻めてこないしマンジンガーZも実際にはないし。
はじめはノリ気グループと乗り気でないグループがあるから、乗り気でない方が「なに空想のことで」とツッコミ側にいるんだけど、全員がノリ気になったら、ツッコミは観る方に任されてんのね。
劇中人物と一緒に盛り上がるんだけど、盛り上がりすぎてると「そんな熱く語ったって、空想の話だって!」と心のなかで突っ込んでおかしくなるの。
すごく戯曲的な展開で、コメディとして良く出来てるから、脚本だれかなあと思ってたら、ヨーロッパ企画の上田さんだった。さすが。
ばかばかしい話だから、役者が一人でも外したら崩れるんだけど、高杉真宙筆頭に名優揃いで崩さない。それをまとめきる英勉監督もさすがだったよ。