太陽がほしい 劇場版のレビュー・感想・評価
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おそらく、この日本軍による女性たちへの蛮行を国が認めることはないで...
おそらく、この日本軍による女性たちへの蛮行を国が認めることはないであろう。
というか、この問題は今の日本の歴史の教科書に微量でも載っているのだろうか?
載ってないとしたら、あと何十年もしたら、誰も知らない世の中が来てしまうのだろうか?この映画をみてる客層は明らかに後期高齢者の方々ばかりで、若い層が何も知らない時代が来るかと思うと一抹の不安を覚える。
知る事
『主戦場』が慰安婦問題をめぐるアクチュアルな言説の応酬をスリリングに表現しているのなら、こちらは性暴力被害者を20年に亘り丹念に追いかけた映画です。班監督が初めて被害者の元を訪ねるシーンが何度か出てきますが、いずれも衝撃的です。被害者の方が凄まじい差別と貧困と病苦の中で生きてきた(生きている)事がまざまざと映像に刻まれています。日本人が中国大陸で何をやってしまったのかを否応なく知る事になります。
歴史認識も歴史解釈も「事実」を知る事から始まるものでしょう。もちろん性暴力における「事実」とは被害者にとっての「事実」が何よりも重要である事は、今も昔も変わりません。その「事実」は、中国人女性に凄惨な性暴力をはたらいた日本兵も私たち同様に日本人であったという「事実」を日本人はどの様に受け止め考えるのかという歴史的課題をもたらすと思います。
「鬼になって闘う。真実がほしい」
国家間の「賠償放棄」の取り決めのもとで、取り残されてしまった被害者の話という意味では、タイムリーなドキュメンタリーである。
彼女たちは、嘘つきなのか? いや、間違いなくそうではあるまい。証言映像の説得力は、すごいと思い知らされたし、今まで分からなかったことも見えてきた。
隣国の大統領が、日本だけが悪いような暴言を吐いているが、告発されるべきなのは、勝手に手を結んだ双方の国家である。
正直な感想を言えば、過去において満足のいく形で補償がなされなかったために、現在を生きる我々や子供の世代が、ツケ(金銭とは限らない)を払わせられることが苦々しい。しかし例えば、戦勝国の個人だけに請求権があるのか、同じ中国でも共産党と国民党はどうかなどと考えると、正しい補償のあり方とは何かが分からなくなってくる。
また、上映後に監督が語っていたように、日本では比較的単純な朝鮮人慰安婦問題だけがクローズアップされ、矮小化された議論で火花を散らしているが、アジア全体に目を向ければ、実は多様で複雑な問題であることが、この映画から理解できる。
舞台は中国で、映画「亡命」の班忠義監督が、かなり長期にわたって録り溜めた映像をまとめたものである。そのため、被害者の多くは今や亡くなっており、話としてはいささか旧聞に属する。
共産ゲリラ掃討のために戦場となり、無法地帯と化した中国山西省では、レイプ殺人が半ば公然と認められ、いわゆる慰安所のレベルを越えた悲惨な蛮行が行われた。
映された被害者は後遺症で障害を抱え、その後の人生は厳しいものであった。家族が持てず、貧窮した⼈⽣を送った⼈も多いという。
映画は、被害者のインタビューに始まり、日本兵の証言、日本における訴訟活動と続く。
病床に伏せったお婆さんは、「死んでも鬼になって闘う。真実がほしい」と語るが、自分のことよりも、赤ん坊の虐殺に怒りを隠さない。
監督は、十字架のキリストの死が“愛”の象徴となったように、この悲惨な物語が今後に役立って欲しいと語っていた。
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