ウエスト・サイド・ストーリーのレビュー・感想・評価
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ミュージカル映画の王道
1961年にも映画化されたブロードウェイミュージカルの定番が、スピルバーグの手によって再びスクリーンに蘇った本作。素晴らしい歌とダンスのパフォーマンスと、クラシカルな質感を纏った映像、王道のストーリー展開と、これぞミュージカル映画という度直球を堪能できました。
物語はリメイクなうえに定番の悲劇の恋なので、特に目新しさはありません。真面目に捉えるとツッコミ所がありまくりですし、個人的にはお話を楽しむタイプの作品ではないと思っています。
本作の見どころは、当時を再現した街並みやファッション、そしてなんといっても心の叫びや希望をのせたパフォーマンス。どれも素晴らしかったです。
様々なダンスや歌唱シーンがありますが、衣装の統一感や彩り、スカートのフリルの動きなど細部まで拘って練られた振り付け、計算し尽くされたカメラワークにより、とても躍動感や迫力がありエネルギッシュで熱量が伝わってきます。
お話がシンプルなので気を散らされることなく、世界観とパフォーマンスに没入することができ、スピルバーグらしいエンタメ映画として楽しむことができました。
2時間半超と長尺ですが、劇場で観るべき作品だと思います。
初ウエストサイドストーリー、ミュージカル初心者
名作は色褪せない
何だこの違和感、wssの新作豪華プロモを観てる感じ
特別な新鮮味は感じられない。
私がクラツシック音楽を聞くようになったのは、レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークフィルのLPレコード(ドボルザークの新世界交響曲)から始まった。指揮者としてだけてなく、作曲家としても素晴らしい作品を残している。
中でも一般に知られているのは、この「ウェストサイドストリー」だろう。再映画化されると知って、音楽はそのまま使用するだろうけど、振り付けはどうするのだろうと思っていた。オリジナル映画の監督でもあったジェームス・ロビンズの振り付けを超えられるとは私には到底考えられなかったからだ。
予想どおり、振り付けはロビンズの亜流だった。
ソンドハイムの作詞、バーンスタインの作曲の素晴らしさを再確認するだけだ。当時、まだ映画ではあからさまに写せなかった時代背景や社会状況が描けるようになったぐらいで、特別な新鮮味はない。オリジナル映画の衝撃はない。
オリジナル映画に出演していたリタ・モレノが出てくる。ドラッグストアの経営者で、白人のおばあちゃんにしか見えない。オリジナルではヒスパニック出身者の役柄として、化粧していたんだ。
このミュージカルを味わう最善の鑑賞方法は、舞台を別にすれば、CDレコードで何度も音楽を聞くことだろう。ドイツグラムフォン盤に、バーンスタイン指揮で有名なオペラ歌手を起用した全曲CDがあります。
ミュージカル初心者にはちょっと大変
ミュージカル映画の中でトップクラスの出来
リメイクですが、作品自体が初見でした。個人的にラ・ラ・ランド、オペラ座の怪人と並ぶ出来だと思います。まず主役の二人がとても歌が上手い。特にアンセル・エルゴートがここまで歌えることに驚きました。美術、衣装、音楽どれもハイレベル。間違いなく今年の5本に入る作品でした。映画とは関係ありませんが、パンフレットが3000円近いことに驚きました。
これはリメイクではない!原作に近い再映画化だ!!
実は今作は1961年の映画『ウエスト・サイド物語』のリメイクではなく、オリジナル舞台版の再映画化というのが正しい。本編を観るまでは確信がなかったが、間違いなく舞台版に近いものとなっている。
1961年版には、いろいろと問題があった。それは時代が時代ということで、映像表現の限界もあったのと、ハリウッドのヘイズ・コードがまだあった頃だからだ。
内容的に複数がヘイズ・コード該当する中でも、当時としては、かなり冒険的だったこともあるが、ポリコレやコンプラなど、再び規制されつつあるとしても、幅広い表現が可能となった現代では、当時描けなかった表現ができるのは、今作においては、かなりの強みといえるだろう。
ぼやかすしかなかったヨーロッパ系とプエルトリコ系移民問題の中で、アメリカという国に対して、互いにどう感じていたか、どう生きる覚悟をしていたかという繊細にな部分が、より具体的に表現さており、セリフの中にも当時の差別的表現がリアリティを追求するため容赦なく表れている。
ちなみに今年公開された『イン・ザ・ハイツ』 同じ移民問題を描いていることもあって、「ウエスト・サイド・ストーリー」の影響をいくらか受けていることもあって、画的に被る部分もある。
61年版と比べて、よりリアリティと感情移入する場面が追加されているのと同時に、アニータの役の重みが増しており、演じるアリアナ・デボーズの歌唱力とダイナミックなダンスが、圧倒的な画力をもたらしている。
そもそもアニータは単独で歌うシーンがあまりないし、歌唱シーンは 『我が心に君深く』 のベティ・ワンドの吹替えだっただけに、あまり印象に残らなかった役であったが、今作では正直言って、マリア役のレイチェル・ゼグラーよりも存在感がある。
製作総指揮としても参加している61年版でアニータを演じたリタ・モレノが今回演じるバレンティーナは、61年版では男性(ネッド・グラス)の設定だったが、今作ではヨーロッパ系の夫と結婚していた未亡人の女性に変更されている。先人として立ち位置として、若者たちにアドバイスをするキャラクターであることから、少しメタ的な構造ともなっているのは、おもしろい試みだといえるだろう。
何より原作よりも、映画版よりも大きく違っているのは、 エニィバディースの存在である。61年版ではスーザン・オークスが演じていたこのキャラクターは、今でいうトランスジェンダーであるが、61年版では時代的に描くことができず、よくわからない役であった。しかし今作では、そんなエニィバディースが存在感を増しており、具体的にトランスジェンダーもしくは、男性社会に生きようとする強い女性像のようである。今回演じているエズラ・メナスがノンバイナリー俳優というのが証拠だ。
正直なところ、作品自体が、ジェンダー問題をそれほど扱っているものではなく、どちらかというと古典的でステレオタイプな女性像を描いていることもあって、より具体的なキャラクター構造となっていたとしても、物語に大きな機能を果たしているかと言われると疑問が残るが、多様性という面においては、大きく変化した現代的視点ともいえるだろう。
スティーヴン・スピルバーグは非常に大きな成果を挙げてくれたことに違いはないのだが、これはスピルバーグの弱点というべきか、逆にらしいというべきか……恋愛映画に向いていないというのも、同時に感じることができて、ラブシーンの描写が少し物足りないのと、ここは61年版を意識しているのか、妙に映画版に寄り添ったものとなっていて、少し古臭くある。他の部分が現代的だからこそ、より浮き彫りにされてしまうのが残念でならない。
舞台の演出をそのまま映画に取り入れているため、踊り出したり歌い出すタイミングが段取り臭い部分があって、そこがフォーメーションダンスのクオリティを上げているとこは間違いないのだが、ミュージカル好きの中でも、古典ミュージカル派と現代ミュージカル派と別れるのと同じように、今作でも好き嫌いが別れる部分だろう。
メインキャラクター以外にも、『ライフ・ウィズ・ミュージック』のマディ・ジーグラー、『17歳の瞳に映る世界』のタリア・ライダー、『フォッシー&ヴァードン ~ブロードウェイに輝く生涯~』パロマ・ガーシア・リー、アリアンナ・ロザリオ、エロイーズ・クロップ、『Empire 成功の代償』のジャミラ・ベラスケス、『キャンプ』のブリタニー・ポラック、『ハイスクール・ミュージカル』のアナ・イザベルなど、大勢のプロダンサーや歌手がモブ的に配置されていて、一時停止して確認したくなるようなシーンが盛りだくさんで目が忙しい!
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