ウエスト・サイド・ストーリーのレビュー・感想・評価
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また観たいと思う楽曲の良さ
オリジナル版はかなり前にテレビで1度見ただけです。「ウエストサイド・ストーリー」は有名なミュージカルなので、観る前からこれが現代版ロミオとジュリエットなのは知っていたし、曲も”Tonight”や”America”は知っていました。だから当時は、”Cool”などの歌やダンスはカッコいいと思ったものの、不良グループの勢力争いに巻き込まれる男女のラブストーリーにはそれほど惹かれなかったです。
でも今回スピルバーグ作品を観て、当時はただ不良少年としか思わなかったけれど、移民が置かれた不安定な立場、白人の中で最も貧しい人々の鬱憤などが理解できて、彼らがまとっているピリピリした空気とか実は傷付きやすい心なんかも伝わりました。
また、1度しか観ていないのに曲を結構覚えており、改めて、人の記憶に残る名曲揃いだと思いました。
1961年というと61年も前なのに、全然古臭くないです。そして本作ではダンスの方はストリートっぽさが増して、見せ方は今風になっています。
”America”・・・(アメリカ人はタイトルに”アメリカ”が付く曲が大好きです)すごくいい曲だったんだと気が付きました。ダンスもお芝居も満足です。
アニータ姐さんを観るべき映画!
舞台は何度か観たことがあったけど映画にするの!?と懐疑的だったので観るつもりはなかった本作品。でも何度も観る予告の「今年度アカデミー賞最有力候補!」の文字や公開後目にする自分の信頼するフォロワーさん達の賞賛するレビューを見て、「そんなに良いならちょいと観てみよっかな??」と自分の直感に反して観賞。
やはり、自分の直感を信じるべきだった😅
主役の二人の声の相性はとっても良いけどトニー自身は歌うまとは言い難く、二人の出会いのシーンでは昔どうぶつ系ドキュメンタリーで見たようなどっかの鳥の求愛行動さながらの謎ダンスに吹き出してしまい、かと思えばおとなしかったはずの女子から積極的にチューしたり、チューされた男子はいきなりストーカー化して家まで押し掛け、出会った翌日にはお互いに『愛してる』ってなんぢゃソリャ💦💦💦
いくら現代版ロミジュリったって出会って終わるまで2、3日ってあまりに時間かけなさ過ぎでしょ……
アニータ姐さん以外共感できる人物が一人もおらず、ひどく残念な気分になってしまった(´;ω;`)なぜにスピルバーグ氏は今更これをまたしても古めかしく撮ったのかしら??
曲は素晴らしいと知っていたからDolby Atmosをチョイスした事だけが良かったかなー☝️
スピルバーグって映画撮るの上手よね
61年版の「ウエストサイド物語」は子供の頃にテレビ放映を見た……と思うけど正直うろ覚え。
ただ、確か物語の基本設定は同じだけど、「若者の不良化」の方にスポットが当てられてたと思う。
スピルバーグは物語や設定はそのままに、前作の不良たちの、ホワイト・トラッシュとプエルトリコ移民という両者の背景の方にスポットを当て、物語と歌や踊りをシームレスに繋ぎながら、街を舞台にすることで前作以上にミュージカルシーンをよりダイナミックに、かつ立体的にリメイクしてみせた。
さらにジェット団もシャーク団も、ジェントリフィケーション(再開発による都市の高級化)によって、近い将来居場所を奪われてしまうことが冒頭で分かるようになってて、両者が社会的弱者である事も分かる。
本作の制作を最初に知った時は「なんで今さらこの作品を?」って思ったけど、観終わってみれば確かに現代の物語だったことが分かる。
そして、物凄く当たり前だけど、やっぱりスピルバーグは映画を作るのが上手だと、改めて思い知らされた。
誰もが?知る過去の名作を…
アニータが主役(個人的に)
こんなに面白かったっけ
映画ならでは、をして欲しい(一部ネタバレあり)
ウェストサイドストーリー自体は劇でも映画でも見たことがない。完全初見です。
朧気にラインダンスが強く出るという勝手なイメージで見に来ました。
結果から言うと、消化不良に終わった映画でした。
ミュージカルとしてのストーリーは今としては王道、昔としてはかなりのクオリティだったことは想像にかたくありません。
ただ、今は2022年、映画の作法等は目まぐるしい進化を魅せるアメリカ映画としては些か地味すぎるように思えます。
まず、冒頭から終盤近くまでずっと気になってたのがカメラワークです。
これはあくまで映画のリメイクだからなのか、それとも舞台を参考に作っているからなのか、基本横の構図が強すぎるんです。
ここ最近の映画って、SFXが進化して合成もキレイにできるので、人も3Dなんてのも珍しくありません。ワイスピの亡くなられた俳優さんの1シーンだけ完全3Dなんてのもあるくらいですし。
じゃあそれの恩恵として、もっとダイナミックに、もっと斬新なカメラワークがあったっていいと思うんですが。
今作は何と言うか、ある程度舞台にセットがあれば全く同じことができる所作や演技が非常に多いです。
舞台って、全く同じものでもなくても「見立ててそれっぽく扱う」事で成立するコンテンツです。
それはつまり、裁判官の黒い服に見立てるためにスーツのジャケットを前後逆に着たり、適当にあったはしごの左右を二人が持ち上げて真ん中の人がはしごの段を両手で掴めばオリの囚人のような演技も出来てしまうわけです。
上記の表現は実際にミュージカル中に見られる映画の中で演技で、かつその演技はかなりの割合で俯瞰で映すことが多いです。
俯瞰で映している間に行われている演技は何と言うか、妙にきれいなんですよね。
警察の警部(かな?)が冒頭でギャング二組を嗜めるシーンでも、妙に2グループキレイに分かれていますし、残ったポーランド系のグループも、何故か警部に道を譲るかのように2つに分かれて、その真ん中を警部が行き来する。
いやまあ、芝居ならこういう見立はいくらでもあるけれど、君達日常警察にも色々反抗してるギャングなのにそんなことある?と思うわけです。
私は以前に齧りですがお芝居に関わっていたことがあり、そのせいか劇中のカメラワークや演技の内容がそれぞれ「いやこれ舞台でもできるやつやん!!」って毎会ツッコミが出来てしまったのです。
その分もちろんジェットやシャーク達がそれぞれ集合して踊る様であったり、グループが路上でダンスするさまはとてもボリューミーに感じられるものの、どうしても「別に映画でやらなくてもいいしなぁ」と言う違和感ばかりが残りました。
また、男性俳優さんと女性俳優さんの声の発声量にかなり違いがある気がしました。
物凄い女性は音圧も高くビブラートも効いているものの、男性は何と言うかヌケや音圧が1段物足らない声で、ミュージカルらしさと言われるとそこでも気持ちがあまり乗らず、女性陣は中盤、後半辺りから歌い始めるので正直眠さが勝っていたのが前半で、今まで映画館で映画を見て初回眠かったのはこれが初めてです。
その代わり男性俳優さんのダンスはキレがありスピードも早いのですが、服装がこじんまりしていて(基本半袖やタンクトップっぽい服にズボンだけ)やはりあまり映えずに退屈で。
演技もカメラを見て眼圧を与えるわけでもないので、本当にグループ分けのための服装でアクションもそこまで目立たず、何ともなぁという気持ちに。
ただ、舞台ではできない表現として、街のライティングや彩色が基本赤と青なんですね。
夕方や昼時であっても、種族や民族としての対立を青と赤で色設定をきっちり合わせているため、ジェッツとシャークが決戦場に向かうシーンなんかも基本そういうわかりやすい構図で面白かったです。
あと、これはあくまでも本当に個人的ですが、ラブロマンスの側面が強いためか、観客にも女性の割合が基本高く、私自身もラブロマンス、メロドラマといった内容って一番苦手で、その辺りも興味を削いだ要因だったかもしれません。
何かロミジュリっぽいよなぁ、と思って調べていたら本当にロミジュリがベースだったようで、驚きました。
以前にもアリー/スター誕生という映画を見ましたが、歌唱シーンは非常にキレイでシアターのリファレンス音源として使われているのも納得のクオリティなものの本編自体は正直好みではなく「自分は一体何を見せられてるんだろう」といった所感のママ終わった覚えがあり、その傾向に近いものだと思います。
個人的にはそういう感覚でしたが、ただ可能なら見に行ったほうがいいです。
ダンスシーンミュージカルシーン自体のクオリティは高いとも思っていますし、シナリオは好みじゃなくても他の人は好きな可能性はむしろ全然あります。
ラブストーリーが好きな方は是非、映画館で。
古き時代のアメリカを最新の映像で味わう
味わいのある時代のニューヨークが舞台の本作品。
素晴らしいのは、名曲がずらり並ぶナンバー。それなりの年代の当方は、風景と音楽に心躍りました。
前作の「ウエスト・サイド・ストーリー」のリメイク版ということで、巨匠スピルバーグならこれくらいまで描いてくれるだろうと期待通りの映画でした。
でも期待以上、ではなかったです。
前半は群舞が繰り返され、あろうことか当方は寝落ち。
トニーの登場ではイメージと違う現代的な顔立ちの俳優が出てきたことに驚き、マリアとの出会いの演出には失笑してしまい。
映像は豪華で綺麗です。カメラワークも圧巻です。
でも悲しみの場面、緊迫感のある場面などはもっと繊細に、ミュージカル映画だからこその強弱がもっと欲しかった。終始ガチャガチャしている印象でした。(当方、ミュージカル映画は好きな方です)
前作やベースになっている「ロミオとジュリエット」とどうしても見比べてしまいます。前2作品ともストーリーと世界観は素晴らしかった。
初見で見るひとには結構な感動を与えられる本作品かもしれません。
最近の映画は2時間越えが多い
始まりからなんだかワクワクする様な感じ。
やっと出て来たトニーとマリアが出会うシーンはときめいた。けど途中からこのシーンはいる?早送りしたくなった。トニー、アンセルエルゴートは立ち姿からミュージカル向きでは無い。(割と好きな俳優さんだけど)
トニーと言うからにはトニー賞級の人がいいな。前作のジョージチャキリスは映画のポスターでもその才能を充分に魅せている。
そもそもウエストサイドストーリー自体が
現代のニューヨークのロミオとジュリエットを作りたかったはず。
ならば似たようなリメイクを作るのではなくて今のウエストサイドストーリーを作れば良かったのに。
何十年も前の同じ様なリメイクなら全てがアップデートされている現在に前作越えは当たり前。
マリアは時々可愛くも見える。オデコ隠した方が良いのでは?
この作品の中でアニタ役のアリアナデボーズだけが光ってた。
これからも語り継がれる物語(ミュージカル)
長年ミュージカルを撮りたがっていたスピルバーグ。念願叶って、初めて歌い踊る。
しかし、手掛けるのはオリジナルじゃない。リメイク。しかもよりによって、ハリウッド・ミュージカルの至宝の一つ『ウエスト・サイド物語』…!
誰もがこれを聞いた時、驚いた筈。だってオリジナルは、アカデミー10部門に輝く名作中の名作。それをリメイクする必要性はあるのか…? 『ベン・ハー』の悪夢が嫌でも脳裏に蘇る…。
もしやっちまったら、大失敗どころではない。スピルバーグ自身やオリジナルに傷が付く。
絶対に手を出してはならない神聖な領域レベル。
キャリア史上最大であろうプレッシャーに、当代きっての名匠は見事に勝った…!
新たな魅力に満ち溢れて、『ウエスト・サイド物語』が鮮やかに、今再び踊り出した。
と同時に、往年のハリウッド・ミュージカルを見ているようなクラシックな雰囲気、味わい。
新しいけど、古典的。古臭いけど、新鮮。
現代的な要素を取り入れつつ、“かつての時代”へ連れて行ってくれる。
そのバランスの絶妙な事!
ミュージカル映画は今も作られ続けているが、往年のようなミュージカル映画を見る事は今となっちゃあ皆無。夢のまた夢…。
しかしそれを、魅力たっぷり堪能させてくれて、それだけでも感激ひとしお…。
ストーリーはオリジナルをほぼ踏襲…と言うか、丸っきり同じ。(なので、あらすじは割愛)
オリジナルへの敬意に感じたし、それに本作の場合、ヘンに脚色や改変しない方がいい。してしまったら、オリジナルの持つ全てが台無しになってしまう。
本作でも克明に、争う事の愚かさ、憎しみの連鎖、悲しみと末の悲劇が描かれている。
個人と個人なら、喧嘩。集団同士だったら、抗争。ジェッツとシャークスはこれに当たる。
それが憎しみ/対立深まると、より大きな惨劇…戦争へと発展していく。
不良グループの抗争だけに非ず。分かり合おうとせず、そこに人種の問題も絡め、これはもうしっかり訴える戦争の縮図だ。
スピルバーグは戦争映画を多く撮り、『ミュンヘン』では報復の虚しさを訴え続けてきた。
偶然か必然か、『ウエスト・サイド物語』のテーマはスピルバーグにぴったりだったのだ。
ミュージカルに移民や人種などの社会的問題を織り交ぜたオリジナル。
それは人種の多様性が求められる現代にこそ通じ、オリジナル以上に強く描かれていた。ここが、現代ならではの視点。
ジェッツとシャークス、警官や街の住人から迫害や偏見を抱かれているのは、やはりシャークスと感じた。シャークス…つまり、プエルトリコ移民。結局は移民。この国の者ではない、よそ者。
彼らだって、好きでこの国に居る訳ではない。“自由の国”とは名ばかりの“偽りの国”に。
それでもここで暮らしている。自分たちにだって自由がある。誇りがある。ここで生きていく。
ジェッツ側は言わば、今を生きる若者たちの体現だ。
何故彼らは性懲りも無く非行に走る…?
分かってくれない大人、息苦しい社会への鬱憤、反抗、抵抗。彼らなりの訴えであり、闘い。
そんな事でしか表せないなんて、愚かかもしれない。
が、漲る今だけの若さの力を、大人や社会がずっと押し留める事など無理。
必ず若者たちは、自分たちの力で行動する。
俺たちの声を聴け。
どちらにも言い分や非はある。どちらが良い/悪いかで決められない。
ただ悲運な事に、両グループはぶつかってしまったのだ。この国で、この街で。
分かり合おうとせず、対立し合う両グループ。
そもそもそれは、彼らを受け入れ理解しようとしない大人や社会の責任や問題でもある。
対立の果てに招いてしまった悲劇。それは彼ら自身の愚かさ故でもあるが、彼らもこの息苦しく狭い社会の一角の犠牲者なのだ。
頼むから社会よ、大人たちよ。前途ある若者たちにこんな悲劇を演じさせないでくれ。
オリジナルのクライマックスも非常に胸打たれたが、スピルバーグのヒューマンでドラマチックな手腕が存分に活かされ、より深みのあるものになった。
そんな悲劇の一方、愛し合う事の美しさ、自由への訴え、各々や自身のルーツへの尊さ、誇りが輝きを放つ。
本作でも彩ってくれる名曲やダンスと共に。
オリジナルでは『マリア』が特に印象残ったが、本作では『トゥナイト』と『アメリカ』が非常に印象に残った。今も頭の中でリフレイン中。
『アメリカ』はベルナルドやアニータら移民たちと街そのものが躍動しているかのよう。
『トゥナイト』は劇中、2回。序盤のトニーとマリアのロマンチックなデュエットと、中盤の決闘と各々の思いが交錯する前夜。同じ曲でも印象が大きく違った。
劇中曲はレナード・バーンスタインのオリジナル曲を、デヴィッド・ニューマンがアレンジ。開幕はオリジナルと同じあのメロディーが流れ、それだけで気分は『ウエスト・サイド物語』!
本作の最大の魅力の一つと言っていいのが、オリジナルに負けず劣らずのフレッシュなキャストたち。
特に、女優陣が秀逸。
オーディションで選ばれ、スピルバーグ監督の本作でいきなり主演デビューの“シンデレラ・ガール”。新星レイチェル・ゼグラーの魅力と歌声にメロメロKO!
オリジナルのナタリー・ウッドも美しかったが、マリアはプエルトリコ移民の子。白人のナタリー・ウッドが演じるのにちと違和感あったが、今回はラテン系のレイチェルがスペイン語でも歌い、しっくりくる。勿論、彼女の今後の活躍も楽しみ!
オリジナルではリタ・モレノが演じ、オスカーを受賞したアニータ。確かにアニータは旨味のある役だ。陽気で、ユーモアも担当。ベルナルドの恋人で、マリアの友人。自らも恋する女であり、良き理解者。が、愛する人を失い、マリア以上に悲劇性や憎しみを請け負う。
ブロードウェイからの彼女も新星。アリアナ・デボーズが存在感のある好助演と、パワフルな歌やダンスを魅せる。今回、オスカー助演女優賞の最有力。納得!
オリジナルのアニータ役、リタ・モレノの出演はオリジナルファンには感涙ものだろう。例えるなら、『シン・ウルトラマン』に桜井浩子が出演するようなもの。
単なるオリジナルリスペクトのゲスト出演ではなく、しっかりとした出番と役回り。オリジナルでのドクの位置。若者たちの時に理解者であり、時に嘆く。まるでオリジナルキャストが彼らを見守ってくれているように感じた。おまけに歌声も聴かせてくれる!
オリジナル以上に女性たちの姿が映し出され、“Me Too運動”の現代ならでは。
女優陣に比べると、男性陣はちと華に欠けたかなと。
ベルナルド役のデヴィッド・アルヴァレスはラテンのワイルドな魅力に溢れているが、オリジナルのジョージ・チャキリスの方が圧倒的にカリスマ性があった。
今回の若手キャストの中で唯一映画界でキャリアあるアンセル・エルゴートが演じる新トニーは、オリジナルのリチャード・ベイマーより陰あり。刑務所帰りという新たな設定となり、ただの好青年ではなく屈折したキャラ像を与えた。
『ベイビー・ドライバー』で音楽との相性の良さを見せたエルゴート。本作では直に歌声を聴かせる。
若手男性キャストたちもアンサンブルで、歌やダンスを披露。
丸っきりオリジナルと同じでは勿論無く、トニーの新たな設定などアレンジや変更、新解釈も。
オリジナルのまず最初の見ものであった空撮の開幕。本作も一応空撮から始まるが、対象物が違う。オリジナルではNYの風景だったが、本作では撤去されるスラム街。これだけで一つのテーマを表しているような気がした。
ファーストシーンのジェッツとシャークスの鉢合わせ。オリジナルではいがみ合いだけだったが、本作では乱闘や街中チェイス。アクション演出ならお任せ!のスピルバーグならではの疾走感あるシーンに。
カメラが街に繰り出したロケーションは、オリジナルの最大の魅力の一つ。本作ではスピルバーグの“眼”と言って過言でもないヤヌス・カミンスキーによる躍動感あるカメラワークやきらびやかな色使いが素晴らしい。
まるで1950年代のNYにタイムスリップしたかのようなロケーション、美術。衣装も洗練された豪華なものもあれば、着崩れしたようなリアリティーも。
スピルバーグ常連や新参加のスタッフによる名仕事ぶり。…いや、スタッフたちも一緒に歌って踊っているのだ。
さすがにオリジナルを超えた!…は言い過ぎかもしれないが、これほどオリジナルの魅力を損なわないリメイクは稀有。
昔オリジナルを見た人が感動したように、今我々も、胸打つストーリー、訴えるテーマやメッセージ、ミュージカルの醍醐味、スタッフ/キャストのプロフェッショナルさに再び感動する。
大迫力のアクション映画やSF映画は劇場大スクリーンで観てこそだが、本作もまたそう。公開延期を経て、劇場大スクリーンで見れて良かった。至福の時。
この醍醐味と魅力を、劇場大スクリーンで是非!
これからも語り継がれる物語(ミュージカル)。
今だから、リメイクされる意義がある
ニューヨーク版ロミオとジュリエットとは聞いてはいましたが、ほぼまんまじゃん!(笑)
61年に公開され、翌年のアカデミー賞を獲得した名作ミュージカル映画のリメイク。
スティーヴン・スピルバーグがミュージカルを撮ったというのも新鮮ですが、ロッテントマトでもかなり評価が高いのでかなりな期待値をもって観賞しました。
期待以上とまではいきませんが、結構面白かったです!
基本的にミュージカル映画の魅力というのは素晴らしい歌とパフォーマンスだと思っています。
これがあれば、ストーリーが普通でも大概はカバーされます。
まず、主人公の仲間やプエルトリコ人達の社交ダンスのシーン。
ジャズのビッグバンドをバックに、そんなに広くないホールで大人数がぶつからずに男女ペアで社交ダンスを踊る場面は「これぞエンターテイメントだ!」と声に出したくなるほど圧巻でした!
スピルバーグは娯楽映画の名手だけあって、エンターテイメントとしてのミュージカルの魅力を充分理解している方と解って嬉しかったです。
また、主演の二人の歌唱シーン。
トニーを演じたアンセル・エルゴートは今回初めて歌う場面を観ましたが、あんなにミュージカルに合う歌声を響かせる事が出来るとは思わなかったです。
マリアを演じたレイチェル・ゼグラーの歌唱力も凄く、ハイトーンの響きが心に沁みました!
今作の舞台はニューヨークで、ヒロイン含めた親戚や兄の仲間はプエルトリコの移民という設定でした。
リメイク前の原作映画は、プエルトリコ人の俳優を起用出来なかったそうですが、今回スピルバーグがプエルトリコ人の俳優に拘ったそうなので、そこに関してはリアル重視でした。
ストーリーに関しては、移民における人種差別を描いていました。
40年前の映画でも描いていたはずの問題が未だにアメリカにある事にある種悲しさを感じますが、だからこそスピルバーグは未だ続いてる今のアメリカの情勢を感じて今回リメイクに踏みきったのだと思います。
そういう意味では、リメイクする意図が大いに感じられました。
人種間の対立や男女における価値観の違いや偏見をテーマに盛り込んでいるので、コミカルな場面やロマンチックな場面はありつつ描写は重いです。
ただ、人間のどうしようも無さや刹那的な衝動等を描いているので、多くの登場人物に共感が生まれます。
ただ、肝心な主人公とヒロインの恋愛描写に関しては正直弱かった気がします。
ディズニー映画もそうですが、傑作の恋愛映画は、基本的に男女が出会って良い感じになり結ばれるまで少し時間をかけることが多いです。
ただ、今作に関してはトニーとマリアが出会ってそうそう良い感じになってキスしてしまうので異様に早いです!
いやいや、「寝ても覚めても」じゃないんだから!(笑)
それから、説明的な台詞も多いです。
今作に関しては世界観を理解するためにある程度必要だとは思いますが、当時の街の様子は冒頭に文字で説明するなどの工夫はしても良かったんじゃないか?と思いました。
いろいろ気になった部分はあるものの、ミュージカル映画として、エンターテイメントとして、面白いものとなっていました!
(余談)
日本の映画製作者の皆さん、ミュージカル映画を作りたいのならこのウエスト・サイド・ストーリーを観て勉強してください!
素晴らしい出来だが、
名曲の数々で彩られた楽曲やダンス素晴らしさはもちろん、それを現代らしいアングルや美しい映像で観せている、よく出来た作品だと思う。しかし絶賛のレビューが多い中、敢えて書いておきたいと思う。
終盤まで楽しんで観ていたが、アニータのレイプ未遂シーンでガタガタに。
原作にも舞台版にも元の映画にもあることは知っているが、敢えて2020年代にリメイクするに当たって、このシーン要ります?
この物語でいちばん悲運のヒロインなのはアニータだ。恋人を殺され、それでも意を決してトニーとマリアのために危険と承知でヴァレンティーナの店に行った。彼女は何一つ悪くないのに、「女である」というだけでこんな目に遭う。
ひとつ、過去と違っているのはヴァレンティーナが心底蔑んだ目でそれを非難するシーンが加えられたこと。ヴァレンティーナを演じているのは前作でアニータを演じていた方なので『アニータが時代を超えてアニータ=自分自身を救った』と思えば少しは胸がすくかも知れないが、そのためだけにレイプが必要とも思えない。
このシーンまではこの若者たちを「やんちゃもするが劣悪貧困な環境の中助け合ってきた幼馴染たち」と見ていたが、一瞬でそのあとはもう気持ち悪いケダモノにしか見えなくなってしまった。レイプシーンもしつこくリアルで、息苦しくなったので、「ラストナイトインソーホー」同様、警告があるべき。男性には「暴力のひとつ」に思えているかも知れないが、深刻な地雷である女性は多い。「すてきな悲恋の名作ミュージカル映画」という触れ込みだけではこんなシーンがあるとはわからないし、「すてきな悲恋の名作ミュージカル映画」にレイプ未遂のシーンが必要か。毎回こういうシーンが含まれる作品に思うのは「ほんっとにそのシーン要ります?」だ。ほとんどは無くて問題ない。今回も、男たちがアニータを取り囲んで脅したりからかったりする…で十分だったはず。残念だ。
そしてアンセルのあの「事件」についてはどうなった?ベイビードライバー大好きだっただけに、はっきりさせて欲しかった。スピルバーグも、かばうならかばうでもいいから、触れるべきだったと思う。映画ファンは忘れてないんよ。
タイトルなし(ネタバレ)
昔の映画は見てませんし劇団四季などのミュージカルも見ていません。
話の内容はロミジュリの現代版だと聞いているのでなんとなくわかった上で鑑賞。
Tonightは有名なので知っていましたが他にも耳にしたことのある曲が何曲かあり、これらもウエスト・サイド・ストーリーの曲なのかと驚きました。
現代版ロミジュリという知識しかなかったため、何か対立しているんだなというイメージしかありませんでしたが、そんな私でもなんとなく元々住んでいた白人vs移り住んできたプエルトリコ人という構図をすぐ理解できました。そのへんはわかりやすくて良いです。
あとから移住してきた方(プエルトリコ人)の方が貧しいんじゃないかというような気がするけど、もともと住んでる方(白人)が貧しい、というのがちょっとむずかしいなと思いましたがこのギャングたちが貧しいだけなんですねきっと。みんな親が酒飲みとかあまりいい職についてないみたいな話でしたので。
ミュージカルに私はそこまでストーリー性を求めてないので、他の方がレビューしてるように一目惚れがありえないとか兄を殺されたのにすぐ許すマリアに感情移入できないとかそういったところはまぁ確かにそのとおりだけど気になるほどではありませんでした。
それでも兄を殺されたのにすぐエッチしちゃうところと、恋人を殺されて傷心中のアニータに、トニーが大好きって歌いかけるマリアは狂気じみてると思ってしまいました。
トニーは信念がありそうで実はあんまりないヤツでしたね(笑)
出所して真面目に生きようと決意したのに結局ダメなやつに舞い戻ってしまってましたね。
歌やダンスはとてもワクワクさせられるものでした。揃っているけど個性もある感じで、もっと見ていたいなと思いました。
アニータの演技やダンスが今回の1番ですね!
後半はけっこう暗くなっていって最後も悲しい展開となってしまいましたがこういう話なのでしょうがないですね。
マリアが自分を撃つのかなと思ったけど撃たず。
味方も敵も一緒にトニーを持ち上げて行くところが唯一の希望というところでしょうか。
マリアの歌声はとてもきれいでした!
それに対してトニーはそこまで上手いとは思えず。全然下手ではないですけど。あと顔が少しMattくんに似てて面白かったです。
クルクル、ジャンプ、ヒラヒラと
前半のダンスシーンが長くて、ウトウトしてしまった。
1961年の映画は未見だが、1度は耳にしたことのある名曲が流れるたびに興奮した。ラストはそうなるだろうなと思っていた通りだったが、泣いてしまった。
ただスピルバーグがインタビューで、ミュージカルの中に入り込んでいるような臨場感や迫力を出すようカメラワークにこだわったと言っていたが、それって必要だったのかな?
例えば「レ・ミゼラブル」では、舞台版にはない船を引っ張るシーンや、革命の群衆が歌うシーンが、映画ならではのダイナミックな演出で楽しかった。ウエストサイドストーリーの舞台版と1961年の映画を観ていれば見せ方の違いがわかって面白いのかもしれないが、歌のないダンスシーンが続くと飽きてしまった。「インザハイツ」と背景が似ていたが、ダンスはあちらの方が観ていて楽しかったと思う。
映像と音楽と動きの楽しさでいえば、ジョーズの迫る背びれや、ETの飛ぶ自転車、インディジョーンズのトラックでのアクションの方が勝っていた。
普通。
まぁミュージカルだからそこまでの湧き上がる感情を画面で表現するのは難しいのかもだけど、とにかく普通の映画だなっていう感想。歌もそんなに...。
あとお兄さん死んだ直後ベッドインはかなりやばいでしょ。サイコだよ。
主演もなんだか華がないし、なぜそこまで惹かれあったの?アニータ役の役者さんは良かった。
あと長尺すぎて前半がかなり長く感じる。
前作を超える骨太のミュージカル
ミュージカル好きの私も満足の、よく出来た映画でした。さすがスピルバーグ、面白かったです。
『ウエストサイド物語』は、61年の映画は、もちろん、3年前にアラウンド東京でやった舞台も観ました。
今回も、ストーリー自体はオリジナルに基づいていて、新しく解釈がされていたり、エピソードが変わっていたり、ということはなかったです。
冒頭のカメラワークがすごい。さらにセットの素晴しさが際立だっています。
50年代後半、ニューヨークにリンカーンセンターを中心とした文化施設を建てるために、ウエストサイド60番街辺りに住む、貧しい若者の、縄張り争い、恋や、やるせなさや、豊かなアメリカに対する憧れが、名曲と共に展開していきます。オペラハウスに美術館、高等な文化のために、貧しい人々の行き場がなくなるというのが、なんとも皮肉なものです。この話は、当時の社会的な問題を孕んで、生まれたものだったのです。
今回の役者さんたちは、厳しいオーディションを勝ち取り、スピルバーグ映画に出演するために、演技だけでなく、歌、踊りに精進したのだと思うと、すごい!と思いました。とにかく人気アイドルを主演させて、ちゃっちゃ、と作った学芸会のようなものを、ミュージカルと呼ぶ、どこぞの国とは違いますね。アメリカのショービズに関わる俳優さん達の、層の厚さを思い知らされました。
ウエストサイドストーリー自体は、ロミオとジュリエットをベースにしたお話ですので、ラスト、死んだと思わせておいて…というところも、よくわかるように展開して、納得でした。今回、際立って強調されたジェッツとシャークスの対立よりも、基本はトニーとマリアの悲恋の話なのだ、とは思いますが、個人的には、トニーはなぜこの人?と思いました。この映画の減点箇所はそこです。
私のイチオシはリフ役のマイク・ファイスト。少し前に映画になった、ディア・エバンハンセンのコナー役を舞台で務めていた俳優さんです。(映画は出てない)
また、映画の終盤で、61年の映画で好演した、リタ・モレノが歌うsomewhere に心揺さぶられました。まあ、1番の盛り上がり箇所に、これを持ってくるスピルバーグのあざとさに、やられたわけですが。
ニューヨークの話なのに、アフリカ系もアジア系も出でこない。50年代ですから。でも、見ている私たちの脳内に、見えない人種の対立が浮かび上がってきます。スピルバーグが敢えて、オリジナルに忠実に作ったのは、いつの時代も、人間の愚かさは繰り返される、ということを伝えたかったからではないでしょうか?
歌だけでなく、ダンスもキレキレで素晴らしく、セットといい、カメラワークといい、ミュージカルに違和感がなければ、見応えのある映画だと思います。おすすめします。
何も無い
感情移入出来ない。
理由はいくつかあるが、第一に俳優陣に美しさを感じない。
特にヒロインは何度見直しても美しくない。
相手役の男優も美しいとまでは行かない。
他にも光る俳優は見えなかった。
ここが1番の致命傷であった。
第二にお話がお粗末過ぎる。
いくら何でも自分の兄が殺された日に、殺した本人と寝るなんて有り得ない。
愛が超越させたと言う理屈も、出逢って数日のインスタントな愛では説得力が無い。
他にも色々とあるのだが、兎に角ヒロインの心理にもう少し説明がなければ、観客は???の連続で興醒めしてしまうだろう。
元々ミュージカルには縁がないが、スピルバーグと言うこともあり、期待していたのだが、終始退屈でしか無かった。
オリジナル版は超えるためにあるのもではないが…
可もなく不可もなし…
オリジナル版観ずに鑑賞
若者たちの暴力的苛立ちを、そうとは思わせない位明るく楽しい名曲に乗せてミュージカル化していたという意外性もあり悪くはなかった
CGなのかセットなのか1960年前後のニューヨークの安アパート群の再現度も非常にリアルで、今や高価であろう当時の車も見事に揃っている
ただ、去年話題になったミュージカル「イン・ザ・ハイツ」程かと言われたら、正直それ以下でしかない
まず出演者たちが小粒な印象
観てはいないが、オリジナル版のポスターからはもっと役者たちにパワーがあったような気がする
「1から新作ミュージカルやりゃあいいのに何故リメイク!?」という気持ちも無きにしもあらずだが、市川崑のように過去の手前作品をセルフリメイクしたがるジジイではないのだけが救いかな…
何をどうしたかったの
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