「歌の力をとことん描いて痛快!」カセットテープ・ダイアリーズ 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
歌の力をとことん描いて痛快!
パキスタン移民の厳格な父のもと、内気で自己主張を抑えていた青年。ハイスクールで友人や彼女と出会って刺激を受け、父が解雇されるショックの中で、B・スプリングスティーンの歌に出会い、自己肯定と自分の進む道への勇気を与えられる。
とにかく、B・スプリングスティーンの詩と曲が、主人公の心情とリンクしていることに、とことんこだわって描いていて、爽快。サッチャー政権末期の社会経済情勢、パキスタン移民への差別をしっかり描いていて、特に主人公と友人が、ファミレスで席をよけさせられた後、歌とともに立ち向かっていくところが痛快で、胸が熱くなる。
1980年代後半の雰囲気、ハイスクールの生徒のファッションが、ワムやバナナラマ風で、B・スプリングスティーンは当時ちょっと時代遅れに捉えられていたことも、同時代を生きてきた洋楽ファンとしてよくわかる。見たこともない外国人の歌で心が揺さぶられるのは、世界共通なんだね。
ボヘミアン・ラプソディーもそうだったが、あらためて振り返ると、70年代~80年代の歌の力はすごい。当時若者だったおじさんにも、当時を知らない若者にも観てほしい。
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