「明日なき暴走」カセットテープ・ダイアリーズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
明日なき暴走
実は歌詞をじっくり読んだこともなく、シングルヒットした「明日なき暴走(Born to Run)がいい曲だな~と思ってただけの記憶。てっきり全米No.1になってたかと思いきや、最高位が23位だということに驚いた。記憶ってそんなものですね。ちなみにアルバムは最高位3位。
映画全編に渡ってブルース・スプリングスティーンの曲が聴けるのですが、序盤でかかっているのはペット・ショップ・ボーイズ、a-haだったりする中、レベル42が聴けたのは幸せ。歌詞に惹かれるジャベドの気持ちもわかるし、息詰まるような世界から抜け出したい欲求が見事に伝わってきている。
パキスタン人への差別、貧富の格差、失業問題、サッチャーやレーガンへの批判、またサッチャーが強行した悪しき人頭税など、様々な痛烈なメッセージも感じ取れるのです。また極右ファシズムのイギリス国民戦線など、こりゃナチスの再来だわ・・・と、イギリスの暗黒面も描いていた。そんな中、ジャベドのガールフレンドとなるイザベラが高校生ながらも政治運動に加わっていて、彼女がまたキュートで惚れてしまいそうになる。
イスラム教の家族というのも日本の封建社会を見ているようで、将来が縛られてしまう窮屈さだった。ジャベドが父に反発するのもしょうがない。そんな彼の訴える手段は“詩”だ。学校の先生にも認められ、隣人の老人にも褒められ、やがては・・・といった展開。人種差別に関してはイザベルが教えてくれるだろう。
この混沌とした世の中。変えられるものはいくつもある。レイシスト、ファシストは去れ!といった感じで、今観るべき映画の一つなのだろう。
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