「涙ピュッ」糸 ryo_maさんの映画レビュー(感想・評価)
涙ピュッ
キャストがとっても豪華、往年の名曲の映画化、コロナにより延期していた感動大作が公開。様々な要素を持ち合わせた今作ですが、その分かなり不安でした。雪の華も鑑賞した自分として、感動ソングを安易に映画化するとヘンテコなことになるんじゃないかと思っていましたが、予想は的中しました…
中学生の時に離れ離れになってしまった2人が様々な糸を手繰って最終的に出会ってハッピーエンドなのかなと思いきや、まぁ出会う出会う。そんなに会っていいの?くらい出会ってしまうので紡ぐ物語として破綻していました。
今作はいろんなシチュエーションの使い回しが目立っていました。
"泣いてる人がいたらギューって抱きしめてあげる"という行動は物語に暖かさを加えてくれていいなと思ったのですが、"どんぐりを投げる"これは奥さんが主人公に向けて投げて話を聞き出すみたいなシチュエーションであったり、娘が勇気づけるために投げるみたいな感じは無難だけどいいかなと思っていました。ただお義父さんが投げるのはどこか畑違いのような気がしました。1発投げるだけならまだいいのですが、2発3発、挙げ句の果てには10個ぐらいバッと投げるシーンにはお口ポカーンでした。何がしたいのという感じです。
テーマ的に"裏切り"を描きたかったんだとは思うのですが、会社が成長してきた→そうだ株に投資しよう→やべぇ失敗した逃げよう→やめてっ!1人で幸せになりたい→ごめんね…
は?でした。どうしてこのシーンを描きたかったのかが分かりません。主人公2人を窮地に追い詰めたいんでしょうけど粗雑すぎてもう…
この作品のタチが悪いところが重大な災害や死を主人公たちの感情を表現するためだけに使っているところです。東日本大震災の津波の映像を流す時に、現地の方々の事を考えたのかと思いました。「9年経ったらいいんじゃない?小さいテレビの中だし」みたいな安易な考えが透けてイラッとしました。
奥さんの死も、病気に立ち向かっていくシーンや、病床での苦しみが無いので、あまりにも適当すぎてこちらも腹が立ちました。死に立ち向かう物語がメインではないのはわかっていますが、そんな簡単に扱っていいものではないような気もします。
最終的には結婚してハッピーエンド。という感じで終わりましたが、この結婚を描写するために奥さんを死という形で途中退場させたのかと思うと呆れてものも言えません。
こんなにも褒めることのない作品は久々に観ました。あくまで個人の感想なのであしからず。
褒めれるのは主人公がカツ丼を食べている時に「糸」が流れるシーンです。あれは笑いました。それだけです。
最後に「糸」流しすぎ。しつこい。