「りゅ〜」糸 Appleさんの映画レビュー(感想・評価)
りゅ〜
大丈夫。大丈夫じゃない。
(若干のネタバレありかもかも)
「大丈夫?」そんな一言で始まった2人の物語。
うまく行ったかと思えば、また失敗して。失敗したかと思えば、うまく行って。当たり前のことなのかもしれないけど、皆そうやって生きていくんだと改めて実感した。
「大丈夫、大丈夫。」そう言い聞かせながらカツ丼を頬張る葵(小松菜奈さん)にはとても心を打つものがあった。
手を握り続けれる人になりたい。そう言っていたからこそ、玲子(山本美月さん)の手は離さないで欲しかったし、ずっと寄り添っていて欲しかった。
今思い返せば、映画前半と後半で全く話が違う。30年の月日はこうも人生を変え得るんだと感じた。
この映画の元となった、中島みゆきさんの歌、「糸」にこんな歌詞がある。
「縦の糸はあなた。横の糸は私。」
この歌詞のように、漣(菅田将暉さん)と葵、漣と香(榮倉奈々さん)、葵と大介(斎藤工さん)など、沢山の人同士のつながり、物語が映画の中で繰り広げられていた。こういうつながりで一枚の布が出来上がり、人生が出来上がっていくんだなと感じた。香が死の間際に言った言葉。「この人生に後悔はない。」しっかりとした布が出来上がったということだ。そして、香が織りなした布は娘の人生を温めていることは観た皆さんにはわかりきっている事だと思う。
「過去より今だ」
香はそう言っていた。
でも、たまには過去によりすがってもいいじゃないか。後悔したっていい。大事なのは、諦めないこと。乗り越えられない、乗り越えるのが難しい過去を背負って生きている人だって世の中には沢山いるはずだ。でもそんな時は周りの人を頼って、諦めないで、糸を紡いで、時には綻びて、そうやって回り道しながらでもそれぞれの布をゆっくりと織りなせばいいんじゃないかなと思う。漣がチーズを成功させたみたいに。葵が玲子の手を取り、仕事を成功させたみたいにね。
みんな、大丈夫だよ。
p.s.
ちょっとだけ、内容じゃないとこに触れますね
中学時代の、漣と葵の絡みが甘酸っぱすぎる!!
いいなぁ、あの純粋な恋。映画のつかみとしては素晴らしい気がした!葵役の植原星空さんも声がまた好き!ほくろの位置も菜奈ちゃんと一緒だし、すごかった!
成田凌くんも弥生三月といい、震災に関する役やってて大変だろうに。すごいです。
糸が流れるシーンがたぶん3回くらいあるんだけど、全部鳥肌。上にも書いてるけどカツ丼食べてるシーンはなんかわかんないけど泣けてきちゃう。
ぜひいろんな人に観て欲しい映画です!
自分もいろんな人のレビュー観てあーだこーだ思っちゃお!
映画館に行こう!