劇場公開日 2021年6月4日

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猿楽町で会いましょうのレビュー・感想・評価

全72件中、1~20件目を表示

4.5逃げることは、進むこと

2021年6月25日
iPhoneアプリから投稿

 うわ、これは久しぶりにすごいものを観てる!と、かなり早い段階からぞくぞく。この瞬間が過ぎていくのが惜しい、終わってほしくない!と、ざわつく気持ちを抑えながら、スクリーンを凝視した。
 予告編を観たときは、うわ、ベタだな、と正直引いた。渋谷の片隅で、ふわふわと夢を追う、若い男女の話…。けれども、なぜか気になる気持ちがふくらんでいき、終映日にすべり込み。結果、観て本当によかった!と思えた。
 なぜ、よかった!のか。どこが、どうすごいのか。
 この映画は、甘さを寄せつけない。出会って、近づいて、のステップはありがちで、きっとこの後はすれ違いや別れがある、そんな予感はあった。けれども、2章として彼女目線で物語が改めて語られたとき、そのあまりの落差に愕然とし、目が離せなくなった。
 夢を追いかける、やりたいことをやる、ということは、いかに自他に犠牲を強いて、人に取り入り、蹴落とすことを必要とするのか。そんなずるさをユカは怯まず体現し、醜さを人前にさらす。ユカを取り巻く人々も、みんなずるく、醜い。それでいて、嫌なやつと切り捨てられない。一面では余裕綽々で人を惑わすものをちらつかせる人も、他方では必死で、なりふり構っていられない切実さがある(はず)だから。とても他人事とは片付けられず、もつれていく彼らの行く末を見届けたくなった。
 小山田は、きっと早いうちからユカの嘘に気付いていたはずだ。けれども、似たような傷があるから(スマホを覗き見ている負い目があったから)、優しく物分かりのよい態度を保っていた。激情から彼女の嘘を暴いたとき、彼は自分の嘘さえも自身に突きつけてしまう。それは本当に優しさだったのか、と。好きだから、と相手をやみくもに信じようとするのは、目前の嘘(かもしれないこと)から、平然と目を背けることではないのか、と。
 写真一枚を残し、彼は部屋を出ていく。淡々とした姿に、彼は逃げていく、と言い換えたくなった。
 人は、何かから本気で逃げ出そうとしないと、前に進めないのかもしれない。

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cma

4.0【未完成映画予告編大賞グランプリ受賞作】構成が面白い作品。リアルな「痛々しさ」が残る佳作。

2021年6月4日
PCから投稿

本作は、「未完成映画予告編大賞」という「未完成映画」の予告編映像(3分以内)でタイトルに具体的な地名が入った作品で競う映画賞において「グランプリ」を受賞した作品がベースになっています。
長編監督デビュー作で低予算での枠組みなので、キャスト陣は知る人ぞ知るという感じです。
つまり、内容が勝負な作品です。
内容は、割とリアルな設定のため、「痛々しさ」がまとわりついています。
思わず「これは実話としてもあり得るな」と思ってしまうなど、荒唐無稽とは思えない映画となっている時点で、「児山隆監督」が誕生した瞬間でしょう。
そして、本作は何といっても構成が面白く、まずは
【chapter1】として「2019年6月~2019年7月」を描いています。
次は、どこに進むのかというと、
【chapter2】として「2018年3月~2019年7月」を描くのです。
これは決して「トリッキーな時間軸いじり」ではなく、あくまで必然性を持ちながらの構成です。
この辺りの時間軸の構成力が上手く、一見すると交わりそうにない人たちがどのように交わっていくのかが自然と追えるようになっています。そして
【chapter3】では「2019年8月~」を描き、物語を進めます。
男女の恋愛模様に加えて、カメラマン、モデルとして業界あるあるな「売れる、売れない」という非常にシビアな世界を痛々しくもリアルに描いているので好みは分かれるかもしれません。
好みの問題はさておき、さすがはCMディレクターでの経験も生きていて、長編監督デビュー作では出来が良いと思います。

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細野真宏

2.0んなこた百も承知だ。これ撮って何になる?

2025年8月25日
iPhoneアプリから投稿

非支持。
毎年毎年、全国の可愛い女の子達が
芸能界を夢見て東京に出て来て、
可愛いから直ぐに風俗や枕で身を持ち崩し、
可愛いからと惚れた男達が大勢傷付きます。
って、んなこた百も承知だ。
これ撮って何になる?
何じゃこりゃ。
役場が作る真っ当な職業選択奨励ビデオか?

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きねまっきい

4.0女性の嘘と男性の性欲の現実さ

2025年8月11日
iPhoneアプリから投稿

私は男目線だから男が仕事に本気で向き合い、女性に好意で向き合う気持ちがわかる。これはリアルだと思う。
女性も同様にこれくらいの都合の良い嘘をつき、人から評価される仕事を目指すのかと思うと惨いと思う。男性を引き寄せる度々の否定も。
映画を見る時には見終わった後のタイトルを考えるが、猿楽町で会いたいと思う男性と来る女性は途中までで、最終的に男性は猿楽町を離れ、女性を誘うことはなくなる。

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かさかさ

5.0「あなたはどんな人ですか?」

2025年4月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:その他

悲しい

怖い

ドキドキ

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自分記録用

5.0子供と大人の狭間で、無垢な永遠の天国を探したすべての人たちへ

2024年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

泣ける

悲しい

主題歌の歌詞までもが映画の一部となっており、エンドロール中に涙が止まらなかった。
あの頃僕たちは、大人になりたくて、でも大人になんかなりたくなくて、でももう子供じゃないんだって思ってて、でもいつまでも子供のように純粋でいたくて。
だからこそ誰かの愛が欲しくて、体温が欲しくて、ずっとずっとあるはずのない天国を探していた。
純粋さは時に何よりも残酷で、だからこそ自分でもコントロールできなくて、受けた痛みに生きている実感を感じたりした。
きっと今もこんな青年と女の子は、無理に住んでいる都心のアパートで、永遠を口にしては仮初の安心の中で震えているだろう。
渋谷の近くに住めば、何かになれると思ったんだろう?
たった数ヶ月や1、2年のことでも、傷は深く、すべてが麻痺しまくった大人になっても、甘美な瘡蓋はまだ自分のどこかに残っている。
久しぶりに少し剥がして、中のぐちゅぐちゅが見てみたい。そんな人におすすめです。
これが刺さらない人、楽しい人生を歩んできたんだろうな。羨ましいです。
僕は、刺さりすぎてダメでした。また見てしまいそう。

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Gongping

3.5田中ユカは《こう生きる》以外に、どう生きれば良かったのか?

2023年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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琥珀糖

4.0作品に込められたメッセージがつかめないけど、

2022年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

予備知識0で鑑賞。嘘つき自己中女の身勝手話はよくある話なので展開こそ凡庸でしたが、主演の2人をはじめ役者さん全員の真剣な演技に引き込まれましたので★4。マイナスの内訳は特に終盤、あの状況であんな撮り方ではほとんどブレて使えないだろうなあが☆0.5。「何者ではない者は何者でもないから堅実に生きろ」なのか、「ある人にとって東京は嘘をつかないと生きられないコワイところだよ」なのか、「主題歌を映像化してみた」なのか、監督が作品に込めたメッセージはつかめなかったので、他の人のレビュー巡回にて残りの☆0.5を回収しにいきます。

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mojimizu

4.0なぜこれを私は映画館で観なかったんだ

2022年3月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

性格の良いまともな人間が誰一人いない、
生々しくてとてもくさい映画。
最高だった。

ポスターと予告ではわからない、
良い意味で期待を裏切られた。

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酒

4.5現代社会の表裏を煌びやかに残酷に絡み合う

2022年1月26日
iPhoneアプリから投稿

2021年劇場(配信)鑑賞49本目 傑作 79点

現代の若者を一番顕著に描いた群像劇

もう女の子役がメンヘラのメンヘラ、卑屈で拗らしてるクソっぷりが凄い、言い方悪いけど顔もまさしくそう。

脚本も凄く良く出来てる。

なんか観てる最中これ良いなぁ凄いなあと思いながら鑑賞してたのは覚えているが、今文字に思い起こそうとするとなんだか気持ち悪い、なんか上手く思い出せないし思い出したくない。笑

けど、2021年個人的ランキング5位にランクインした作品です。

是非

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サスペンス西島

4.5全員クズ 19本目 (再込22本目)

2022年1月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

モブ以外出てくる奴全員クズ。(褒めてる)
ちょっと時間をずらしながら同じ場面をを違う視点から観るパターンの映画。最近だと『最後の決闘裁判』みたいな?このタイプの映画は行動の裏や理由が詳しくわかるので好き。
『うみべの女の子』を観て石川瑠夏さんにハマったのでこの作品も鑑賞。キャスティングも良いし演技力も良かった。
全体を通じて女性の怖さ、ヒロインがつく嘘や、古着屋の変な声の男の行動で、社会的弱者の被る仮面についてが上手く描かれていたと思う。

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もり

5.0ユカルカユカルカ

2021年12月15日
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鑑賞方法:映画館
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neko

4.0猿楽町て知名度あるの?

2021年10月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

渋谷と言えば道玄坂やセンター街は有名だけどこの町名読めませんでした 悪徳?スクールや夢をもって都会へ出たものの的なお話 読者モデルとかどの様な契約になってるのか事務所とか通さないのモデルとカメラマンが直でやり取りしたらトラブルも!石川もすっかりエロ専門女優に真剣交際まで至らないのに簡単にヤリたがる男女も違和感エロシーンを無くして普通の物語にした方が現実味があったと どうせ脱ぐなら小西に脱いで欲しかったけど!

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ゆたぼー

4.0猿楽町 渋谷繁華街も代官山も微妙に遠い

2021年9月11日
iPhoneアプリから投稿

前提知識あまりなく下北沢で
街の上での流れの映画かと思っていたら大違い
割と激しめの部分もあるが結構現実にありそうなことだし、何かどんでん返しで主人公女性が実は男性、だからみたいなと確信してたがあっけなくはずれ
主人公同士、主人公女性がらみシーンは疲れたが主人公男性仕事がらみシーンの間で息つけた
観終わり直後は星1つと思っていたが、落ち着いたらよかったのかなと思える不思議な映画で星4

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sakurasakura

4.0君は、今まで、どうやって生きて来たのか。

2021年8月2日
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鑑賞方法:映画館
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bloodtrail

4.0石川瑠華が素晴らしい

2021年7月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

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りあの

4.5優れた脚本と等身大の演技に感心

2021年7月22日
Androidアプリから投稿

チャプターが3つに分かれており、スタートでは、駆け出しのカメラマンと売れない読モの純愛映画か?と思うが、
チャプター1が、カメラマン視点に終始していたためだった。2、3で実は、、、が描かれており、1での伏線が回収されていく。1では伏線ぽくなく、現実世界の厳しさ故と思われるありふれた場面でも、2、3で回収されている。売れないカメラマンを金子さん、読モを石川さんが演じているが、感情移入しやすく素晴らしい。特に石川さんは、本当に主人公ユカなんでは?と思うくらい、見た目は明るいのに裏では、、、と思うくらいはまり役と感じた。
優れた良作です。
女性は怖いね

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ダルメシアン07

0.5自分が観客ならば、を考えるべき

2021年7月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

鑑賞料金を高く感じた。
本作を観たあと、正直に抱いた思いです。

悪い作品ではありません。
それにしても、映画ではないのです。
YouTubeなどの長尺CMのコンプリート版とでも言えるでしょうか。

やはり、商業映像出身の域を超えられなかったようですね。

等身大の世界観。
普通すぎる人物たち。
よくありそうな物語。
これらが上手にまとめられた映像。
それだけなのです。

観たあとに話すべきこともなく、料金を払ってCMを観に来た。
そんな思いだけが残りました。

児山さんは映画へ進出せずに、コマーシャリズムな映像に徹するべきでしょう。

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H Hassy

4.0胸にズドンときたものは。

2021年7月11日
iPhoneアプリから投稿

観賞後に自分の胸の中に結構ズドンとくるものがあったんだけど時間が経ってもそれが一体何なのかを言語化できずにいます。
何が良かったのか自分でもよく分からないけどなんか良かったなぁ、という作品でした。

ユカには最初から嫌悪感を抱いてしまい、(絶対に友達にはなれないタイプだわ)(こういう子ほんとにいるよね)(あ、あの子にそっくりだわ)などと考えて観てました。
今ドキの言葉で言うと「あざとい」「メンヘラ」女、ってところでしょうか。読者モデルの撮影場面での作った表情さえも可愛いんだけど腹が立ってしまって(笑)。
それは石川瑠華さんの体当たりの演技がとても良かったってことです!

小山田は純粋な青年ですよね。ユカを本気で好きだからこそあんな行動を取ってしまったけどでもそれは(わかる。。)ってなりました。
演じた金子大地さん、雰囲気が塚本高史さんにちょっと似てましたね。塚本さんが若い頃にやりそうな役だったし。

結構生々しい部分もあったけどかなりリアル。
地方から夢を求めて上京してきた女の子の現実。
特にユカみたいに芸能界に憧れて東京に来ても高い家賃やレッスン代に苦労して夜のお仕事や風俗的なバイトをしていつしかそれが本職になっていく—。

小山田は少しずつ夢を叶えていってたけどこれからどうなるのかな?成功してほしいな。

脇の人たちの妬みなどの感情もすごくリアルだったし人間の嫌な部分をストレートに描いていて。

あ、わかった!冒頭に書いた私の胸にズドンときたものの正体は誰もが持っている隠しておきたい過去や醜い感情などを描いたその怖しいほどのストレートさだったんだわ。

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ごーるどとまと
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