気狂いピエロのレビュー・感想・評価
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初見なのに既視感たっぷりの名作中の名作
フェルディナンはイタリア人の妻との平凡な生活に嫌気がさし、子供達のベビーシッターとして家に来ていたかつての恋人マリアンヌと逃亡する。その場しのぎで行き当たりばったりの逃避行を楽しむ二人だったが、奔放なマリアンヌはフェルディナンの言動に苛立ち始め二人の関係が少しずつ色褪せていく。
半世紀以上前の映画なので正直相当チャチでデタラメでアホくさくて退屈。実際客席のあちこちからイビキが聞こえてきましたし、どうも個人的にジャン=ポール・ベルモンドの佇まいが好きになれないので主人公にもさっぱり共感できませんでしたが、初見にもかかわらず全編に渡って物凄く既視感がある映像。要するに自分達世代は『ルパン三世』の1stシリーズを通じてゴダールを体感していたんだと確信、こういう無軌道なピカレスクをアニメで表現した当時の製作者達の慧眼には驚嘆しかないです。
フェルディナンを振り回す不思議ちゃん、マリアンヌを演じるアンナ・カリーナの魔性を湛えた猫目が特に印象的、これを当時リアルタイムで鑑賞した先輩方が羨ましいです。ちょっとしたことですけど本作は本当にデタラメで、全然お話は関係ないのに『勝手にしやがれ』の劇中カットがチラっと紛れ込んだりしているので、先に『勝手に~』を観るのが一応正解かなと思います。
コント、こんなゴダールは嫌だ!
早稲田松竹で「勝手にしやがれ」と併映で。
そこそこ混んでて、ロビーに並んで開場を待ちました。中高年、男性が多め。
こんな大ネタにも関わらず、これまで奇跡的に通らずに来たので初見です…。
オリジナルのネガ紛失後、かなり苦労して復元、新訳の字幕を付けた2016年版ということでした。
ジャンプカットに翻弄されることを覚悟していたけど、今作ではそこまでではなかったし、基本のストーリーラインははボニー&クライドみたいな逃避行(そしてファムファタール)ものだったので、どうにか最後まで振り落とされずに済んだ。
時代がだいぶ違うけど、デビット・リンチなんかと比べたらぜんぜん「正気」に見える。
ただ途中、同じ舞台に異なる時系列の出来事が同時進行するくだりは、きっと映画の歴史に残る名場面だろうけど、やはり今見ても新鮮でとても楽しかった。
ただ、詩のような掛け合いや哲学的なナレーションの字幕をずーっと読んでいるとどうにも睡魔が…。
こればっかりはフランス語を習得でもしないと…という限界を感じた。情報量が多くて退屈じゃないのに脳が追いつかなくて眠くなるやつ。
ところどころ入るベルモントとカリーナのミュージカルみたいな動的シーンや、ドリフかよ、と思うようなアクションシーンのおかげで、かろうじて落ちずに済んだ。二人とも身体が動く動く。
米兵? に向かってベトナム戦争を茶化す(今ならポリコレ的にアウトな表現で)場面とか、これ笑うとこだよね? と思ったけど、場内誰も笑ってなかった…。
オチに至っては完全なギャグとしか思えず、さすがに声が出ました。
歳とって気楽な態勢&ダメ元で観たせいか、そこそこ楽しめた。もし若い頃に真顔で観てたらキツかっただろうなーとも。
無駄に会話シーンが長いせいか、どことなくタランティーノ味を感じる。
タランティーノ同様、きっとシネフィルの人ほど新鮮に感じ、楽しめるんじゃないかと思う。
私は映画偏差値も低いしアート志向でもないので1回では正直、そこまで良さがわからなかったけど、死ぬ前にスクリーンで観られて満足です。
なるほど分からん
以前観たときはサッパリだったけど、いいオッサンになったし「そろそろイケるんじゃないか?」と思って観てみたけど、なるほど分からん。
いや、ストーリーは分かるんだけど、どこをどう面白がればいいのか、楽しみ方が分からない。
マラソンの試合をテレビで観てる時の気持ちに似てる。
あと、やたらセリフが多いので字幕を読むのが大変だった。
愛は儚い
これまた詩的で刹那に生きる物語。個人的には「勝手にしやがれ」の初期衝動が好き。
たとえキスしても、況してや恋人で有ったとしても女を留める事は出来ないんやなー。それでもロマン主義で一部から全体性を引き出す事で何とか成り立つ危うさを秘めたのが愛。
単純で深い
自由奔放なマリアンヌに恋してしまうのは分かる気がする。
でもそれは危険なこと。
深読みすると、自由な意思を貫くのはけして簡単ではなく、自分の気持ちを最優先にするために、略奪、暴力、殺人。まるで今の時代のテロと似てる。
マリアンヌにピエロと呼ばれる彼は彼女といるのが正解なのか、家族がいるべきだったのか。
単純で、綺麗な、メルヘンチックな世界にも見える映像の中に、見たくない現実が垣間見える。
ずっと評価が高いので観たかった映画。
思っていたよりずっといい
ストーリーばかり追うときっと寝る
私見、きっと面白くない映画、いや、最後だけは笑える、最後まで無事に見切ったときの話ではあるけれど…
時間というものを超越した色彩と動きに魅せられるかどうか、ゴダールのゴダールたるものを受け入れられるかどうか、それ以外にこの作品を堪能する術はないのかもしれない。
「勝手にしやがれ」を見た後で様々なゴダール作品を吟味し、そしてこの作品を見て、その上でようやくこの作品が自分に合うものかどうかの判断がくだせる─良し悪しではなく、あくまで好きか嫌いかだけの判断しかくだせない。
理解できるか出来ないか─、確かにこの作品を理解するうえでかなりの知識を要することだろう。そして、それを身につけていない者には、この作品を正当に評価することは出来ないのかもしれない。そして、自分もその一人であり、しかも自分にはこの作品は合わないというかどちらかというと好きじゃないので、ゴダールを高尚に語ることは決して出来ない。せいぜい、最後ダイナマイトで爆死する場面を笑い飛ばすだけ。
さて、この映画でゴダールを初体験し、これはまれにみる名画だ!と断言できる強者は、天才か狂人のいずれかだと思う。いずれにせよ、誇っていい感情だ。ただ、無理をしたり勘違いをすると、おそらくつまらない作品ばかりを見ることになるだろうから、気をつけたほうがいい。
キチガイぴえろ
序盤のパーティのシーンが印象的で不穏な雰囲気もあるが話の繋がりには関係が無い。
ロードムービーに逃避行モノでミュージカルと様々なジャンルが混ざっているようで何ら関係は無くなって。
色彩が鮮やかで映像だけでも楽しめる。
ゴダールはストーリーの内容やらは評価に全く関係が無い稀な監督だと。
相変わらず天然にお洒落な雰囲気全開だが時代も70年代に近くなり服装は時代に反映されている分やはり天然に狙ってお洒落を意識していないゴダール。
確かに気が狂ってる
フランス映画にハマりだしそうなので女は女であるの延長線として鑑賞しました。
こちらの映画もまた、終始喧嘩したり言い合ったり見ていて疲れました。女の方こそ実際気が狂っていて、二人して無鉄砲で無計画な逃避行でした。
文学かぶれの自分としては見ていて面白いところといえば、バルザックやらなんやらたまに名前が出てくるので興奮していました。
台詞も歌も美しいと思いました。ぜひフランス語字幕も付けて欲しいような。1つ1つに韻を踏んでいるのか分からないですがフランス語を堪能できました。
自分にはまだ
全体に醸し出す、美しい雰囲気、流れる様な展開、車、ファショッン迄は解った、
女は始めから裏切り、金目的だったりしたのか?男は終始振り回されっぱなし、やはりゴダールは難解なのか、自分にはまだ、読み解く力は無い。
え?何?ん?お洒落?って思う。
全く理解出来ない。監督への芸術性や感性は奥深いかも知れないがフェアーな考えで行けば映画としては成り立ってない気がする。
何にもかもが空想的で監督がお洒落だろ的な軽い感覚な内容。一つ一つの行動が理解出来ない。男女の突発的な危険な逃亡映画でありがちなんだけど、いかんせん俺からしてみれば適当感が半端ない。映画を観るって感覚でいる人は結局?って気持ちになる。きっと監督が名監督だから良かったものの名監督でなければ何の映画でもない。やはり監督びいきで観るよりフェアーで映画は観ていたい。
感じる映画
随所に詩的表現や絵画のカット、原色を美しく使った場面など見て感じて楽しむ芸術性高い映画。
ストーリーはフェルディナン(ジャン=ポールベルモント)が退屈な結婚生活から逃れ昔の愛人マリアンヌ(アンナカリーナ)と逃避行の末、裏切られ彼女を銃殺してしまい、自らも爆死してしまうという比較的分かり易い話。
ロードムービーの中に詩や絵画、ミュージカル要素があり巨匠の作品らしさを感じさせる。
脳天気で破滅的
主人公はいたって真面目でまっとうである。
狂っているのは女であるわけだが、気づいてみると一番狂っているのはそもそも映画の視点だったりする。
すごくシンプルな話なのだが、詰め込まれている情報量がハンパではなく多く、しかも錯綜し混乱もしている。文学に対するゴダールの執着が屈折した形で随所にあらわれている。その矛先は芸術全般にも向けられる。
かといって気難しい映画かといえばそうではなくて、底抜けな脳天気とユーモアで満たされている。
北野映画のファンだが、やっぱりたけしさん影響受けてるんだなって思った。二作目からソナチネ、HANABIあたり、意識的だったかどうかはわからないが垣間見える。
この映画はなにより色がきれい。
ゴダールの手腕
主演のジャン=ポール・ベルモンド以上に、アンナ・カリーナが存在感を放っているように思えた。
アンナ・カリーナの魅力全開の作品だと思う。
浜辺で歌う彼女には惚れてまうよ。
ハサミのシーンは「ゴダール、神だわ」と思わされた。
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