「映像は鮮度がある。心に刺さるものは無い。」気狂いピエロ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
映像は鮮度がある。心に刺さるものは無い。
1965年。監督:ジャン・リュック・ゴダール。
主演のジャン・ポール・ベルモント。
ひしゃげたような顔、細い身体。
モジリアニが男の肖像画を描くなら、こんな顔だろうか?
映画の印象は、散漫だった。
金持ちの娘と結婚して子供も2人いるフェルディナン(ベルモント)。
いる夜、パーティに夫婦で出席するために、ベビーシッターに
現れたのが、妻の姪のマリアンヌ(アンナ・カリーナ)。
フェルディナンとは昔、恋愛関係にあった。
遅くまで帰りを待っていたマリアンヌを
送りがてら一夜を過ごす。
すると翌朝、男の死体がある。
2人は全く騒がない。
視野に入らないような様子で不自然だ。
しかし、2人は逃避行をはじめる。
この死体が誰なのか?
(普通は同棲相手とか?マリアンヌの男関係者だとか?
(一切明かされず、罪の意識もなく、ただ無責任に逃走する)
こう書くとサスペンスタッチの「俺たちに明日はない」みたいな
映画かな?とか思うけれど、違う。
会話は小難しいけれど展開は終始ぬるい感じ。
映像はインテリアや車の色、テーブルなどが、トリコロールカラー。
赤、ブルー、黄色が白をベースとした画面に配置されていて、
ポップな雰囲気と明るさがある。
赤、青、黄色はフランス国旗カラー。
この3色は「自由、平等、博愛」を表すそうだが、
肝心の《責任》は伴わないのか?
ベルモントは無責任な上に怠け者、好きなことは読書。
高等遊民的な男で、生活力や目先を考えない男として描かれる。
だから、海辺で何日ブラブラしてようと飽きることがない。
しかしアクティブなマリアンヌは飽きる。
彼女はベルモントをフェルディナンと呼ばずに
【ピエロ】呼ばわりする。
そしてだらただらと進行して、マリアンヌは勝手に男と船で
出港する。
ピエロと再会した日には、あちこち撃たれていて、
マリアンヌは死んでしまう。
それで絶望したのか?
ラストは弾けるベルモントのピエロ。
顔をペンキでブルーに塗りたくり、赤いダイナマイトの束、
そして黄色いダイナマイトの束を頭に巻き付けて、
ドッカーン‼️
アバよ‼️
という映画でした。