WEEKEND ウィークエンドのレビュー・感想・評価
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2日間
孤独を抱え、愛を求める男と、プライドの高い男。初めはどちらも好意を持ちながらも相手に圧倒されていた。孤独な男は、ゲイを公表しても構わないと言うプライドの高い男にすきだなんてとうにいえずにいた。プライドの高い男は恋人なんか必要ないと言った。徐々に惹かれ合うふたりだが2人は近づくばかりか遠のいている気分でいる。ある時喧嘩が起こる。恋人や愛や、結婚、2人の思いがぶつかり合う。両者が両者とも、愛を知ってもらいたかったのだろうかそこは分からないが、この後仲直りをする。手を繋ぎ、ハグをし、キスをする。此処で相手に対する自分の気持ちが分かる。好きと言っていいものか段々と相手に対する行動が優しくなる2人のラブストーリー。離れ離れになってしまう運命の2人は相手にラブコールを求めていた半面、これからのことを考えるとそうして欲しくない面もあった。そして駅で孤独を抱える男が告白する。そして泣いてしまうプライドが高い男をハグする。クソ、という言葉が印象的でした。洋画ならではのストーリーでした。孤独を抱え込む大人の子供みたいな儚いラブストーリーでした。変に音楽が流れることも、スポットらとが当たることも、ぼかすことも無いのでとても見やすかったです。映画を長年見ている方にもオススメできますね。逆にBLを期待していた方は満足出来ないと思います。荒野にて、を見たかったものですからここでその監督の映画を見ることが出来て興奮しました。こんな恋してみたいけどしたくないみたいな、そんな気持ちになる映画でした。
感動しました
すごく良かった。ストーリーもカットも素晴らしかった。出会ってやって喋って大麻吸って喋ってまたやって…の繰り返しだったが、その間で二人の価値観や過去、背景を語り合い、お互い理解しないまでも少しずつ変化、融和していく姿が細やかに描写されていた。
特にプライドの高そうなグレンが優しい彼(忘れた)どんどん惹かれていくのが、個人的にはグッときた。
彼の部屋が質素ながらお洒落でアンティーク好きとか、キャラの背景に合わせた設定も良い。
観終わってからも余韻がしばらく残る映画だった。
良質な会話劇とシンプルなラブストーリーと
バーで知り合い、俗にいう「お持ち帰り」に成功した男性同士のカップルの2日間。この映画が紡ぐ一組のゲイカップルの物語は、別段ドラマティックにされるでもなく、あからさまなメッセージを打ち出すでもなく(たださりげなく気づかされることは多々ある)、好奇心を煽るでもなく、(当然のことながら)BL的な需要に応えようとするでもなく、ただただ二人のことをじっと見つめたとてもリアルなラブストーリーであると同時に、相反する性格・性質を持った二人のそれぞれの思想や哲学をぶつけ合う、実に上質な会話劇だった。
そうだ。この映画はLGBT映画とジャンル分けするよりも、会話劇としてジャンル分けした方がいいのではないかと思うほど、主人公二人の会話が大きなカギを握る。脚本があることや演技であることを忘れさせる二人の会話は、とても思慮深く論理的でありながら、その奥深いところで非常に情動的。自身がゲイであると気づき、ゲイとしてこの社会をまさに今生きているそんな人間たちの信念や心情が、二人の会話からなんとも正直な言葉として表出してくる。同じゲイであっても、ラッセルにはラッセルの思いがあるし歴史がある。そしてグレンにはグレンの思いがあるし歴史がある。二人がそれぞれに正直になればなるほど、私は二人の会話をずっと聞いていたい気持ちになった。作られたセリフではない、生の声を感じる説得力。
終盤でグレンが異国へ行き離れ離れになる、というなんともベタな展開に突き進んでいくのに若干怯んだものの、それでもラッセルとグレンの生の声の説得力は変わることなく、フィクションやファンタジーではない、今現在同じ時を生きる地上のどこかに存在する名前を持った誰かのラブストーリーだと最後まで思わせてくれた。わずか二日間のシンプルなラブストーリーだったけれど、実に充実した96分だった。
「さざなみ」や「荒野にて」など、繊細な感情の機微を掬い取る作風が見事なアンドリュー・ヘイ監督だけれど、二人の相反する価値観を双方からぶつけ合わせるこんな会話劇を描けるだなんて、ますますお気に入りの監督になったし、次作が公開されたら絶対に無条件で観に行きたいと思った。
Transgender ≠Mental illness. ➡ Transgender = Gender incongruence
3日間だけの二人だけの世界。トランスジェンダーの2人の会話が、成立していて、ある意味、その内容が、今、彼らが感じられていることを生で見ているようで、シスジェンダーの者に対しても心地よくも感じる映画として捉えることが出来るが......? しかし、美形男子が演じているハリウッド映画とは一線を画す映画作りがなされている。
友人の家でのパーティの帰り、ワンナイトスタンドの相手を見つける為に、ナイトクラブに立ち寄ったラッセル。グレンとの出会いが待っていた。その出会いが、2人の会話の始まりでもあり、この映画のメインと呼べるもので、ラッセルの3日間の切ない中に、自分のジェンダーの世間に対しての後ろめたさや改めてグレンからトランスジェンダーとして、生きていく自信を与えてもらう、いい感じの物語となっている。
1夜を共にしたラッセルとグレン。ベッドで急に顔を近づけ、彼を見つめるグレンに対して、ラッセルが恥ずかしそうに
Have I got morning breath?
-No, quite the contrary.
-Have you brushed your teeth?
No.
-I can smell toothpaste.
So?
Now you've broken an unwritten rule,
because now you smell all minty fresh
and I smell of c〇ck and bum!
偽りという言葉の潜在しない、また衝動的なのか計算されているのかグレンの行動が興味をそそる。”It's for an art project.” なんて言ってラッセルとの会話をテープに録音しようとしたりもする。ラッセルが戸惑っていると、グレンが外に向けて大声を出して怒り出す。
"I'm going rape your holes" ?
グレンこの人大丈夫か? と視聴者に思わせておいて........?
Do you ever think about finding your parents?
世間に向けて、自分がトランスジェンダーだと公にできない、こころの弱さからか? ただ単に後ろめたさからか? それとも自分で築いてしまっている恥ずかしさからか、知人以外には、言えないでいるラッセル。お父さんの代わりに受けとめるから、グレンに実際に父親に言うみたいに告白してみらと彼がラッセルにアドバイスする。 勇気づけられるラッセル。グレンのその優しさや彼の雰囲気が、後々、つらさが増すこととなる。
Dad? I've got something that I need to tell you.
I'm gay. I like guys, not girls.
-Well. You know what, son? It doesn't mater to me.
-I love you just the same. I couldn't be more proud of you
”than if you were the first man on the moon.”
家庭でのパーティの場面でウィードを吸うシーンが登場するが、個人的には、子供が目の前にいないにしろ、イギリスの他の西欧諸国から比べると狭い住宅環境を考えるとその独特なにおいが残り、子供たちの好奇心や、薬物Cクラスとしての立ち位置を考えるとどうかと思うし、仮に男性同士が、駅や人目の多いところで、抱き合うという光景は、違和感の何物でもない。あくまでも個人的意見なので聞き流すように。逆なでか? それなら書くなってか? 関西のSci-Fi小説界の雄である筒井康隆という作家の作品の中に......も人前で禁忌とされるものがあったような。実際にグレン役のクリス・ニューは2006年ごろにゲイであることを告白しているが、その時に、”gay actor” と彼の芸歴にどのように作用するかわからないので”bisexuality actor”と知られるアラン・カミングに相談したと聞く。
高々140年前までは、同性愛は死刑の対象となっていたイギリス。その100年後、人の前以外なら、屋内ならOKとなった成人男性間の性交渉。いわゆるソドミー法というものがイギリスだけでなく多くの国で施行されていた歴史がある。
ローカルの無料日刊新聞で、月曜日から金曜日にロンドンでタブロイド形式で発行。
London Evening Standard 2011年10月4日の記事より
「監督のヘイ。彼の主題を現実的なリアリズムで扱っている映画”WEEKEND”。これが英国映画シーンの新しい声であるなら、それはさわやかな大人の映画である。」
シアトル・タイムズ はワシントン州シアトルで発行されている新聞。シアトルの日刊紙の中で購読者が最も多い。 Seattle Times 2011年10月27日
「トム・カレンとクリス・ニューの両役者は、映画の経歴ががほとんどないイギリスの舞台俳優で、監督のヘイに至っては、唯一の映画とされるものは、前作のドキュメンタリーであった。おそらく、彼らはルールの物差しに縛られていると感じることなく、今年の最も楽しいサプライズの1つを作りあげている。」
一般公開の映画としては、ごく限られた予算で制作され、2011年にSouth by Southwestという映画と音楽の祭典にプレミア上映され、また日本では2012年レインボー・リール東京という性的マイノリティーの映画祭にも短期上映されていたものを何故、今更上映する段取りとなったのか? そこまでのいい映画かという問題に突き当たる。
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