朝が来るのレビュー・感想・評価
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歳月の絆とDNAの螺旋
「子供が親を探す」には目から鱗が落ちた子供が幸せでいられることそれにつきる
母親が3人もいて小さな子供は混乱しないの?と不安を覚えたけれど欠けたことでなく「増えた」感覚は良い方向へと働くそう
子供と手を繋ぐことだけでなく手放す愛情もあることをいつか朝斗は理解してくれるはず優しい佐都子と清和に見守られて育つ朝斗ならば
というよりその純粋さからなのか大人の真実という刷り込みによりもう既にラストでは幼いながらにそこらへん達観しているとも思える言葉を告げている 果たしてこれは幼きことゆえの所以か?物分りのいい朝斗が少しだけ不憫にも思えた 子供らしいのか?らしくないのかと....
「なかったことにしないで」巧や家族から自分やちびたんのことをすでになかったことにされてしまっていたひかり 言葉にすべきか悩む思いを書き消した手紙 でもその隠された言葉の存在に気づく佐都子
見えない心を見える化したミステリ調の切り口からは悲痛なひかりの叫びが聞こえた
その声を受け取れる佐都子は海のように心の深い人 清和の折れそうな心もやわらかく包み込んでしまう それに比べると清和はちょっと頼りなくも思えたけれど「地球の記憶」なんて私好みなセンスのいい言葉を使うので大目に見といてあげます(笑)
エンドロール
なぜだか歌の声が変わった途端ハッ!としてキュッと胸にきた もしかしたらボーカルが変わらなかったらそうならなかったかも知れない そこで偶然の変化球により映像の外へと引き戻された(個人感)
映像と歌の相乗効果が抜群なのです
そして
「あいたかったよ」 可愛らしい朝斗の声がする
この場面を映像でなく声だけにした点
いちばんの見せ場を声のみで観客に想像させ観た人それぞれへと投げ出す
見えないことで見えてくる光景 まさに逆転の発想
またその一方、声だけにすることでその想いがストレートに伝わってきた
ちびたんはひかりのこと同じように大切に思っていてくれたんだね
秋晴れの日
朝の光が降りそそぐ 時には抱きしめてあげようかな自分のことも
そうしよう
「生みの親」の理解に。
厚労省とタイアップしているため、関係する機関等でもポスターを掲示している映画。
そのため特別養子縁組や里親制度という「育ての親」の啓発色が濃いのかと思いきや、より「生みの親」の心情にも踏み込んだ内容であったことに、驚きと同時にそれだけ制度が浸透してきたからこそ、より深い理解を促す段階になってきたのではと納得しました。
“なかったことにしないで”
この言葉は、生んでくれた親への敬意を忘れないために、そして何より生まれてきてくれた子どものためにも、とてもとても大切なメッセージだと思いました。
#88 日本の里親制度
韓国の場合子供を育てられなくて里親に出すとき外国に出されることが多いみたいだけど、日本の実情はどうなんだろう?
どっちの国も血を重んじる風潮にあるから、本作みたいな里親制度が根付くのが難しい気がする。
不妊で悩む夫婦の重荷を軽くするためにも血縁第一主義の考え方が薄れて、アンジェリーナ・ジョリーみたいな人が増えるといいな。
関係ないけど途中出てきた文化堂スーパー、有明コロシアムのところのだよね。
いつも楽天オープンのとき通ってるのに、今年は中止になって見れてなかったから画像で見れて嬉しかったです😆
各役者の心の描写が長すぎ
朝が来た理由について考えてみた
ひかりを襲う三つの不幸
特別養子縁組をした実親と養親の顛末を描いた作品だ。特別養子縁組は実親との親子関係を解消して親権を養親に移動させる法的手続である。養親側は子供が欲しい夫婦ということで画一的だが、実親には様々な事情がある。強カン(カンは女3つ。本サイトでは禁止文字)されたが妊娠に気づかなかったとか、本作品のように中学生で妊娠したなどだ。
本作品では特別養子縁組の事案について、養親夫婦と実親のそれぞれの視点から物語が描かれる。ひとつの物語を別の角度から見直すような構成で、観客は人間関係を立体的に理解できる。難解な作品を作りがちの河瀨直美監督にしてはわかりやすい。
序盤から暫くは養親夫婦を演じた永作博美と井浦新の二人の芝居が続くが、この二人がとても上手なのですぐに感情移入できる。特に他の子供の親とのやり取りでは、仕事でのクレーム対応を思い出して気持ちが酸っぱくなった。クレーマーは自分に都合のいい情報だけを事実と決め込んで、損得感情で責めたてる。様々な場合を想定できる頭のいい人は、却って口ごもってしまう。事実が判明するまでは、クレーマーの罵詈讒謗に耐えるしかない。
蒔田彩珠が演じた実親片倉ひかりは中学生。妊娠に気づいたときには既に中絶手術が不可能な時期になっていて、育てられないから特別養子縁組を斡旋する施設を利用することになる。この人の物語から映画は悲惨な場面へと展開していく。
国の文化度が低いほど、性教育がきちんと行なわれていない。日本は当然ながら、性教育後進国である。ついでに言えば、人権教育や憲法教育も殆どない。それはそうだろう、道徳教育を成績査定の対象にして、出来れば教育勅語も組み込みたいみたいなファシスト政権が続いている国である。人権教育や憲法教育は以ての外だ。性教育など眼中にもないのだろう。加えて「ナチのやり方に学ぶ」「コロナ禍が酷くならないのは民度が違うからだ」などと根拠のない妄言を吐く財務大臣がいる国でもある。日本が文化的に後進国であることを自覚したほうがいい。
性教育をきちんと受けていないから、見様見真似の性行為で妊娠してしまう。無免許運転の自動車が事故を起こすのと同じだ。日本の教育界はどうしてこんな単純なことがわからないのか。道徳の時間を性教育に当てれば子供を作ると生じる義務や権利を学ぶことが出来る。人権教育や憲法教育の時間を作れば差別やいじめが憲法の精神と正反対であることも分かる。有権者のレベルも少しは上がるかもしれない。しかし実は有権者のレベルなど上がってほしくないのが現政権だ。「由らしむべし知らしむべからず」という全体主義者の一元論によって国が成り立っている。日本はどこまでも後進国だ。
ひかりは性教育の不十分によって最初の不幸に見舞われた上に、社会のパラダイムによって第二の不幸に見舞われる。家族と世間の無理解だ。ひかりの母親もどこぞの財務大臣と同レベルの原始人だから、封建的なパラダイムに凝り固まった偏見で娘をどこまでも追い詰める。先方の両親と話し合って娘や息子が成人するまで助け合いながら、生まれた子供を育てる選択肢もあっただろうに。ひかりはクレーマーを相手にしたときと同じように黙って耐えるしかない。そして人権教育がないから女だけが一方的に不幸を背負い込むことになる。これが第三の不幸だ。
永作博美が演じた佐都子は頭のいい女性である。ひかりに何が起きたのか、様々な場合を想定し、自分の記憶と繋ぎ合わせることで真相を悟っていく。ひかりは偏見に満ちた世間と家族に背を向けて、帰る場所がなく、居場所もない。放っておけば悪の道に染まっていくしかない。佐都子の中で目まぐるしく想像力が跳ね回るさまを、永作博美は無言の表情のみで演じる。凄い演技力だ。「私はこの人を知っています」は佐都子の覚悟の言葉である。佐都子はひかりを救えるのだろうか。
形としては思春期の少女の不幸と少女に関わった養親夫婦のヒューマンドラマだが、少女に不幸を齎した社会の歪みを浮かび上がらせる問題作でもある。少女の自己責任に帰してはいけないのだ。
優しい
切なくなるほどに優しい映画です。
悲しいほどに優しい作品だと思います。
お話としては二つの家庭、2人の女性を中心とした二部構成になってますが、どちらに振りかかる問題も、スタートは男性がきっかけになっています。だからこそ観ている男性は我が事のように感情移入せざるを得ません。
そしてそれを、女性監督らしい表現、広島の雄大な景色や美しい桜など優しい映像で、胸を締め付けるような包容力をもって訴えかけてきます。
少なくてボソボソ喋るようなセリフがリアリティを醸し出し、映画では珍しいこれでもかというようなヨリの画で感情を捉えます。
河瀬直美監督の作品はあまり得意では無かったのですが、本作は胸を打たれました。
泣くという行為で本作の感想を体現するのはなんか違うと感じて、涙を我慢しました。
あらゆる人が人間が望む小さな幸せを実現できる、優しい世界であったならどんなにかいいのに、と切に思います。
胸が熱くなります
少女たちのそれまでの境遇を思うと胸が痛くなります。そんな中、生まれてきた自分の赤ちゃんを特別養子縁組という選択をしたことに「赤ちゃんに幸せになってほしい」という声にならない希望を見ることができました。ミステリーな要素も映画として引き込まれました。
新たな視点から少女の残酷青春の物語を描く
少女は大人になりました
ミスリードがうまい。
本当の主役は
なかったことにしないで
永作博美と井浦新の葛藤がメインかと思って見にいったが、この作品の主役は蒔田彩珠ですね。浅田美代子含め、みんな自然でとてもいい演技でした。
序盤はむしろ不妊の話。これはこれで世代によっては刺さるだろうな。。苦しい。。
中学生での出産、それを必死に隠そうとする親。何事もなかったように、はい、高校受験ねって言われて、心の整理ができるわけがない。。子供を産むことが決まった時点でもう戻れない。その重みをずしりと感じる。
ところどころ挟まるドキュメンタリータッチが妙にリアルさを演出していたように思います。
エンドロール後に救われました。子供の力って無敵だよな、ほんと。
あーアップの髪型の永作博美かわいかったなぁ。多少しわが増えてきたものの、50歳とは思えぬかわいさは健在でございました。
最後の最後に皆が救われた。
アサトヒカリを最後まで聴いて
MARVELがエンドロール終わりまで観させるのを常識にしたにも関わらず、未だに途中で帰るひとが多いのは理解できない。最後まで観るべき作品。最後の一言の破壊力たるや。
原作は未読です。ただ、終わり方はともかく、今まで辻村深月の小説でここまで憂鬱な気分になったことはないので、おそらく河瀬監督の色なのかなと思う。宣伝の仕方からもう少しミステリー調を想像してたら、かなりガツンときました。
夫婦のシーンも恋人たちのシーンも、幸せなはずの場面でも悲壮感が漂う。作品全体のトーンがただただ悲しい。
養子縁組とは、「子どもを持てないひとと、子どもを育てられないひとをつなげる制度」。そんなのは、一方的な考えなのだと思い知らされた。子どもを手放す側からすれば、恵まれない自分たちから恵まれた人間たちが子どもを取り上げて勝手に幸せになるようなもの。そんな考え方もあるのかと、「嫉妬」という一言で衝撃を受けた。
評価はもっとしてもよいのだけど、これもまた永作博美の「八日目の蝉」のときと同じく、親でなきゃ、母親でなきゃわからないことが多すぎて自分には正当な評価ができないので少し低め。それにしても青木崇高はチンピラが似合う。
誠実に子どもを育てるということ
原作は未読。
実の子どもではない息子を育てている夫婦のもとに、実の母親を名乗る女性から脅迫の電話が入るという導入。
妊娠することが難しいと知った夫婦が特別養子縁組で息子・あさとを授かることになる話が前半。後半はあさとの実の母親・ひかりが妊娠・出産を経てどういう人生を歩むことになったかが描かれる。
たしかに脅迫してきた女性と、あさとを出産して間もないひかりのギャップは激しい。そこがミステリーの要素なんだろう。だから後半は真相を伝える解決編的な流れ。
でもミステリーというよりヒューマンドラマとしてよかった。あさとがかわいく育ってて、人を思いやれる優しい少年になっていることがとても救いになる。栗原夫婦を脅迫したひかりはたしかに悪いことをしたことになるが、印象としては誰も悪い人がいない。優しさを思い出したひかりと、誠実に子どもを育ててきた栗原夫婦に幸せが待っていてほしい。そして、エンドロール最後のあさとの言葉に、ひかりが救われてほしいと願う。
今年1番!
映画の構成も良かったが、シーンがドキュメンタリーのように撮られて、心をつかまされる気持ちで見れた。
無かったことにしないで。今の日本の災害や事故、原発、拉致、政治含めて無かったことにしないで欲しい。
会えて良かった。見れてよかった。
登場人物への名付けが絶妙
樹木希林から浅田美代子へのバトン
河瀨直美監督作品といえば、音がとても重要な位置を占めている。デビュー作『萌の朱雀』、『殯の森』でも印象的だった森のざわめき、風にそよぐ音、静かな波の音、虫の声、いろんな音が伝わってきて五感を刺激してくるのです。永作博美目線と蒔田彩珠目線が交錯する描写だったけど、彼女たちの心象風景を表現しているかのように思われました。
そんな双方からの目線を繋ぐのはベビーバトンの浅田美代子。彼女の老けメイクや蒔田メイクのおかげで6年の月日がとてもわかりやすかった。辻村深月原作の『ツナグ』繋がり、『あん』の監督繋がり、適当に書いたつもりのタイトル通り、いろいろ繋がっている。個人的にはドラえもんとも繋がってほしかった・・・
何の予習もなく観たのですが、予告編からは『八日目の蝉』のようにミステリーになるのかと想像していたのに良い意味で裏切られた感じです。また、河瀨監督、是枝裕和監督に共通するドキュメンタリータッチの表現は健在。永作、井浦新の自然な夫婦感や片倉家の母親役・中島ひろ子がまるで親子のような雰囲気を出していました。
「ごめんなさい」をそれぞれの俳優が使い分けている。ほとんどが素敵な意味を持っている「ごめんなさい」。特に息子の朝斗が言う「ごめんなさい」はまるで大人の世界を理解しているかのようであり驚きでした。
特別養子縁組についての話でもあり、育ての親・産みの親それぞれの愛情が描かれていて、とても優しい作品でした。新聞販売所で知り合ったトモカや借金取りだって、ある意味優しい心の持ち主。優しさあふれる河瀨作品は全て地球の記憶にしたいくらいだ。ただ、今回はちょっと尺が長すぎと感じたし、マホとトモカの区別がつかなかったりしたけど・・・
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