劇場公開日 2020年10月23日

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「あくまで原作を読んでからの感想として。」朝が来る マー氏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あくまで原作を読んでからの感想として。

2020年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

一年ほど前に読んだ辻村美月氏著作の原作で受けた衝撃を思い出し、映画館へ足を運んだ。
結論から言えば、本で読んだ時ほどの感情の揺れが自分には起こらなかった(あくまで自分の感覚であるため、あしからず)。おそらく一本の映画として完成させるにあたり、いくらか描写を削らざるを得ないのであろうと思う。映像化における代償であろう。その分映画では、感情を美しい自然描写や表情カットで伝えてくれている。
場違いとは自覚しつつ、原作で自分が気に入っていた部分を述べさせてもらうと、「ヒカリ」を始めとして、各人物の苦悩が、それは細かに描かれているのだ。誰のせいにもできない、自分の中にとどめることしかできない苦しみの描写が見事なのである。特に「ヒカリ」に関するそれは、読んでいてこちらが辛くなってさえしまうような絶望の連続である。そんな絶望の淵に立たされた「ヒカリ」に最後の最後に訪れた”朝”の輝かしさが印象的であった。

もし、映像を見て興味が湧いた人がいれば、ぜひ原作も一読することを、おすすめしたい。

マー氏