カブールのツバメ

劇場公開日:

カブールのツバメ

解説

タリバン支配下にある90年代アフガニスタンの首都カブールを舞台に、悲惨な現実の中でも希望を持って生きていた夫婦を襲う悲劇と自由を求める女性たちの姿を、水彩画のような美しい映像でつづった長編アニメーション。1998年、タリバンが支配するアフガニスタンの首都カブール。人々は厳格なイスラム法の下で暮らし、世間では理不尽な私的制裁も多く見られるようになっていた。女性は全身を覆うチャドリ(ブルカ)を着用しなければ外出も許されず、自由を好むズナイラは、自宅で密かに音楽を聴きながら壁に絵を描き、夫モフセンの帰りを待つ日々を送っていた。一方、拘置所の看守アティクは、病気がちな妻ムサラトを看病しながら、長く続く戦争と貧しさに耐え忍んでいる。そんなある日、ズナイラが慣れないチャドリをまとって外出したことで、2組の夫婦の運命が狂い始めて……。2019年・第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門出品。

2019年製作/82分/フランス・ルクセンブルク・スイス合作
原題:Les hirondelles de Kaboul
劇場公開日:2021年10月8日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3

(C)LES ARMATEURS - MELUSINE PRODUCTIONS - CLOSE UP FILMS - ARTE FRANCE CINEMA - RTS - KNM 2018

映画レビュー

5.0原作もすごいがアニメもすごい

2019年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

ツバメとは、タリバン政権下に生きる女性たちの暗喩。冒頭、石打ちで処刑された女性とともに、一羽の燕がタリバン兵士に撃たれて死ぬシーンが印象的だが、真っ黒なチャドルに身を包まねばならない女性たちの姿は黒い燕に似ている。同時に、自由を希求する存在としても燕は象徴的に描かれる。
本作の原作は、アルジェリア出身のヤスミナ・カドラの小説で、2組の夫婦の悲劇を描く。女性刑務所の看守に務める男の妻は病気で死にかけている。もう1組の若い夫婦は、自由を求めて外出するも屈辱的な扱いを受け、夫婦の口論の末に夫は事故死。妻は夫殺しの嫌疑で死刑となる。原作にはない、タリバン政権以前の様子も挿入される。女性たちが楽しそうに集う華やかな映画館が、一瞬にして崩れ落ちた建物に変わる。過去と現在をシームレスにつなげて、タリバン政権の蛮行を指し示す。水彩画で描かれた柔らかなタッチがかえって現実の過酷さを際立たせる傑作。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
杉本穂高

他のユーザーは「カブールのツバメ」以外にこんな作品をCheck-inしています。