男と女 人生最良の日々のレビュー・感想・評価
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傑作「男と女」の続編
「男と女」は私が満点をつけている映画の1つであるが、これはその続編である。
色々な意味で切なくて悲しい映画だった。2人の50年後の話であるが、こんなことになっていたとは。かなりショッキングな50年後であった。ジャン・ルイ・トランティニャンの姿を見て、最初は誰だかわからなかった。彼と認識した時、すぐに自分も歳をとったんだなと実感してしまった。
ただ、続編として、また、50年後の2人の現在の描き方については良かったと思う。前作に思い入れがある私にとっては、所々に前作の感動的なシーンが散りばめられていて、それだけでも泣けてくる。音楽の使い方は、最高であった前作に比べれば落ちるものの、この映画でも割と効果的に使われていたと思う。
前作と監督、音楽、主演の2人、さらに子供役の2人も同じだったとは驚きである。
ラスト近く、パリの街中を信号で止まらずに車が疾走するシーンはどうやって撮ったのだろう?
人生で最愛の人
施設で暮らす老人
何でも揃っていて快適な施設だけど…
本人にとっては牢獄なのね
いつもの決まった椅子に座わって一日を過ごす
決まって思い出すのは昔愛した女性(アンヌ)のこと
痴呆が出てきて昨日のことも忘れてしまうのに彼女のことだけは忘れない
彼にとっては最愛の人
そんな彼にアンヌが面会に行く
彼本人は彼女とはわからずに当時愛していたことを切々と語る
アンヌは相づちと頷いて時々質問したり…
彼の顔が話を聞いてもらって会話するだけで顔がイキイキと見える(ここのシーン好きです)
彼の夢も映像になって見られるので楽しい(最後にピストルが出てくるのは彼が見ている夢です)
お互いに愛していたことを再確認する(当時行ったことのある場所)
別々の人生を生きてきたことがよかったのかどうかは分からないけど彼は分かっていると思う
彼の弱音を吐かない強気な発言がとっても魅力的でした
アンヌ役の女性も年の割には変わらずにキレイで流石です最後に車椅子を押すところは親子に見えました
思い出はいつまでも美しいです 夕陽も美しかった
思い出も人生の一齣です
素敵な仕草だ、もう一度
映画「男と女 人生最良の日々」
(クロード・ルルーシュ監督)から。
映画「男と女(1966)」は、映画音楽で馴染みがあり、
学生の頃、よく耳にした曲・作品名であったが、
実は、正直なところ、未だ作品は観ていない。
しかし作品の中で、当時のシーンが挿入されていて、
私の好奇心をくすぐったことは言うまでもない。
より深く理解するためにも、早いうちに機会を見つけて、
メモ帳片手に、観てみたい。
さて本作品は、53年後の2人の物語であるが、
続編というよりも、単独作品としても見応えがある。
静かな会話の中に、53年の時間が詰まっている気さえした。
特に、53年後に再会した女性を覚えているかどうか、
それが認知症なのか、演技なのか、定かではない。
けれど「素敵な仕草だ。彼女がよくやってた」と、
女性特有の「髪を掻き上げる仕草」に、何度も反応し、
「素敵な仕草だ、もう一度」と要求するシーンは、
男性の私にとっては、その気持ち、わかるよ、とばかり、
何度も、巻き戻して観直した。(汗)
その仕草を思い出しただけでも、2人にとって
「男と女 人生最良の日々」と言えるに違いない。
他人にとっては、意味のないことかもしれないが、
2人にしか分からない会話、思い出があればそれでいい。
「1人になると死が怖くなる。でも2人だと相手の死が怖いの。
そうよ、私は彼が先に死ぬことを恐れている」
大人のラブストーリーって感じだったなぁ。
恋
色気がすごい。
さすがはフランスと思えてしまう。
人生に貴重なものなど「恋愛」以外にはないんじゃないだろうかと思える。他者への愛情の解説書みたいな作品だった。
惜しむらくは、俺がその全てに共感できる程には年齢を重ねていない事だ。
今作の和訳を担当してくださった方に心から感謝を述べたい。
もう奇跡みたいな映画で、これは続編にあたるのだ。前作は50年程前になるのだろうか…その間に各々が経てきた人生の全てが作品に反映されてるように思える。
冒頭の長回しが圧巻で…彼の表情を延々と映す。話を聞いているだけ。彼は多分あまり芝居というものを意識してないように思う。
でも、いつしか僕らは気づく。
「ああ、彼にはこれらの記憶は重要ではなく、もっと忘れたくない記憶があるんだろうな」と。…まいった。完敗だ。
この冒頭の何分かで、この作品のなんたるかを教えてもらえたような気にもなる。
宝石のような過去の記憶。
愛して愛された思い出。その時の会話、感情…全てが眩しい。まるで、それらは水分のようで、枯れていた花がみるみる活力を取り戻していく様に見えてくる。
ただ、これにも仕掛けがしてあって、爺さんの妄想なのかとも思えてくるのだ。
そおなると回想の意味合いは若干異なってきて、そこに哀れさのようなスパイスが加味される。この辺りの二面性にフランス映画特有の人への造詣の深さを感じ、中々に味わい深いものがある。
あるのだが…物語的な起伏は少なく眠気に襲われる事もしばしば。
なので、もう一度観たいと思う。
断片的ではあるけれど、素敵な台詞が多く…これから老いていく自分にとっては凄く参考になるような印象がある。
何より残念なのはラストで寝てた事だ。
…何しに映画館まで行ったんだ、このボンクラめ。
爺さんがどおなったのか分からず仕舞いなのだ。なので、近い内にリベンジしたい!
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2回目を鑑賞。
素敵な作品だった。
痴呆症を患ってる男性
最愛の人に再会した女性
稀にみるラブロマンスだった。
男性は他の全てを忘れても、最愛の女性の事だけは忘れない。何をしたか、何をしてたか。目の前の女性がその人であると分からなくても。
女性の方は彼の事も過去の事も克明に覚えてる。幸せだった記憶も切ない記憶も。
そして、彼がどれほど自分の事を愛してたかを告白される事になる。
共有出来ずにいた恋を、彼の口から偽りのない言葉で語られる。
「ずっと彼女の事を思ってた。」
女性は恋に落ちたかのようだった。
間違いなく老婆なのだけど、恋する女性はいくつになってもこんなに可愛いのだろうか?
すごく魅力的だ。
甘ったるい声に伴って柔らかなフランス語が呪文のように俺を魅了していく。
おそらく彼は再会した記憶も忘れている。会う度に初めましてのような事なのだと思う。
積み重なるものはなく、毎回リセットされるような出会いでも2人はとても楽しそうだった。
恋に囚われてる時間に勝るものなどないかのようだった。
50年の時を経た続編。
50年前の映像がしっかりと残っていて、それを本人達の回想として使える奇跡。
その時間を一瞬にして無にしてしまえる「恋」の威力にほだされる。
男性が乗る車椅子を押す女性の背中は、まるで初デートに赴くようで、ウキウキとして若々しくあった。
フランス映画の真髄をみたような作品だった。
前作を見ていなくても楽しめる
前作から約50年ぶりの作られた作品。(男と女2というのはあるらしいが)
もちろん前作をリアルタイムで見ていたわけでもなく、前作を契約している動画配信サイトから探したところU-NEXT、Hulu、Netflix、Amazonprimeこの辺りは課金含め全て配信されていないかった。
その為前作見ずして鑑賞。
もちろん前作を見ていればより楽しめるのは当たり前の事なんだが、見ていなくても過去を語るシーンや回想シーンがあり、2人が愛し合ったが結ばれなかった事、主人公の2人の性格などはある程度は理解できる。
特にこの作品は会話劇がメインのため丁寧に言葉として描いてくれるので、前作を見ずしてもそれなりに楽しめると思う。
自分はまだ死を意識する事もなければ、悲しいことにおそらく彼らのように人生1番愛し愛されたという意識もないのだろう。
その為会話劇に若干の退屈さを感じてしまい最後の数十分くらいは寝てしまった。
ただ彼らのように運命はどうであれ、人生を存分に生きて過ごす事で最期は幸せに迎えることができる。
しっかり生き抜く事が笑って終われる事なんだという事は強く伝わった。
【奇跡の映画 大切な想いを抱えて生きる事の大切さと、年齢を重ねる事はとても美しきことなのだという当たり前のことを思い出させてくれた作品。】
ー 数十年前、名画座で。そしてつい最近、DVDにて"男と女"を再鑑賞した上でのレビューです。ー
主要キャラクターが53年前と同じ。
あの海岸で戯れていた幼子二人もだそうだ。驚く。
主要キャラクターを演じた
・アヌーク・エーメ(アンヌ)
53年前の映像の中の彼女は、信じ難い程の美しさ。
今作では、その美しさに加え、慈母の様な優しさが滲み出ている。
・ジャン=ルイ・トランティニャン(ジャン・ルイ)
53年前は、レーサーとして出演。
今作では、多少ボケた”フリ?”をしながらも、相変わらずハンサム(で、ちょっと変わり者)。
そして、彼ら、彼女らの子供。”私たち、兄妹になり損ねたね”の二人。
クロード・ルルーシュ監督も変わらず。(一体、何歳であの映画を撮ったのか?)
信じがたい・・・。
それにしても、アヌーク・エーメと、擁護施設に入居したジャン=ルイ・トランティニャン(これ以降、一部役名ではなく実名で記載する)との会話の粋な事と二人の衣裳の素敵な事。(取り分け、アヌーク・エーメ)
そして、アヌーク・エーメのロングヘアをかき上げる仕種を眩しそうに見ながら、ジャン・ルイは徐々に、過去の忘れ難き彼のミューズを思い出す・・。(この辺り、私の推測がかなり混ざっています・・。)
そもそも、素敵なのはジャン・ルイの息子の頼みで、彼に会いに行くアヌーク・エーメの姿である。
普通は躊躇うでしょう・・。
けれど、彼女は足を運ぶのである。
そして、ジャン・ルイの観る”現か幻か分からない”光景の数々。
二人で訪れる13×2の26号室・・。
そして、ジャン・ルイを訪れるもう一人の美女。
誰の娘かも覚えていないジャン・ルイに妖艶な美女は微笑みながら、”エ・レ・ナ”と囁く・・。モニカ・ベルッチである・・。
これ以上の、最良の人生があるだろうか・・・。
<最後半の、若きジャン・ルイが”遅刻は嫌いだ”という言葉とともに、アンヌを迎えに、早朝のパリを200キロで十数か所の赤信号と一時停止を無視して、”吹っ飛ばす”車のフロントからのローアングルの長回し映像は、その迫力と共に、あるレーサーの”人生”を暗喩で描いたのではないかと思った。
そして、フランス映画の懐の深さに敬意を覚えた作品である。>
ー追記ー
<出来れば、1966年の「男と女」の粗筋を思い出しておくと、より今作に入り込みやすいかと、私は思いました。>
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