Winnyのレビュー・感想・評価
全291件中、181~200件目を表示
出る杭は打たれる
脚本が秀逸な傑作
この作品の主人公、金子勇氏の弁護団が交わす会話などを通じて、見ている側に裁判の争点や、発生した問題点などが、分かりやすく描かれている。
その金子勇氏の何気ない言動(食事のシーンなど)によって、本人の個性や人間性が伝わってくる。
更に、この事件と同時期、こちらも大きな社会問題となったが、一見、本編ととは関係無いと思われる行政機関による裏金作りと、それを正そうとする側のエピソードが、吉岡秀隆演じるベテラン警察官を通して同時進行に描かれているが、それが最後に大きな意味を持ってくるという、物語構成の見事さ。
監督であり、脚本も手掛けた松本優作の才能は素晴らしい。
役者陣も、本人に成り切っていた東出昌大、三浦貴大の抑えた演技が、物語にリアリティさを与えていた。
最も印象的だったのが、あのラストシーン。本編を観て、是非、作り手の思いを感じ取って欲しいと思う。
個人的に、この事件の頃は大手電機メーカーの子会社で、携帯電話の仕事をしており、人一倍注目していた事件だったので、感慨深いものがあった。
最後に、この映画を制作したのはKDDIで、権力の側にあった公社を母体とするDocomoでは、決して作られなかっただろうと納得。
いくつか気になる点はあるものの、当時の状況を真摯に描いた姿勢に好感が持てる一作
2000年代初頭に社会問題にまで発展したファイル共有ソフト、「Winny」とその作者、金子勇氏に対する検察の捜査と公判の推移を描いた物語
。東出昌大扮する金子氏と三浦貴大扮する壇弁護士が物語の主軸となっているんだけど、そこに愛媛県警の仙波敏郎巡査長(吉岡秀隆)の挿話が、絡みそうでなかなか絡まないという微妙な形で差し挟まれてきます。
映像は小道具に至るまで、ノスタルジックさも残しつつ結構現代とも繋がっている、という過去感覚を絶妙なさじ加減で描いています。金子氏の家族も驚いたというほど役作りに励んだ東出昌大の、派手さはないが引き込まれる演技も良いけど、三浦貴大による壇弁護士の演技は、いかにも血気盛んかつ有能な若手弁護士らしい振る舞いで、非常に見事。特に金子氏に要所要所で振り回される時の困惑顔と絶妙な間は素晴らしいです。
雰囲気づくりを重視した映像の調子は全体的に調和がとれているんだけど、特に検察側の描写において、極端に照度を下げているのはやややり過ぎ感もありました。検察を「悪の組織」として強調したいんだろうけれども。
また金子氏はもちろん、多くの登場人物が実名で登場し、不祥事を起こした県警、府警もそのまま登場しているのに、報道機関名だけは架空の社名である点はやや違和感でした。このあたり、どういう意図や必然性があったのか、制作側の事情を知りたいところです。
法律事務所の若手に初歩的な質問をさせて、それにベテランが回答していく、という形でそれとなく当時のインターネット事情や著作権関係の法律知識を持ち合わせない観客に対して基礎情報を示す演出は親切ではあるんだけど、ちょっと若手の、特に女性職員の描き方が定型的で、制作側の認識の旧さを感じました。こうした描き方は現代に通じるように刷新して欲しいところでした。
いくつか気になる点はあったものの、派手な見せ場もないのに物語の推進力を維持する脚本と演出は見事だし、法廷劇としても見応えがある(というか率直に面白い)ので、十分に楽しめました。ただ「Winny」や「ファイル共有ソフト」、「2ちゃんねる」と言った当時のインターネット空間で鍵となる要素について全く前知識がないと、物語の導入部から理解が難しいと思うので、これらのキーワードを検索するなどしておくことをお勧めします。もっともWikiなどの包括的な情報源だと、物語の結末まで知ってしまう可能性が高いので、鑑賞の楽しみを取っておきたい人は、この点注意しましょう!
映画として面白かった
この事件に詳しくない人にも楽しめる作りになっていて、ドキュメント映画ではなく、ストーリー映画として楽しめました。
キャストも主役以外はバッチリ嵌まっていたと思います。それだけに主役がちと残念だなぁという印象。
特に東出さんに何の感情もないですが「金子さん」ではなくて「頑張ってる東出さん」としか見られなくてストーリーに没入できなかったです。
最後、吉田羊さんの説明台詞にがっかりしました。その後にご本人の映像を出すのだったらいらなかったと思います。
47氏が遺してくれたもの
以前に壇弁護士の書かれた書籍を2度読んだ事もあるため、結末を知った上で観ましたが、良い意味で期待を裏切られました。
47氏(金子勇)が『Winny』を公開する所から始まり、京都地方裁判所より『罰金150万円』の有罪判決を受ける所までが描かれています。
インタビューでも書かれていましたが、まず小道具の再現度が素晴らしいですね。
メガネのフレームやカメラはご本人の遺品を使っているのだとか。
PCやマイコンも可能な限り当時のものをとオークション等を使って揃えられたそう。
次に演技の部分。特に東出昌大さんの演技に惹き込まれました。
喋り方や細かな動きに至るまで、記者会見や書籍で描かれる中で想像していた人物像そのもの。
調べてみましたが、役作りの為に18キロの増量や壇弁護士や遺族の方にも取材を行っていたそうで、当たり前だと言われるかもしれませんが、改めて役者さんは凄いなと関心しました。
最後に演出の部分。全体的にリアル志向で好感でした。
小道具にも共通する部分ですが、ところどころ出てくるプログラミングのシーンもありがちな安っぽいサイバー演出をしていない所が良いですね。
また、ラストシーンに本人映像を出す演出。これには思わず涙が溢れてしまいました。
志半ばで倒れた47氏が戦い続けて遺した『技術者の未来』
インターネット上での著作権という凡例が少なかった時代に『無罪』を勝ち取った功績は非常に大きいものだと思います。
劇中にも出てきましたが、「ナイフで人を殺めた時に裁かれるのは誰なのか」という部分。
綺麗事と言われるかもしれませんが、出る杭が打たれない社会になる事を願っています。
なによりも本人の肉声が残る
当時話題になっていたのは知っていた。僕は利用したことはなかったけど、事件になったことも見聞きしていたが、裁判の経過などは知らなかった。その後のことも。
実際の本人コメ、金子さんを演じた東出さん、すごく良かった。
ある種、当時のオタクらしさを含めいい芝居をされていた。
古き良き、でも善悪混沌入り混じる黎明期のネット世界の住人の人らの想いもよかった。
それにしても、やるせない。
あの県警の人のその後は。。
47氏、さすがにここまで不思議くんではないだろうw
事実ベースの話は苦手です、なぜなら結果が分かっているから・・・
この題材でどこまで面白くできるのか、全然期待せずに見にいったのもあるかもしれませんが、予想外に面白かったです。
キーとなるのは、作中で一貫してP2P(ぴあつーぴあ)と表現していますが、現在ではブロックチェーンと呼ばれる技術ですね。
作中にブロックチェーンという言葉は一切出てこないですが、当時はまだそんな言葉はありませんので当然です。この辺りしっかり作ってて好感がもてます。
その他細かい作り込みで見どころ満載です。
コンピューター音痴の監督がやりがちなサイバーな表現もありませんし、
チラッと映るソースコードが人間業とは思えない変数名を使っていたのは、もしかして逆アセ?とか、
ジオシティーズとかもしかして本物のアドレスなんだろうかとか、
47氏の部屋に古いマックが2台あったけど68000とかパワーMACはないんだなぁといったような・・・
ちなみにWinny以前にはWinMXという(こちらは全くのpear to pearでブロックチェーンではない)ファイル共有ソフトが流行っていて、その次世代ということから
Mの次はN、Xの次はYということで名付けられたらしいです。
ネタバレ改行
↓
↓
↓
↓
↓
冒頭、のちの担当弁護士が言う通り
「ナイフで殺人事件が起きてもナイフを作ったものが罪に問われることはない・・・」
誰しも恐らくそう考えるだろうし、警察や検察もそう考えていただろうから、罠にかけてまで起訴に持ち込んだんでしょうけど、そこまでした理由を疑問に思わせつつ話は進みます。
同時進行で裏金の内部告発のエピソードが入れ込まれますが、これにうまいことミスリードされて飽きずに観てられたと思います。
まさか裏金の話が動機なんてことは・・・さすがにそれだと安易すぎる・・・などとちょっと心配になりながら見せられていきますが、終わってみるとそんなことはありませんでした。
マスコミも一丸となって印象操作に加担して47氏を追い詰めていくところなど、S大の監獄実験よろしく命令されて思考停止したコマの集団の危険性==個人の価値観や正義感は無視して無感情に役割を果たす姿であり、告発者である警官は匿名化ツールがあれば脅迫電話や尾行などに怯えることもなかった=個人の正義感のメタ。
サイコパス化した組織VS個人の正義感の構図。
実際、作中でも語られているように裏金は誰かが私腹を肥やす目的ではなく、内閣機密費のような使途を明かせない費用に使われていたものということで落ち着いています。(とはいえポケットにいれてもバレなそうですが・・・)
思考停止してコマとして働く組織人と全て自分でリスクを受け持つ個人どちらになりたいだろうか・・・
こういう状態は強い権力を有する官僚やマスコミなどに限らず組織にいれば陥りやすいと考えるべきで、そうはなりたくないからといって周りに煙たがられる存在で耐えられるのか・・・また、告発した側の個人も法的には正しいが・・・という考え方も
気になる警察側の動機については明かされませんが実話ベースならそれもアリかと思います。むしろ無理やり解釈を入れるよりは不明なことは不明で、成行で起きたということでいいのではないでしょうか。
あくまで劇映画なれど真摯な作品かと─
正直、多少ドラマチックすぎるのではと思うところはあります。でも、そもそもの前提は・・・と強烈に思い起こさせてくれる、真摯で誠実な作品だと感じます。
そういえば、少し話題になっていたなぁこのニュース、なんてぐらいの記憶しかないのですが、こうして振り返ってみると、ドラマの内容云々など関係なく、この事件の前提自体が奇妙に思います。でも、当時はそんなことなど全く思わず、無料で・・・とか著作権侵害で・・・とかウイルスが・・・とか、Winny自体には全く関係のない事柄だけが目立っていたと思うわけで、だから争われている本質を全くつかめていなかったと、改めて思い知らされます。
じっくりと作品を見て違和感に気づく、というのではなく、もう少し見ただけでその理不尽さを見いだしたし、それ故にかなり見入りました。
全然関係のないと思われる事件などもうまい具合に絡ませた展開だったので、なおさら面白味を感じました。
事件のその後など知らなかったことも知ることができたし、見る価値をすごく感じた作品でした。
確か、、携帯はあったけどスマホない時代。
私はPCスキルのない人間です。当時も今もメールとかネット位しか使ってないのですが、このニュースは覚えてます。開発者の人となりを知らなかったし、今は当然になった考え方をいち早く取り入れていたことなど知る由もなく、、お恥ずかしいはなしです。
実話なんで、モヤモヤとした終わり方も仕方ないですが若い開発者達に自由に想像、創作の羽を広げさせる環境って大切だな、、とか色々問題になるネットの匿名性の問題も考えさせられます。兵庫県警の告発話と並走させたのは上手かったと思う。当時はたから見てて、そんな関係性のある話題だとおもえなかった。
東出君の出演作はなかなか面白い物が多いように思います。がっつり山で反省して大作への復帰を期待しています。
もっと期待してた…
東出さんに金子さんが憑依してるようだった!
auマンデー『Winny』
この事件はよく覚えてますが、どう解決したのかは(^◇^;)って事で鑑賞
まだ今ほど家庭内にパソコンが普及する少し前、Winny使えばエロ画像や動画が見れるって話題が多かったように記憶します。
開発者の金子さんが、著作権法違反事件逮捕され、弁護士チームと共に無罪を勝ち取るまでが描かれます。
包丁を使って殺人事件が起こったら包丁作った人が罪に問われるのか!?
エンドロールの金子さんの実映像見て、主演・東出昌大さんの役作りと再現度が素晴らしい!
弁護士役の三浦貴大さんもお父さんとは違うスタイルで、様々な作品で爪痕残してますね。
本編とは別に、愛知県警の汚職事件を告発する吉岡秀隆さんが、彼らしいいい味だしてました。
来年の日本アカデミー賞にノミネート有力作品だと思います。
出る杭はうたれる社会
もともとこの事件を知らなかったけど、Abemaで紹介されていて興味がわいたため、みてきました。
東出さん演じる金子勇さんが本当に純粋にプログラミングが好きな人に私には見えました。
この事件に関わったそれぞれの人の熱い思いが伝わってきました。
それと同時に出る杭はうたれる社会ともいわれる現代日本に疑問を投げかける良い作品だったと個人的には思います。
映画化するのは相当な勇気が必要だったように思いますが、とても素晴らしい映画でした。ありがとうございました。
よくできた社会派作品
社会派作品として、よくできていたなと。
警察が冤罪を生む手口の紹介と、そんな陥れるやり方への批判が前面に出ていました。
これだけでも必見。
警察の言う通りに、署名しちゃダメと心に刻むしかなくなる!
そして、弁護士たちのアドバイスや模擬裁判で作り上げた裁判シーンが圧巻。
こんなかたちで有罪に持っていかれるのであるならば、日本の司法の在り方・やり方は変えなきゃいけないとさえ思わせてくれました。
裁判内容は、
「車を発明した人間は、車で人を殺した犯人の『幇助』になるのか?」
「YouTubeに著作権違反の動画がアップされるたびに、YouTubeの経営者が投獄されるのか?」
みたいなもんで、ありえない逮捕と起訴でした。
知識不足で理解できないからと、優秀なプログラマーの才能を恐れて潰すマスコミや警察の姿に、「こんな国じゃそりゃGAFAや中国に全部持っていかれても仕方ない」との悔しさも覚えましたね。
枯れすすきを妖怪だお化けだと騒ぎ、外国人を悪人に仕立て、時には虐殺すらする、日本人の「村」根性の発露でしょう。
ストーリーを描いて起訴する警察、検察の悪の姿を、渡辺いっけいや渋川清彦が憎々しく演じていたのが、また素晴らしく。
てっきり、担当弁護士さんの回顧録が原作なのかと思ったら、朝日新聞の記録本を「原案」としていました。
その弁護士さんは映画作りに協力しつつ、回顧録は映画制作に並行して書かれたもののようでした。
匿名での方が内部告発がしやすく、その点も含めた「Winny」の可能性の大きさを示すために、並行して愛媛県警の裏金事件をインサートしていたのですが、この意味合いは大きく必要なものの、関連についてかなり想像力で補わないといけないあたりが惜しかったです。
もしかしたら、「冤罪に問われた人間の名誉を回復する映画」というジャンルが、日本でも根着くキッカケになったかも知れないのに、制作サイドのヘボな点が残念過ぎてなりません。
あまりにも有名なファイル交換ソフトWinnyを作った金子勇(東出昌大)。
瞬く間に200万人が使い始め、違法アップロード・ダウンロードの温床となります。
そこで、警察は金子を「違法行為を助けた罪」で逮捕し、1審で有罪になったところまでを丁寧に描いた作品です。
主な登場人物を実名で作り上げたのは、この映画でもっとも評価できる点。
さらに東出昌大が、上手い。
この人はこんな上手い演技ができる人だったっけ、と驚くほどの好演技を見せてくれます。
ただし、映画を実名で作ることは、警察側などから名誉棄損で潰されるリスクと裏腹ですから、たとえば愛媛県警の不祥事にしても、食い足りないことおびただしいストーリーでした。
愛媛側の人間が、やがて金子と交点を持って、最後の大逆転劇につながるみたいな展開を、観ている側は当然期待するわけですが、最後まで両者に人間としての交点はなく、期待外れ、肩すかし。
まったくもって残念としか言えませんでした。
また、現実の事件を踏まえているからでしょうけれど、でもこの事件の最大のポイントは、控訴審で無罪を勝ち取る過程にあるはずです。
観客がいちばん観たい部分を完全にスッとばしているので、いったいどのような法廷技術を使ったのかとか、その時にみんなの気持ちはどのように動いたのかなどという部分が欠落しており、これが最大の欠陥でした。
敗訴で悔しい、その部分だけを見せつけられながら、じつは勝訴なんですテヘペロといわれても、観客が着いて来れますか?
というわけで、作り手側の失敗つまり取材対象に過度に憑依してしまったことによる、カタルシスが欠如した失敗作品に終わったのが残念でなりません。
日本でも、冤罪に問われた人間の名誉を回復する映画というジャンルが、ここから始まったからも知れないのに、と思うと、食い足りませんでした。
脇に名俳優がた
当時はまだ子供だったし事件自体は覚えてない。
でも悪いソフトを作った人がいる……みたいな印象だった。
無罪になった時は大人になってて、へー悪いことじゃなかったんだ。なんて思った。裁判所に認められたというか、時代の流れの結果だね。つまり彼は早すぎたのかね。
しかし吹越満上手!なんだろうね。演技のうまさ、っていうのは。東出君もなんて言うか、棒演技と役柄があってて良かった。
彼は未来の技術者の為に7年以上の歳月を費やしたけどそれはその後また自分も多くの時間を使って新しい画期的で人の役に立つものを創る。創れるという自負があったから。
それが叶わずわずか半年でこの世を去ってしまうなんて、最後の瞬間彼は何を考えたかなぁ。もしこの7年がなかったら素晴らしいものが出来ていたんだろうか。
最後に法律事務所に、勤めてるものとしてひとつ。事務の彼女………弁護士の会話に同席しすぎ〜〜笑
人民は弱し官吏は強し
"僕だって、警察の横暴を知ってしまったら、闘うしかないじゃないか!" 飽くなき探求心を持ち続けた大人子ども達の友情と、国家権力を盾に同族を庇う子ども大人達の法廷闘争映画
革新的なファイル共有ソフト"Winny"を開発した金子勇さんが著作権法違反幇助の疑いで逮捕され、弁護団とともに警察・検察側の権力やメディアと闘った延べ7年余りの後半生を映画化したノンフィクションドラマ。
実は個人的にはこの当時の世事の記憶は曖昧模糊としているというか、Winnyの開発が始まったという2002年は高二、金子さんが逮捕された2004年は浪人生だったので深く考えはせず、道具の開発者とその悪用者の罪業の在処ということでダイナマイトみたいなものか、というぐらいの印象だったのが正直なところです。
ただ、思い返してみると確かに逮捕当時の喧しさに対して最終的に無罪を勝ち取られた際の報道の印象は薄かったこともあり、一方で映画的な脚色は有るにせよ渦中の人々が開発者の権利と未来を守るために闘われた経緯はこういう形で俯瞰出来て良かったと思いました。
また一方で渦中の事件と同期する形で地方県警察の組織的な会計不正の問題もスリリングに描かれ、真意の見えない不気味な原告としての警察の暗部として双方の事件が収斂していく展開はミステリーとしても秀逸だったように思います。
本作を観てとみに感じたのは、他人から著しい時間を奪うということはそれだけで取り返しのつかない暴力だということでしょう。
公権力は言うに及ばず、大きな組織ほど所属している人間の多さからして一人一人の労力の重みを軽視しがちで、相手方の組織が小さければ小さいほど、ましてや個人であればどれだけ致命傷となるか慮ることは難しいでしょう。つくづく警察側が原告ということの異常さを感じたところです。
全291件中、181~200件目を表示