東京干潟

劇場公開日:2019年7月13日

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東京干潟

解説・あらすじ

多摩川の河口でシジミを獲り、捨て猫と暮らすホームレスの男性の姿から、現代社会のさまざまな問題を見つめるドキュメンタリー。多摩川の河口でシジミを獲って暮らしている、80代半のあるホームレスの老人。彼は捨てられた十数匹の猫を殺処分から救うため、日々世話をしながら、干潟の小屋で10年以上生活していた。シジミと共存していくため、成長途中の稚貝は獲らないというルールを自らに課している老人だったが、近年は一部の人々の無計画な乱獲で、シジミの数は減少していた。また、2020年東京オリンピックに向けて干潟には橋がかかり、沿岸には高層ホテルが建てられていく。東京という大都市の最下流から、変わりゆく街の姿を複雑な思いで見つめる老人の姿を通し、環境破壊や高齢化問題、格差社会、ペット遺棄など、現代日本が抱えるさまざまな問題を浮き彫りにする。同じく多摩川河口の干潟を題材にしたドキュメンタリー「蟹の惑星」が同時公開。

2019年製作/83分/日本
劇場公開日:2019年7月13日

スタッフ・キャスト

監督
村上浩康
製作
村上浩康
撮影
村上浩康
編集
村上浩康
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映画レビュー

シジミから見える「人間の一生って何?」

2025年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 『東京干潟』は、同じ干潟でシジミを取って日銭を稼ぐホームレスの爺さんのお話です。彼は、玉川土手にブルーシートなどで小屋を作ってそこで多くのネコ達と暮らしています(当然、非合法でしょう)。彼もまた、淡々とした日常を送り、干潟に入っては這い蹲って素手でシジミを取ります。それが築地に出て料亭などに卸されていると云うのですから驚きです。東京にそんな漁場があったんですね。

 現在80歳を超えるこのお爺さんが語る人生が戦後の日本史をそのまま反映しています。炭鉱景気に沸く福岡で生まれ、やがて返還前の沖縄に渡り米軍基地で働き、続いて大阪に出て竹中組で働いたのち建築業社社長として独立しバブル景気を迎えます。しかし、作業中の事故で片目を失明したものの、労災申請すると大手からの受注を失うのでそのまま引退してしまったのでした。そして、今や多摩川土手で格差社会の底辺で生きておられるのです。でも、人生の浮沈を呑み込んだ末のその言葉には不思議な魅力があります。「人間の一生って何だろう」なんて事まで考えてしまいます。

 狭い干潟に生きる、人間を含めた生態系を力まずに見つめるこの両作、監督の素直な視線がとても魅力的でした。

  (2019/10/12 鑑賞)

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La Strada

3.5なぜそこ

2023年2月11日
Androidアプリから投稿

多摩川河口でシジミ採りをしながら、ネコさん達も飼っているホームレスのおじいさんのドキュメンタリー どうやら羽田の近くらしいモノレールや飛行機が 若い頃はバリバリ働いていたらしく、建設業で片目失明してから河川敷へ
シジミも乱獲で段々捕れる量が少なくなり、台風、工事で干潟の面積も減り、それでもネコには餌をやりキチンと飼い続けている 動物を飼うとはこういうことである 温暖化も影響?自分の生活も大変そうで、捨てていく人がいる一方でである ちゃんと労災か年金貰ってくれよとは思った ただまだご元気でもう91才になられるとのことです 御本人様は今が一番幸せとのことでしたが、こういう人物にこそ良い事がありますように!

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ゆう

4.0干潟

2021年2月19日
Androidアプリから投稿

蜆爺さんを見ていると、これはいかにも昭和の代表的な人物だなと感じる。
この年代の人はコミュニティをとても大事にする。職場仲間も猫ちゃんたちも皆自分の家族同然のふれ合いをしている。家族であればこそ喜びも悲しみを分かち合える、そんな風情が彼からは見てとれる。
でも年々東京からこういうコミュニティも失われていくんだろうな~ぁ
SNSなんかとてもそれに変わるようなものになり得ないと思うし、そういう意味じゃ今の世の中こそが干潟だよね。東京はまさに干潟です。

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ちゆう

3.0多摩川河口のホームレス

2021年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

多摩川の河口でしじみを取りながら、その日暮らしをしている80代の男性を追う。
捨て猫が可愛そうで飼っているが、しじみ代はエサ代に持っていかれる。
このホームレスの人生は日本の戦後とリンク、これからの日本への警鐘になっている。

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いやよセブン