劇場公開日 2021年8月13日

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「変化は望むが、逸脱は望まない。」フリー・ガイ ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5変化は望むが、逸脱は望まない。

2025年5月7日
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鑑賞方法:VOD

造り物の世界に生きる主人公って意味なら、
「トゥルーマン・ショー」みたいなフィクションライフ的世界観だし、
死んでも翌朝何事も無かったかのように起きるって意味なら、
「ミッキー17」や「隔たる世界の2人」みたいな輪廻的タイムループ的世界観だし、
世界の創造主たるプログラマーが主人公の行き先を阻む為に、
世界をぶっ壊すという意味なら、「2012」みたいなパニック映画的世界観。

劇中に出てくるアイテムやシーンの数々は、キャプテンアメリカの盾を筆頭に、
有名ゲームのオマージュオンパレード。
ゲーム実況者みたいな人々も、多分その界隈の有名配信者なのだろう、知らんけど。

ただ、これだけ様々な仕掛け、遊び心満載の小ネタを散りばめておきながら、
没入感弱めで、眠くて眠くて仕方がないのはなぜなのだろう。
あまりにアメリカナイズされた世界観で、リアリティに欠けた造り物感に、ただただ傍観してしまったゆえの拒絶反応かも。

ゲーム内の、あるモブキャラのAIが進化して、自我に目覚めてしまう話。
決まり切ったルーティンに疑問が生じ、そのルーティンから抜け出そうとする物語に、
共鳴と共感を呼び起こそうとする意図に、一定の理解は持てるのだけれども、
ルーティン嫌いな私ですら、主人公のような人生の「逸脱」までは望んではいなかった事を悟る。
これだったら映画「日々是好日」のような、ルーティンの人生の方がまだマシかなと思う。

変化は望むが、逸脱は望まない。

没入感の弱さはそこが原因なのかも。

ソビエト蓮舫