スウィング・キッズのレビュー・感想・評価
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幾重にも重ねられた物語の多重構造に唸らされる
毎年、年始に仲間うちに公表している「マイベスト映画」の2020年版にこの作品を選びました。
封切りから時間が経過していますが、あらためてレビューします。
『スウィング・キッズ』は、宣伝のビジュアルに完全に騙された「スゴい」作品でした。
タップダンスも大好きで、予告編で紹介された劇中曲(sing! sing! sing!やデビッド・ボウイのmodern love)に魅かれ、ワクワクしながら途中まで観ていました。
舞台は朝鮮戦争下の捕虜収容所。タップダンスを通じてアメリカ軍と韓国の捕虜が敵味方を越える話…さぞ、音楽やダンスが架け橋になるいい話なのかと思いきや、そこからのすごい展開が待っています。
何度も「えっ」と思わされ、いい意味で裏切られます。最後には作り手からの強烈な反戦メッセージが込められています。
この、幾重にも重ねられた物語の多重構造に本当に唸らされ、圧倒的なストーリーテリングの巧さを感じました。
さすが、『サニー』を監督したカン・ヒョンチョル。次回の作品も楽しみです。
言葉は通じずとも心は繋げる!
とりあえず一番びっくりしたところから。この主役の方アイドルだったんだね!演技上手くて全然気付かなかった。それにアイドルでも丸坊主にできるんだ。ジャニーズの丸坊主とか見てみたいな。無理かなー。カッコいいと思うんだけど。
ストーリーも良いんです。
凄く明るい序盤からどんどん暗くなっていく様子には目を奪われました。なんか「ジョジョラビット」と似通ったものを感じたりもしました。また女性解放映画、成長映画、ミュージカル映画、反戦映画としても良い線を行っている盛り沢山の映画なので是非見て欲しいです。先生を全く言葉の通じない存在として描いているのもダンスでの繋がりがみれて良かったです。
そしてタップダンスをテーマとしていることもありそこは文句の付け所が無いくらい素晴らしいです。いやー劇場で見たかった!爆音上映で見た人はすごく羨ましいです。爆音上映って凄まじいですからね。まあこのすばの劇場版でのしか知らないんですけど。
見終わった後タップダンスをしたくなる映画でした。実際上靴でやっちゃいましたからね。放送室は良いよ。防音だし。部員少ないし。
いやー実に良い映画でした。是非ご覧ください。
Free as a bird
捕虜収容所という場面にも関わらず、冒頭からどことなく緩い。軽くする意図なのかと思ったが、後でどうやら事件の本質であったと気付かされる。監視している米軍が緩いのが元凶で、混ぜてはいけない投降者と本当の捕虜を混ぜて、平和な顔をしている。原住民の対立など歯牙にも掛けないのか。施政側の落度のツケを払わされた若者たち。無情。生きたいように生きれなかった者の鎮魂歌が響く。
テーマと演出の解離
個人評価:3.3
捕虜たちの抑圧された解放のチカラと、タップダンスを上手く融合させている。白人の身長も低く回りに合わし、絵的にもこだわった世界観の作り込みもよい。ただテーマとコミカルな演出がやはり解離し、上手くストーリーと気持ちが伝わってこない。重いテーマが軽い印象となり、どちらもマイナスの相乗効果に思える。
主役のD.Oは韓国アイドルとは思えない演技と、目で演技ができる眼差しをもっており、そこは感心した。
映画館で観て正解でした
爆音映画祭で上映するとのことで観に行ってきました。
いや〜行って良かったです。
最初は爆音だけにタップの音がうるさいな…と思ったのですが笑、終盤の舞台のシーンは圧巻でした。
ダンスチームとオーケストラとの掛け合いが楽しく見ていて胸が躍りました。
エンディングでFree as a birdが流れるのですが、この優しい音楽とともに映し出される写真に泣かされました。
D.O.は大丈夫、愛だの頃に比べめちゃくちゃ成長していてびっくり。
ラストのジョンソンとのタップもすごかったです。
オ・ジョンセさんもよく頑張っていたなぁ。
テンポがいい 涙が流れたシーンが何度か 不条理の中での信念と衝動、...
テンポがいい
涙が流れたシーンが何度か
不条理の中での信念と衝動、それによる葛藤
踊ってる瞬間、彼らは自由
人種、性別、立場、思想から解き放たれている、
まさしくイデオロギーなんてクソ食らえ!
Fuckin' ideology !!
それにしても米軍の若者役の俳優さんドストライク。
かっこいい。
哀しいけど、キラリと光るものを観た
戦争は、今日の味方を明日の敵に容易に変えてしまう。
イデオロギーや絶対服従の命令で、人を縛りつけてしまう。
哀しいことの多い戦時下に、
大好きなことや一緒に取り組む仲間に出会い
夢中で生きた人たちのお話。
鳥のように自由だ、が主題曲に聞こえた
たぶんD.O.を他の韓国映画で見たことがあると思う。
EXOのことは知らない。
強い眉。キッとした眼力。みなぎる躍動。アジア枠を超える俳優だと思う。
オジョンセはドラマ/映画でひんぱんに見かける愉快な中年俳優。
ジャクソンとぽっちゃりの青年は初めて見た。
パクヘスは韓流ドラマで見たことがある。
ぷくっとした頬が特徴。
上背がなく小粒。
映画女優というよりアイドルの印象だった。
踊れるとは想像もできなかった彼女を、映画はしっかり輝かせていた。
リンダ姉さん役の女優も楽しかった。
悲劇を描写したかとおもえば、コミカルなタッチを挿入する。
イデオロギーや非情が、観る者の気分を覆ってしまう前に、さっと転換する。
──映画は押すばかりでなく、しっかり引いてくれた。
演出をわかっている人がつくっている。
過酷な宿命だがギラギラにはしない。
お涙へ振らない。
被害者自慢をしない。
結末に反して後味はすがすがしい。
Free as a birdがまるで主題曲のように染み入った。
このエネルギー。
キャスティング。
サウンドプロダクション。
自在に走るカメラ。
めまぐるしい編集。
見終えて、落ち着くと、なんていうか、その情熱を思う。
世界をあっと言わせてやろう。
映画もビジネスだが、それをまだ魔法だと信じている人たちがつくっている。
技術も出来もさることながら、その意識がうらやましかった。
比較するつもりは毛頭ないが・・・(以下割愛)。
リアル感なのかもしれないけど
朝鮮戦争下の貧しさの描写で画面が泥水や血糊や汚れで茶色ばっかり。ストーリーも登場人物の設定も暗くて残酷。せっかくのタップダンスを映画全体を覆う暗さを引きづって手放しで楽しめなかった。ダンスがもっとショーアップされた演出の舞台ミュージカルだったら好きだったかも。
ちょっと無理あるコザックダンス
色んな映画で使われているベニー・グッドマンの「シング・シング・シング」ですが、ついつい思い出してしまうのが『スウィング・ガールズ』です。ラストの一番盛り上がる場面でバンド演奏とともに5人がタップダンスを踊りまくるのですが、ガールズだったらここで絶頂感を味わい、あースッキリ♪という気分にさせてくれるのに、まだ続きがあった・・・
「タイトルはファッ〇・アイディオロジー!」の言葉に集約された北と南の思想問題。しかし、朝鮮戦争そのものは次第にソ連とアメリカの代理戦争の様相を示しており、北の人たちにも思想が浸透していなかったからこそ、こういう言葉が出たのでしょう。『ブラザーフッド』(2004)を観たときにもそれを感じました。いきなり分断された国家。家族さえも分断されるほど38度線は冷徹で、市民には何の関係もないところで起こったこと・・・
巨済島収容所はアメリカ人の所長によってかなり自由な雰囲気の収容所だったけど、今にも暴動を起こしそうな北朝鮮人もいた。主人公ロ・ギスの兄も英雄扱いされていて、突如現れたときは怖かったです。身長差もすげー。
ピアノも弾けるタップダンスの名手M・ジャクソン軍曹。え、マイケル・ジャクソンの伝記?などとも一瞬勘違いしてしまいましたが、彼がまた上手い!フレッド・アステア並みというか、スピード感では彼を超えていますね。クライマックスではもう1曲くらい欲しかったところです。
ギョンスも役者もいいけど脚本良くない…
ギョンスのダンスすごい。
役者さんも良い感じ。
しかし、脚本が色々詰め込みすぎでは…
兄さんと悪役が漫画キャラみたいだし、
登場人物たちの背景の描きこみが浅くて、
色々な出来事も雑な展開に見えてしまう。
ラストの出来事自体については良いと思うんだけど、
それまでが浅く感じられたため、
その力が弱まってしまった気が。
色々ともったいない気がしてしまいました。
ダンスの曲名に込めた強烈な意志。
本作では、朝鮮戦争当時の、しかも捕虜収容所という、政治的に極めて錯綜した状況を舞台としています。その複雑な舞台設定とは裏腹に、少しレトロなデザインのポスターは非常に明快で、主演の二人の笑顔と躍動感に溢れた姿が、強い印象を与えています。
もちろん複雑な時代の複雑な舞台設定のため、ポスターが与える印象のように物語は直線的には進んでいきません。何かの技芸がバラバラだった人々を一つにまとめていく、という定型化した物語を踏襲するようで、次の場面ではその期待をあっさりと裏切ってくれます。本作のもうひとりの主人公と言っても過言ではないタップダンスは、まさに彼ら夢と生きがいを体現しており、そのリズミカルな振動を体感することで、登場人物と観客は文字通り一体化し、彼らの幸福感、熱意をまさにわがこととして体験することを可能としています。
見所の多い作品ですが、とりわけみごとなのは主人公、ロ・ギスが、ある事情で心ここにあらず、という状態でタップダンスを披露する場面で、技法的には素晴らしいダンスなのに、そこに全く心がこもっていないことを感覚的に理解させていたことです。この場面があるからこそ、稚拙でも心のこもったダンスと、そうではないダンスとの違いが際立っています。演技、演出の見事さにはひたすら感心するばかりでした。
意外な結末と、その後エンドロールに挿入される写真の対比がひたすら胸を打つ一作です。
好きなことを好きなだけやれる世界は尊い
単なるダンス好きな青年の映画だと思ってみたら大間違いだった。予想を越える怒涛の展開に心臓が痛くなった。戦争、イデオロギー、人種、民族といろんな要素が盛り込まれていて、それをダンスという切り口から描く今のところ今年のベスト1だわ。好きなことに自由に没頭できるってことは本当素晴らしいことなのだ。
ファック、イデオロギー
ジャクソンの言う、パフォーマンス・タイトルだ。
「共産主義も資本主義も知らなければ争わなかった。」パンネの言葉は重い。
第一次世界大戦後、民族自決をベースに多くの国家が独立したり、新しく出来たりしたが、それは結局、第二次世界大戦を引き起こしたことで失敗に終わり、今度は、イデオロギーの争いが世界を飲み込んでいく。
人間の本性は、民族やイデオロギー云々の前に、争うことなのではないかと思ってしまう。
この映画は、楽しくも悲しく、そして切ない。
ただ、人間の本性は争うことではなく、きっと、共生することだと思わせてくれる。
娯楽作品としてもいい映画だと思う。
パンネがかわいい。踊る姿にグッとくる。
日本も世界を相手に映画をもっと作れればいいのにと心から思う。
ネット右翼のエセ民族主義は、時代遅れだ。
すご〜〜く、よかった!!
すご〜〜く、よかった!!
朝鮮戦争の南側捕虜収容所、つまり北朝鮮の捕虜を収容しておく場所で、タップダンスに目覚める北側の主人公の話。
終盤、捕虜収容所内でのクリスマス講演の冒頭で、ダンスチームを作ったジャクソンが観客(兵士や捕虜や赤十字の人たちね)に告げたタイトルは、「ファッキン、イデオロギー!」 そりゃ所長も渋い顔しますわ。
本作を観ると、その思いは強くなる。思想や主義は必要なものだと思っているが、なぜ対立して互いを傷つけあってしまうのか。宗教も同じだと思うが、そもそも人間を幸せにするための手段であるはずの思想・主義(や宗教)であるはずなのに。(朝鮮半島は、第二次大戦の結果、日本の占領下から5年間の米ソによる分割信託統治を経て統一政府樹立をめざす米英ソによる協定があったが、それを知った朝鮮半島で左派と右派の抗争になってしまい、米ソが収拾に失敗した結果、現在も続く南北分断となっている。:Wikipedia「朝鮮統一問題」から抜粋)
一方で、音楽と踊りは、傷つけあわず、いろいろなものが共存できるんだなあ、とあらためて思った。タップダンスには興味はないし、本作観たから踊りたくなる、ということもないのだが、米国人であろうが朝鮮人であろうが関係のない、音楽や踊りへの共鳴を強烈に感じた。
音楽や踊りは嗜好なのに対し、思想・主義は、政治(つまりある領域がまとまって行動すること)の基準となるものなので領域内ではひとつに絞る必要があるのだからしょうがないことなのかもしれない。ただ、主義と主義が対立し傷つけあうことに必然性はないようにも思える。
・・・なんて難しいことにまで思いをはせる時間はない。十分、堪能しなければ損だ、と思わせる映画でした。
特に、軽快?な前半と重苦しい終盤のちょうど境い目に、収容所と街、離れた場所で、主人公 ロ・ギス と通訳 パス・ヘス のふたりが、見事に踊る「モダンラヴ」最高!! このシーンは、何回でも見たい! このシーンだけでも、みんなに観てほしい!!!
ラストソングは、ビートルズ ”フリー・アズ・ア・バード” まだ終わっていない朝鮮戦争への強烈な反戦映画ですね。
ストーリーはは、最初の方はややもたつく感があるのだが、133分の長編なので、後半観てるときにはそんなこと、とっくに忘れてる。
おまけ:ジャクソンは演技はそううまくないけど、タップダンスは凄いな、と思って観ていたら、アステア賞受賞者だったのね。納得。
私の中でのアカデミー賞。観て欲しい作品です。
ダンス映画の躍動感が好きで気になっていて、評価が思いのほか高く仕事帰りに見てきました。
1917も私の中では限りなくアカデミー賞に近い作品ですが、こちらの作品はそれ以上で、この何年かの間でみた作品の中で一番と言えるくらい刺さりました。
あらを探そうと思えばダンスにCG使わないで欲しかったとかあるんですけど、人種や性別、イデオロギーの違いからバラバラの5人を、もどかしくなったり笑えたりしながら朝鮮戦争時の捕虜収容所の中で1つのダンスチームとしてまとまっていく様子を見守っているうちに気持ちが入っちゃいました。
国を分断されたという複雑な想いは私たちには計り知れず、ラストへの流れは同じ民族同士の想いのすれ違いから避けられないものだったのかもしれないけど本当に悲しかったです。だからこそ感動を共有できるリズム、音楽、ダンスからのメッセージを強く感じました。
全63件中、21~40件目を表示