アニエスによるヴァルダのレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
90歳になったアニエス・ヴァルダ。
自身を振り返る講演会が多々開催されるようになった。
長篇デビュー作『ラ・ポワント・クールト』から、映画百年記念映画『百一夜』を経て、近年のアーティスティックな活動まで・・・
20世紀のヴァルダは映画監督で、21世紀の彼女はアーティストだった。
『歌う女、歌わない女』でアニエス・ヴァルダにはじめて接した私。
『冬の旅』『百一夜』など、劇映画の晩年までの20世紀の彼女には関心を覚えたが、21世紀の彼女には関心を覚えず。
なので、映画後半は退屈だった。
アーティスティックな活動は、実物を見て感じてこそ。
そう感じました。
気付いたのは、ヴァルダが講演などで話す際、手元を触りながらだなぁ、と。
なるほど、晩年、視覚障害で、点字メモを読みながらだったのか。
それは感覚なのか、計算なのか。
チャーミングで真摯で情熱的で闘う人のいま昔
新文芸坐はアニエス・ヴァルダ特集へ。
「ラ・ポワント・クールト」「アニエスによるヴァルダ」という、氏の最初と最後の作品を同時に。
こんなにチャーミングで真摯で情熱的で闘う人がもういないのかと思って、色んな思いで胸を熱くしながら鑑賞。
きちんと視点を定めて撮るから一見不思議に見えても芯が通って感じられるんだなと思った。そのための彼女なりの手法がきちんと確立されている。
そして、これは残しておかなければ、という熱意。根気強さ。
何度も過去と今を循環しながら広がっていく作品たち。
どうしてあんなに、市井の人々の生き生きして、それでいてそのままの表情をフィルムに納めることができるんだろう。
氏の豊かな内面を、撮影した人々からも伺い知れる。よく鏡が出てきたけど、氏と映画はそんな風に表裏一体なんだろうなあ。
まだ観ていない作品があるのが幸せと思おう。
アニエスからの最後で最高の贈りもの
自己の履歴の講義とコラージュ
自身の履歴を講義のように淡々と語る序盤はかなり退屈だったけれど、徐々に内容が入り組んで来るにつれて、アニエス・ヴァルダという芸術家のクリエーティビティがよく理解できてきて、映画監督とか映像作家というような狭い枠に収まりきらないアーティスト像に驚きの連続。
ヴァルダ作品は、「~クレオ」「落穂拾い」「顔たち~」の3本しか詳細に覚えていなかったけれど、それでもかなり参考になったし、より一層作品を理解できた気がする。彼女の作品を知っていればいるほどに、このセルフドキュメンタリーともいうべき作品は意味をなすような気がした。
アクティブで感動的、時にチャーミングで時にファニー、年齢を重ねるとともにその創造物が力強さを増しているように思えた。まさしく燃えに燃えて燃え尽きた印象、いやこれからも作品の中でヴァルダは輝き続けていくのだろう、あの猫のズググのように─
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