劇場公開日 2019年10月25日

ジェミニマン : 特集

2019年10月15日更新

“今”スミス VS “若”スミス―― “よくある”近未来アクション
かと思ったら… 尋常じゃない面白さ! スルーなんてとんでもない!
「M:I」ばりの興奮押し寄せる“想定外の快作”だった!

ウィル・スミス VS ウィル・スミス。そんなキャッチコピーを冠した「ジェミニマン」(10月25日公開)は、“想定外の快作”だった。「ミッション:インポッシブル」シリーズを彷彿させる興奮が押し寄せ、続いて温かい感動が目から耳から流れ込んでくる。

アクションは独特の躍動感を宿しており、「なんだこれ、すごい……!」と驚かされること請け合い。スミスが「アラジン」ジーニー役で見せたものとは正反対の、ソリッドな熱演も印象的だ。本作を“よくある近未来アクション”だと侮ってスルーするなんて、とんでもなくもったいない。予想を裏切るこの面白さを、ぜひとも体感してもらいたい。


[そもそも、どんな物語?]
史上最強のスナイパーが、命を狙われた―― 刺客は…若いころの自分!?

スミスが演じるのは、2キロ離れた地点から、時速288キロで走行する列車内の人間を狙撃できる史上最強のスナイパー、ヘンリーだ。政府に依頼されたミッションを遂行中、何者かに襲撃されるヘンリー。銃撃戦のさなか、奇妙な感覚にとらわれていた。襲撃者と自分の挙動が、まるで鏡合わせのように重なってしまうのだ。

同じタイミングで銃を抜き、同じ狙いでトリガーを引く。決着がつかない。膠着状態のなか、襲撃者が不用意にも物陰から頭を出した瞬間、ヘンリーは勝利を確信した。だが、撃てなかった。スコープ越しに目撃した襲撃者の顔、そして体つきやたたずまい全てが、若いころの自分に瓜二つだったからだ……。

敵は、なんと自分が知らぬ間につくられた“クローン”だった――。大事なことなので繰り返すが、よくあるアクション映画だと思ってスルーするのは、あまりにももったいない! その理由を、次の項目で詳述していこう。


【予告編】 “今スミス” VS “若スミス” 果てなき死闘が始まる――

[予想外だった5つの“面白さ”] キャスト、世界観、CG、アクション…
普通の近未来アクションにはない、唸るような際立つ“魅力”

一足先に鑑賞した映画.com編集部も、そのクオリティに息をのんだ。“若き自分に命を狙われる”というプロットから、正直、上映前は勝手に「LOOPER ルーパー」のような物語を想像していた。

しかし眼前で展開されたのは、“まったく異なる近未来アクション”だった。夢中にさせられた、予想外の“5つの面白さ”を紹介する。

・開始直後にわかる… 今回のスミスは、どこか違う

「アラジン」ではジーニーに扮し、ひたすらコミカルな好演を見せていたスミス。しかし本作では何やら雰囲気が違う。鋭利な刃物を思わせる研ぎ澄まされたオーラ。銃を撃つ度に諦めが体に染みついていくような哀愁。シリアスでプロフェッショナルなスミスを、全編で堪能することができる。


・作品のテイストはむしろ…「ミッション:インポッシブル」

映画はヘンリーが、ベルギーの小高い丘でライフルを構え、通信でやり取りしながら任務をこなす模様から始まる。ファーストシーンの肌触りから、観客はあることを直感するはずだ。

物語中盤、ヘンリーは米国防情報局の捜査官ダニーらと急造チームを結成せざるを得なくなり、ヨーロッパや世界各地を飛び回る。そして彼らは、それぞれの技能を生かして窮地を切り抜けていく。そんな筋書きは、「ミッション:インポッシブル」シリーズに似た興奮を与えてくれる。


・若きヘンリーはなんと“全部”CG 制作費はスミスのギャラの2倍!?

現在のヘンリーと若きヘンリー=“ジュニア”は、スミス自身が“W主演”として演じている。ジュニアの外見は20代のスミスそのものだが、果たしてどのように撮影されたのか? 実はこれ、すべてCG。ボディダブルの顔に合成したのではなく、最先端の3DCGで創出されているのだ。その制作費には、スミスのギャラ(ハリウッドでもトップクラス!)の約2倍ともいわれる莫大な金額が投じられた。

本編を見ると、CGであることが信じがたいほどの“実在感”に驚かされるだろう。現在のスミスが「インデペンデンス・デイ」(1996)のころのスミスと共演し、実際に戦っているようにしか見えないのだ。テクノロジーの進歩は、ここまできた――。後述の特別映像で詳細に解説されているので、ぜひ目を通してみてほしい。


・アクションは「キングスマン」×「ジェイソン・ボーン」シリーズ!?

ど派手なアクションが数多く登場する本作だが、特にバイクチェイスが強い輝きを放っている。ジュニアに襲撃されたヘンリーはバイクで逃走をはかる。コの字型の狭い路地を、壁や車にぶつかりながらゴリゴリと走り抜けていく。開けた通りに抜けると、ジュニアが追いすがり、乗っていたバイクごと転倒させられる……そんなシークエンスが、ほとんどワンカットで映し出されるのだ。アン・リー監督は、この壮絶なバイクアクションを“バイフー”と名付けている。

全編を彩るシームレスなアクションは「キングスマン」の教会バトルや「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の疑似ワンカットを彷彿させ、スピード感は「ジェイソン・ボーン」シリーズのようでもある。独特の“呼吸”で生み出された映像は、見る者を未知の体験へ導いていく。


・“ハイ・フレーム・レート”による没入感がすさまじすぎる…!

本作は通常の映画の2.5倍である、60fpsという規格外のフレームレート(簡単に言うと1秒当たりのコマ数)で製作されている。3D+IN HFR(ハイ・フレーム・レート)と名付けられたこの技術は、観客にすさまじいまでの没入感を与えてくれる。

フレームレートが増えるということは、つまり肉眼で実際に見る景色に限りなく近づくということ。そのため観客は、本作の映像から“自分の目で、本物の光景を目撃している”と錯覚する。結果、映画の世界に深く入り込み、物語への感情移入はブーストされ、体験がもたらす感動は非常に強くなっていくのだ。


【特別映像】ウィル・スミス“W主演”の秘密を語る

[テーマを紐解く]アカデミー賞監督賞に2度輝いた巨匠アン・リー
“人間ドラマの名手”が、“近未来アクション”を描いた理由とは?

メガホンをとったのは、台湾出身のアン・リー監督。アカデミー賞での受賞歴は華々しく、2005年の「ブロークバック・マウンテン」、12年の「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」で、ともに監督賞に輝いた巨匠だ。

“人間ドラマの名手”が、本作のような近未来アクションを新作に選んだ理由は、果たして何だったのだろうか?

物語の前半、衰えから引退を決意したヘンリーは、世界中の死線をともにくぐり抜けた戦友たちと顔を合わせる(ベネディクト・ウォンのキャラがたまらない!)。彼らは盃を高く掲げ「戦争のない明日へ」と乾杯し、そしてヘンリーはジュニアとの対峙を経て、現役時代には考えられなかった“ある決断”を下す。

そんな様子を見ると、リー監督がこの脚本に強く惹かれた理由がよくわかる。疾走感あふれるアクションと、温かな感動を運ぶ人間ドラマが調和した本作は、あらゆる観客の胸に届き、さまざまな感慨を与えるに違いない。

エンドロールが流れきり、劇場が明転した瞬間、観客はどんな感情に満たされているだろうか――。感想を聞くのが、楽しみだ。

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