アヴリルと奇妙な世界のレビュー・感想・評価
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スチームパンクの新たな秀作
科学者が攫われて科学が今の地球のように発達しなかった、そのせいで蒸気機関が発達してスチームパンク的世界が生まれた、という世界観が面白い。スチームパンク的世界の成り立ちをちゃんと説明している作品は、意外と少ないのではないか。物語は、科学者一家の娘であるアブリルが消えた家族と、不老不死の血清を巡り地球外生命体と壮大なスケールで争うというもの。自然と科学という、宮崎駿的なテーマを匂わせつつ、しゃべる猫の相棒や、飛行機、雷雲の中の本拠地などや歩く家などスタジオジブリの様々な作品の意匠の影響を受けている。 科学の究極の罪とも言える核兵器も登場し、科学は人を幸せにするのか不幸にするのかを観客に問いかける。 主人公のアブリルはとてもチャーミング。猫のダーウィンも憎まれ口が上手く、憎めない性格をしている。終盤のダーウィンの大活躍はむしろ主人公を食う存在感だった。不老不死の猫すごすぎる。
まさか、帝国少年さんへのリスペクト?!
スチームパンク! 石炭から原子力って事だろうね。 フランスは原発推進国だから仕方ないのだろう。 面白いが、新しい世界って感じではない。今の世界が異次元転生したって感じ。フランスらしいと思う。 アニメと言ってもCGアニメをレトロ感を出して制作していると思う。セル画は主要では無いと思うが。 『乗り物』とか『街』とかスチームパンクしていますが『プペル』の背景を担当したイラストレーターさんとか帝国少年先生へのリスペクトじゃありませんよね?!
シュールな漫画
ジュールヴェルヌやHGウェルズの古典SFの世界観、この種のSFジャンルをスチームパンクと言うらしい。この壮大な架空の世界を実写・VFXで作ったら途方もない手間と予算がかかったろう、まさにアニメでしか描けない壮大な映画です。キャラクターはシンプルな2Dアニメで漫画チック、背景や建造物の緻密さと好対照、味のある描写です。
ストーリーは離散した科学者一家の逃亡劇、最後は力を合わせ地球を救うという壮大なアドベンチャ―。
不死身の戦士を作る秘薬の研究をはじめナポレオン政府は軍事目的での科学者狩りに必死、アヴリル一家は代々秘薬の開発を続けてきた科学者一家。科学者狩りは政府だけかと思いきやエイリアンのようなトカゲ人間も同様のことをやっていたと言う設定。たぶんナチス第3帝国の暗喩でしょう。
子供向けなので喋れる猫、アヴリルの愛猫ダーウィンが大活躍。蒸気機関全盛かと思いきやハイテクのオスプレイもどきや光線銃、潜水艦ならぬ潜水館、挙句は宇宙ロケットまで出てくるから興味津々。アニメ映画は日本のお家芸かと思いきや世界には凄い作家がいるのですね・・。
猫サムライとスノードーム
アニメそのものの印象はどことなく日本の昔のコミックを思い出させる風貌だったり、細かな手描き感溢れる温かさには懐かしさが漂ってくる。背景画にしても、中心地以外はモノトーンで暗く、エッフェル塔ですら煤だらけの煙突みたいに感じてしまう。キャラは太い輪郭で、母アネットも娘アヴリルも可愛くない・・・ただ、恋をしてからは違和感もなくなる。
そんな絵的なものよりも独創性豊かなストーリーが面白い。普仏戦争がなくなったことにより大きく歴史が変わり、トカゲ軍団によってアインシュタインやパスツールをはじめとする優秀な科学者が失踪し、世の中は産業革命も起こらず蒸気機関に頼っているのだ。電気すら発明されていなかったが、トカゲ帝国には科学者が集められていたので電気はあった。平和的利用じゃなかったけど・・・
メインとなるのは不死身になる秘薬の研究で、アヴリルの曽祖父ギュスタープから始まっていた。ナポレオン三世が戦争のための最強兵士を作るために研究させていたのだが、あっけなく研究所が爆発し、歴史は変わった!という設定だ。その時逃げ出した2匹のトカゲが地下に帝国を作り上げていたのだ。
祖父ポップスことプロスベールと父ポール母アネットにより完成していた血清はスノードームに混入され、それが1941年にひょんなことから飼い猫ダーウィンを蘇らせ(たと思われた)、祖父の代から追い続けていた警部(降格)や利用されていたジュリウスをも巻き込んで大騒動となってしまう。
個人的にはほぼダーウィンが主人公に思えた!結局、不死身の効果を得られたのは彼一匹だけ。壮大な科学者家族の喋れる飼い猫だったけど、彼が全てを見てきたのだ。奇想天外なストーリーと、宇宙を旅した猫。終わってみると、かなり寂しかったに違いない猫の気持ちも想像できるし、猫目線で描いても面白い作品になったに違いない。科学の発展の逆をいく面白さも彼の功績なのだろう・・・コティヤールが声優だったことを知っていればアヴリルも可愛く見えたのかもなぁ。
可愛くないのに可愛く見えてくる恋するスチームガール
まず鑑賞開始直後の第一印象は、「ヒロインが可愛くない!」だったけど、不思議なもので観続けていくうちに可愛く感じてくる。 つまりそれだけアヴリルが人間味あふれ、魅力的に描かれているという事。 このあたりは、『アリータ:バトルエンジェル』のヒロインに通じる物がある。 あえて可愛くないキャラデザにしたのは製作スタッフの意図らしいが、それは見事に奏功している。 ちょっと唐突なぐらいアヴリルが愛に重きを置くあたりは、いかにもフランス人っぽい。 これもスタッフが公言しているが、宮崎アニメにオマージュを捧げていたり、スチームパンクな世界観で繰り広げられるあらすじ自体は、『スチームボーイ』を彷彿とさせる。 ていうか、期待させすぎて残念な出来だった『スチームボーイ』よりも全然『スチームボーイ』、否『スチームガール』している。 製作年が2015年という事で、4年近くも日本公開が寝かされていたのが勿体ないぐらいの出来。
悪くない
蒸気機関車までの技術的な発展で止まっているフランスで展開する物語。 アヴリルの見た目はともかく、海外のセンスと思えば問題ない。 物語もそつなく進んで行くし、頭の悪い頑なな警部(巡査)とか如何にも海外アニメだ。 アヴリルの小さい目は、日本のアニメを見慣れていると訴えるものが弱い気はするが、奇跡も魔法もない蒸気機関とレトロな科学の融合を模した世界観は中々面白い。 主人公等の隠れ家やトカゲ組織のロケット発車がエッフェル塔の地下とかご愛敬だ。 作中のトカゲが進化したとして、並みいる科学者を誘拐して新世界を創造しようとするのはいいが、そこまで進化するのに科学者が黙って支配されているのも不思議には思える。 もっとも驚きなのがアヴリルだ。 曾祖父から祖父、両親と重ねた研究は凄いが、幼いアヴリルが町で1人生き延びた中であれだけの 血清を完成させたのは驚きだ。 トカゲの進化とダーウィンの不死身にはファンタジーを感じるが他は至って普通のドラマとも言える。 先入観抜きで見れば、普通に佳作だと思う。
全て楽しい。
全編通していろいろ登場する乗り物がいい。こんなの欲しかった、乗ってみたかったものがわんさか登場。色彩と映画の世界も実にマッチしてるし。キャラクターも全員憎めない緩さがあるし。とにかくみていてワクワク楽しかったー。
日本アニメ要素とフランス芸術の融
ゲーム『レイトン教授シリーズ』的、くすんだ色合いのペッタリとしたアニメ塗りと、CGの立体感が違和感なく混ざりあっていた。 現実の歴史とは少し違う運命を辿った世界、スチームパンクワールドに至った経緯が、キチンと理論的に設定・説明されているのが面白い。 スチームパンク大好物なので、ガジェット、乗り物類の造形も素晴らしく、オープンワールドゲーム化して、自由に見て回らせて貰いたい!と思ったほど。 台詞の端々などに、フランスらしいエスプリが効いているのもお洒落。 フランスだし、恋愛はマストよね…とは思ったものの、アヴリルの恋心の発展については、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったなぁ。 いつの間に、なんで好きになったの?というスピードだった。 未来少年とか、動く城とか、色々連想しながらフフッと見ていた。日本人には受け入れられやすい内容じゃないかな。 最終的に猫がいいとこ取りなのも良い!
病気も治るし毛も生える
普仏戦争開戦に際しナポレオン3世が科学者に不老不死の秘薬の開発を指示したことから巻き起こる話。 ナポレオン3世はやらかして死に、世の科学者達は一様に行方不明となったことから、実際の歴史とは異なる発展を遂げた1931年のパリで、究極の秘薬を巡り科学者一家が騒動に巻き込まれて散り散りになりストーリーが展開して行く。 アニメに詳しくない自分からみても結構細部まで拘って絵が描かれていて、絵面こそ違うけど、日本のアニメに近いものを感じるし日本アニメのオマージュ的要素もちらほら。 ネタそのものが突飛な割に余り起伏がなく、感情を揺さぶる様なものは殆どないけれど、判りやすくてなかなか面白かった。
仏国発 ヌーベル SF アドベンチャー アニメーション
「やぶにらみの暴君」から脈々と続く正統派、宮崎アニメへのインスパイアはもとよりスターウォーズ等ハリウッド風エッセンスも色濃い物語・構成、 背景美術とスチームパンクの世界観は立体的に広く深く描写され人物動体もいい、 キャラはあえて可愛い方へ振らなかったと監督はおっしゃってましたが無問題、 渋いおっさんの声が良いし、 音響、軽やかな音楽も良く会っていた。 良いアニメーション作品です。 (まあでも日本のアニメファンには受けないでしょう)
バンドデシネ+スチームパンク+クレヨンしんちゃん?
カリコレ2019
フランス発のヌーベルSFファンタジーアニメという触込みだが、流石ジャパニーズアニメに共感性を頂いている国だけに、両国の良い所が混ざり合ったような感じを受ける。それは、タンタンのような画風や、歩くときの粘着的な動き、しかし丁寧且つ綺麗な背景画、しかしきちんとコミカライズされたキャラ達、伏線の回収の丁寧さ、歴史改編物等、それぞれの国のアニメ映画をきちんと理解している監督だと思える。それは、ハリウッドにはないアニメならではの表現方法をキチンと踏まえたオリジナリティと、小さい出来事をデフォルメさせてストーリーを膨らませるセオリー、そして何より、大人から子供まで安心して観ることが出来る展開などが、概視感となって落ち着いて観る事が出来るからである。
逃げ出した改造トカゲが、世界中の科学者を誘拐するというトンデモ話としても、それはそれで納得してみせてくれる力強さをひしひしと感じる。と同時に、実は10年前に作られた血清ではなく主人公が作った血清が完成品という、小粋なトリックを組み込むシークエンス、ロケット爆発によってスクリーン全部を真っ白にしての場面転換の演出の妙、ロープウェイや歩く歩道などのガジェットのデザインもさすがヨーロピアンといった洗練さだし、登場人物達のキャラ設定も分かり易い。何より、“夫婦喧嘩”という些細な家族内軋轢と世界紛争を結びつける“セカイ系”にも結びつけているところが興味深い。映画企画での上映よりも、きちんと配給が付いて正式に興行しても充分日本では受容れてくれるのではないだろうか。とりもなおさず子供は充分楽しめると思う。“ハウルの動く城“的なガジェットも、パクリではなく、あくまでもオマージュとして面白いし、その他いろいろなジャパンアニメ要素が、フランス式解釈として埋め込まれているので、飽きずに愉しめる、大変有意義な鑑賞時間であった。尚、フランスならではの熱いベーゼや、それに伴う涎液の交換等の大人のジョークも又、クスッとさせるウィットとしてオシャレなのである。
製作国: フランス・カナダ・ベルギー合作
この作品は、多くの映画評論家から支持を受けていて、たとえば、ピューリッツァー賞 ニュース速報報道部門にノミネートされたことのある日刊紙、Arizona Republicの話では、「この映画は視覚的喜びであり、小気味よく、興奮させらるほど素晴らしく一風変わったアニメーションでフランスのスチームパンク的冒険活劇である。」ここで取り上げられているスチームパンクの世界観は、例えば、日本のアニメーターである宮崎駿監督やアニメの実写化をした「キャシャーン」でもみられるスチームパンクで、また現実世界とは違う歴史観を想像した、いわゆるスペキュレイティブ・フィクションの世界を表現している。ただし、本作を見ているものが、すんなりと受け入れられるかによって、評価が変わってくると思われる。
シナリオ自体は、ここで登場する未来の世界を変えるアイテム“serum”の製造をめぐる攻防を描いているのだが、その設定に偉大な世界の科学者が姿を消し、文明がストップをし、石炭でしかエネルギーを使えない世界になるって、作者の方は、世界の科学者が、偉大な科学者だけで支えられていると思っているのかという疑問にぶち当たってしまう。あくまでも個人の意見として、多くの名もない科学者によって、文明は支えられていると思うけれども、この映画に対して、公言すると、なんてつまらないことを言うんだとか、話の腰を折るなと言われそうだが.......?
このサイト、映画,comの説明不足は多々見られるが、なぜフランスとカナダが共同生産国になっているか、重箱を突くようで申し訳ないが、世界規模で展開するには、やはり英語の吹き替えも必要になり、実際にこの映画では英語版では、多くのカナダ人俳優が、吹き替えを担当し、特に母親役のケベック州出身の女優さん、マーシャ・グレノンさんは一人、フランス語も担当されている。しかしながら、この方は、ここでは名前も挙げられていない。トホホ....ッ。
これって、宮崎監督の「ハウルの動く城(2004)」じゃないのという場面も........!? 野暮すぎるか?
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