「雰囲気で」思い、思われ、ふり、ふられ 花梨さんの映画レビュー(感想・評価)
雰囲気で
なんとか雰囲気で観られた作品。
主演4人の演技はいいし、皆さん綺麗なので、そこに多々救われているような感じ。
ただ内容は今一つ、共感できず、入り込めませんでした。
原作の良さが活かされてない、という意見もあるようですが、そもそも原作も、前の作品は良かったのに、この作品はヒロインに感情移入できない、というレビューも散見されるので、設定の問題かな、と。
青春ラブストーリーの良さは、くすぐったくなるほど、頭じゃなくて、気持ちで走れるというか、親の都合だとか、経済力だとか、仕事の都合がとか、家業が、とか関係なしに、気持ちだけで、突き進めるところ、だと思います。大人が観れば、そういう時代もあったな、と思える清々しさ。
古い漫画ですが、ドラマ化されたあすなろ白書も、そんな感じだった。その人に好かれても、それでも、例え報われなくても、やっぱり、あっちがいいんだ~、という、リアリティ。そういうのが、この作品には欠落している。
原作者の前の2作品、ストロボエッジ、アオハライドも、そんな感じで、そこが良かったのに、これはどうした?
姉弟になることになったから、自分の気持ちは抑え込む。親の気持ちを考えて。それで、無理やり、親も心配させず、自分も傷つかず、周囲の誰も傷つかない当たり障りのない相手を手近で見つけてその人が好きだと思いこむ。セルフマインドコントロールみたいな感じに思えて、本当のハッピーエンドとはどうしても思えませんでした。
理央も、朱里も自分を好きになってくれる人だから、そっち選んだ方が無難って感じで、そっち方向の気持ち盛り上げて、そう自分を思いこませて自作自演してるようにしか思えない。
(原作も、です)
誰も傷つかない、全員がハッピーエンドになるよう設定を考えて無理やり、そういう方向に持って行ったのかな。実は、本当に血の繋がった姉と弟だということが分かったとかなら、この展開も、わからなくもないですが、
血が繋がってないなら、なんで?と思うし、そんな理性的に頭で考えて誰も傷つかないような人を計算で選んで恋愛したの?という感じで、作品観に入り込めず。
世代的に周囲にカップルが増えて、乗り遅れまいと、とりあえず、手近に居た人と付き合ってみる、ということはあると思いますが(それはそれで、恋に恋する、みたいなリアリティあり)、これは、それにしては心情とか、いろいろ描かれ過ぎていて、そんな単純な軽い感じでもないですし。
原作読み直したけど、やっぱり無理でした。