「外にある可能性」ブリット=マリーの幸せなひとりだち KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
外にある可能性
過去にお姉さんを失った経験をはじめ、堅実な毎日を送る事で日々の幸せを掴むブリット=マリー。
これはこれで素晴らしい事であり、同時にとても難しい事でもある。継続は力なりではないけど、継続する難しさを当たり前のように送れる事は決してつまらないものでもなく簡単なものではない。ブリット=マリーのような主婦の方は家庭に欠かせない、素晴らしい存在だと改めて感じる。
そんな生活を送ってるブリット=マリーが予告でもあるように冒頭で旦那の不倫を知り家を出て田舎村で生活を送ることになる。
40年近く必要以上に外に出る事なく家事だけをやってきたブリット=マリーにはいろんなトラブルが待ち受けている。そして仕事の一環として子供たちのサッカーコーチを請け負うことにもなる。
子供を持たなかった、そしてこれまでの生い立ちを考えるにこの子供たちとサッカーを通じで心通わせるストーリーが始まるわけだが、この辺が僕的にはあまり心打たれるシーンがなく、ストーリーが淡白に感じて惹かれることができなかった。
かならずチームが一つになるにはトラブルがつきものなんだが、ライセンスの問題やらクラブの存在の問題やらあまりブリット=マリーに非があるようにも思えず、またブリット=マリーと子供達、そして村に住む人達の距離が縮まる描写にあまり深みを感じなかった。
40年主婦しかやってこず、人間関係を築いてこなかったわりには変な頑固さや面倒さもなく、普通に人の気持ちがわかるブリット=マリーに感じてしまう。
個人的にはその辺りが引っかかってしまったが、作品のメッセージ性はとても好きである。
外に出る事には無限の可能性が秘めている。それは時として自分が傷つくことも、挫けることもあるだろうけどそれ以上に大切なものに出会える可能性も秘めている。
冒頭にも書いたとおり同じことを続け、当たり前にある幸せな環境を保つ事もまた大切でありとても難しいことである。
そのバランスこそが大切なのだろう。だからこそブリット=マリーは村に居続ける事を最後は決断しなかったとも個人的には捉えて楽しませてもらった。