「派手な事件は何も起こらない映画は好きですが、この映画は本当に何も起...」ポルトガル、夏の終わり ピンクマティーニさんの映画レビュー(感想・評価)
派手な事件は何も起こらない映画は好きですが、この映画は本当に何も起...
派手な事件は何も起こらない映画は好きですが、この映画は本当に何も起こらない。「思いがけないラスト!」とかどこかの映画評に書いてあったような気がするのですが、何か起こりましたか??(笑)それとも私が見過ごしたのでしょうか。
この映画は、ポルトガルのシントラが舞台、ということでポルトガルの美しい風景見たさに映画館に足を運びました。そういえば、「ポルト」というポルトガルのポルトという港町を舞台にしたラブストーリーがありましたが、こちらもポルト見たさに劇場に行きましたっけ。
この映画の見所はポルトガルのシントラの美しさでもって7割は占めているのではないでしょうか。
木々の緑と霧と古い建物の美しさを見るだけでも、暑い夏の一服の清涼剤となってくれます。また、イザベル・ユペールらの衣装の色使いも素敵です。木々の緑や海のブルーと相まって、涼やかでカラフルな画面を構成していて眺めているだけでも気持ちがいいです。
ただし、ストーリーはというと、予想はしていたけれど予告のあらすじ紹介以上の広がりも深みもなく、また脚本のひとつひとつもこれといって胸を打つセリフもなく、映画としては大変物足りないものです。
なんだか、映画製作を口実に監督をはじめ出演者、スタッフ皆がシントラで仕事を兼ねて休暇を過ごしたかったんじゃないの?と勘ぐってしまうような映画でした。
イザベル・ユペールはキャリアが長くて尊敬する女優さんですが、相変わらず無表情でガン末期という悲壮感もなくカトリーヌ・ドヌーブと並んで大根役者さんではないかと思ってしまうのですが(悪口ではありません、本心です)、私の見る目がないのでしょうか。どなたか教えてください。
とにかく、シントラが素敵だったので星3つです。
この映画を見るに至った動機を始め、映画の内容に対する率直な感想が、見終って選択を誤ったと後悔していた私の思いを見事に代弁していて、胸を突くものがありました。「監督や出演者たちは、シントラで仕事を兼ねて休暇を過ごしたかったのではないか」と勘ぐるくだりは、毒舌としても秀逸です。イザベル・ユペールについては、「主婦マリーがしたこと」以来注目していた女優ですが、「グレタ」で失望したこともあり、本作も含めて評価の難しいところです。笠智衆の海外女性版と評するのは失礼でしょうか。