「全編が長い長い答え合わせ」レ・ミゼラブル N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
全編が長い長い答え合わせ
ビクトルユーゴーの「レ・ミゼラブル」と同じタイトルだが、ジャンバルジャンもコゼットも出てこない。舞台は現代のパリ、その下町と言えばいいのか。
起きる出来事全てはジリジリと緊張感を高めてゆくが、エンタメ特有のカタルシスはどこにもない。
なぜならその全てが、すでに結末に対する検証だからだ。
そしてその結末は、見た者の心の中にしか存在しない。
これはひとつの寓話であり、たとえ話を用いた実験映画なのではなかろうか、とさえ感じてしまった。
突き付けられて、国も人種も関係なく我が身を振り返るための。
だが確かに人は、何もしゃべれず右も左も分からないところから、始まるのだ。
そこへどんな種をまいて育てるのか。
あらゆる地域でモメごとが勃発し続けている今、
私たちはちゃんと未来を育てられているのか。
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