「暴動の起こし方」レ・ミゼラブル kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
暴動の起こし方
ヴィクトル・ユゴー校もあるモンフェルメイユという地域。転勤してきたばかりのステファンは犯罪防止班に加わることになるのだが、やがてクリスやグワダの言動に疑問を持ち事態を収めようとするのだが、少年たちのフラストレーションが爆発してしまうリアルな物語。
本家ビクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』ではジャン・バルジャンがパンを盗んだことにより始まるが、今作は移民街の少年イッサがサーカス小屋から子ライオンを盗んだことが発端だ。些細なことではないはずで、そのライオンを抱いた写真をSNS上にアップしたことから即座に捜査対象になり、荒っぽいクリス(木下ほうか似)や地元警官のプライドを持つグワダが事件をややこしくしてしまう。
アメリカを筆頭とする移民問題を抱えている国にはこうした状況が常に起こるのだろう。最初は生意気なクソガキがっ!などとも感じていたけど、グワダが誤ってゴム弾を発砲したことで見方が変わってしまうのです。威嚇でもないし、明らかにイッサに向けられた銃。それを盗撮趣味の少年バズがドローン撮影したものだから、さらに問題が大きくなるといったストーリー。
政治や行政の隠ぺい体質が叫ばれる世の中で、警察のものが最も怖い。誰でも監視対象、捏造逮捕という事態も起きるし、クリス自身は「俺が法律だ!」などと主張している恐ろしさ。こうなっては少年の犯罪が小さいことにも見えてくるのですが、根底にあるのは人種差別なのでしょう。こんなわずかの時間でも暴動が起きるということもIT社会が発達したためだと感じてしまいます。
このご時世ではコロナ禍の影響で、ギャングまでもが自粛しようと主張する動画もありましたが、終息が近づくと多大な失業者も増えることだし、このような暴動が起きるのかもしれません。
寝太郎さん、おはようございます!
この映画の特徴は、「あ、こいつら、意外としつこい」って感じです。あくまでも警官側に立ってのことですが・・・
『マイ・サンシャイン』よりは絶対に面白いです。