「大人からの暴力を受け少年は、悪のカリスマになる。」レ・ミゼラブル ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)
大人からの暴力を受け少年は、悪のカリスマになる。
夏のパリ郊外の犯罪多発地区モンフェルメイユに転属されて来た警官のステファンが、同地区出身のベテラン二人とトリオを組んでパトロールに出る。
スラム化した高層団地地区では、ジプシーのサーカス団から赤ちゃんライオンの盗難が発端で地元ギャングと一触即発に。
アメリカやブラジルの話しかな?と思うほどに荒れた雰囲気で、近年イエローベストデモなどがある2019年のフランス・スラムの実態をドキュメントタッチだが、緩急のある演出と映像でリアルを見せられる。
右往左往の末とりあえず、騒動を収めたと思った警官達と我々観客も、最後の数10分で少年イッサから、凄まじい復讐を受けて、奈落に落とされるラストは、結構な衝撃。
日本の女性層向けに入ってくるシャレオツなパリ物映画の裏側で、起こる格差と貧困と犯罪に鋭い視線があり、若干もたつくところもあるが、今見るべき作品
ジプシーサーカスの子ライオンを、ある種の無邪気さから連れ出した少年イッサは、父親やジプシーや警官などの大人達から暴力や抑圧を受けて、驚くほどの統率力と巧みな戦術で、復讐を開始する姿が、悪のカリスマの誕生物語を彷彿させる。
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