「大人はわかってくれないへのオマージュなのか」レ・ミゼラブル mikyoさんの映画レビュー(感想・評価)
大人はわかってくれないへのオマージュなのか
昔のフランス映画のイメージは、ヌーベルバーグか濃厚恋愛語り、最近はそれにコメンディが加わった感じだったが、さらに近年ある意味「らしからぬ」社会問題を正面からシビアに切り込んだ映画がくるようになった。
舞台は同名の小説でコゼットを迎に行くパリの郊外で、犯罪多発地域らしい。どこか見たことのある巨大団地群がそびえ、廊下が落書きされているそれらに住むのは移民、この子供ら、様々な出身、宗教の住民たち。定住しないロマたち。行政は必ずしも味方ではなく、自衛団がいて店の所場代をとり、ムショ帰りが仕事を探して町をフラフラしている。
彼らはギャングやマフィアではない。日常的に発砲事件が起きて、麻薬の縄張り争いがあったりするわけではない。リアルだがどこか詩的でもある。それはとてもフランス的とも思った。
映画はジャクソン・ポロックの絵を見ているようだった。一つ一つの色が加えられてく様子を見ながら、最終的にはどうしていいものかまったくわからない。
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