「怒りと恐怖の再生産」レ・ミゼラブル talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
怒りと恐怖の再生産
どんな国にも近寄らない方がいい区域や貧困層が住んでいる地域がある。パリ近郊にもそんな団地があることを「最強のふたり」で見た。
なんて大きくて色んな人達が居る団地なんだろう。動画とドローンが得意なメガネをかけた男の子は、賢い目で自分の周りの世界をじっと見ている。ニワトリ盗んで父親に何度もひっぱたかれて罵られたイッサは、動物好きの男の子だ。子ども達はみんなくっついて小突きあいながら、お腹はすかせているけれど、一緒に遊んでしゃべって笑ってる。
ちょっとしたきっかけが暴発を生み出した。そのタネを蒔いたのは、この地域を「守る」という名目で、お互い様的関係を保持している大人達だ。
ジャンバルジャンに食事と寝床と銀食器まで与えた司教と、警官のステファンを重ね合わせてみた。子どもを持つのはいいもんだよとステファンは言ってた。そんなことを考えているうちに、映画は終わった。考えざるを得なくて、でも、スピード感と意外性があってとても面白い映画だった。
どこもかしこも都市化して、子ども達が大人に内緒で、こっそり、ワクワクと、例えば野良犬(今はいないか)なんかを育てる場所も無いのは、おんなじなんだな。
育てる気がないなら、子どもを生まないで!と訴えた、「存在のない子供たち」のゼインの言葉を思い出しました。
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寝落ちマン(次男)さんのコメント
2020年4月19日
四十半ばはもう越えてる私の幼少の頃は、今よりも良い意味で世が整っておらず、雑な冒険に繰り出せた気がします。「動物好きな子」と言われるとイッサの気持ちが理解できなくもない。