「時間とお金のバランス」家族を想うとき KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
時間とお金のバランス
ユーロライブにて試写会鑑賞。
ターナー家の父は運送屋、母は介護士、高校生の兄と小学生の妹の一家の物語。
父はマイホームのために1日14時間働き、母も同じくらい介護の仕事で働く。その為どうしても家族の時間というのは限られてくる。そんな中、兄は非行に走り、妹は兄の悪い姿を反面教師として成長していくが寂しさを助長していく。そんな家族の物語だ。
時間を削ってでも働くのはもちろん家族のためである。だがやはり家族といっても共にする時間がないとどうしても心が離れてしまう。そんな中、兄は悪さをするが、それはどことなく自分の存在を知らせてるようにも見えた。悪いことをすることで家族は自分に目を向け、自分の存在を認識してくれる。根っから家族に迷惑をかけたいわけではない。だから最後父親が怪我をした際には駆けつけたのであろう。
父も母もまた、狭い家で暮らすよりマイホームを買い家族がゆっくり過ごせるために日々汗水流して働いている。妹は小学生ながらそんな姿を客観的に見て、いい子でいる事で家族のバランスを保とうと必死になっている。作品内ではぶつかることばかりが多く、最終的にもぶつかったまま幕を閉じるが最初から最後まで家族は互いを想いあっている。ただそれが中々形とならないのが現代社会を現しているのかと感じた。
妹と宅配作業をし父と娘は幸せな一時を過ごしていたように思えた。ただそれも次の日には注意され二度とできない事に。
一家団欒食事している中、母が急に仕事が入ったが兄の提案で家族で母の仕事先に行くことになる。とても幸せそうだった。ただ翌日にはまたぶつかり合ってしまう。
幸せになりかけてもどうしても時間の余裕のなさが、引き金となり衝突しあってしまう。
では時間があれば幸せになるのか。そうすると今度はお金が減り違う問題が生じまたぶつかり合うとおもう。
この時間とお金のバランスというのがこの作品では強く考えさせられた。
上にも書いた通り、最後父は怪我をした体で職場に向かう。家族は制止したが振り切って向かった。
まだあのまま作品が続くのであれば、また父が家に帰ったあとぶつかり合うようにも思える。
結果この作品内では確固としたハッピーエンドは描かれる事はなかった。
それは時間とお金のバランスがターナー一家、そして社会全体としての答えが分からないからであろう。
その答えは鑑賞してる我々が考えるべきなのかもしれない。
そんな感じでこの作品内では具体的な答えは描かれてない。その答えを考えさせられる作品だった。