リトル・ジョーのレビュー・感想・評価
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まさかCOVID-19が…?
人を幸せにする香りを放つ新種の花の開発に成功したシングルマザーの主人公。その花は自分自身では増殖できないという遺伝子操作をされており、倫理的な問題を同僚に指摘されていた。その同僚が、この花の花粉を吸った愛犬が豹変したので、この花粉には脳内に影響を及ぼす毒性を持つと主張するが、主人公を含め、誰も相手にしなかった。だが、密かに自宅に一鉢持ち帰っていた主人公は、ただ一人の愛する息子が、数日前まで「お父さんは僕たちともともと人間が違い過ぎる」と言っていたのに、突然お父さんと暮らしたいと言い始め、様子が微妙におかしいと感じる。どうやら、以前の自分から変わったのに、変わっていないふりを装うことができてしまうようなのだ。その後、花粉を吸った相棒、ライバルの同僚、後輩、みんな微妙に変わってしまった気がする。自分が問題を指摘しても、もう既に誰も相手にしなくなっていた。また「変化したって、別に問題はないじゃないか」という同僚の言葉も事実だったが、この先、この花が繁殖のために人類を犯していくのではないかと考えるのだった。しかし主人公もまた、息子を夫の元へ送り届け、変化を受け入れたようだった。花が「こんにちは、ママ」と喋るところで映画は終わる。
結局どっちだったのかは描かれていないが、起こりそうな話である。
オーストリア映画だが、邦楽を用いた印象的な音楽や、料理が苦手な主人公の晩ご飯がテイクアウトの寿司などは、日本人にとって面白い点。
幸せになる花粉×和風雅楽=気持ち悪い後味に
植物は人間の心に癒しをくれます。視覚的にもそうですが、花粉による嗅覚的にも落ち着くことがあると思います。その一方自分も含めて花粉症に悩まされてる人もいると思います。この映画は珍しい植物ホラーでした。
まず、この植物の得体の知れなさが気持ち悪い。葉が生えず、花もとけとげしく、開花するときの何とも言えない気持ち悪さ。この造形だけでホラーとしての魅力は高いです。
その花粉は人をハッピーにする効果があるということで、ベロベロバー的な怖がらせ方をするホラーではありません。見る態度によっては肩透かしを食らうかもしれないし、何なら冗長で盛り上がりがないと捉えられるかもしれないです。
ただ、個人的にはこの"ハッピーにする効果"によってとっていく行動の少しの変化によって、それが人間的な成長に繋がっていたり、女性の社会通念を打ち破る1つの選択肢を提示しているところが面白いと思いました。また、"そもそもハッピーにする効果なんてないのでは?"というしてんで思い返してみても面白いなと思いました。言葉を選ばないといけませんが、悪徳な宗教と化していると見ることもできました。ミストの宗教おばさんに究極の状況では頼ってしまうように、ハッピーになるんだと信じ込んでいるようで。
そして何より、目ではっきりと見えないものに振り回されている人間の様が、コロナウイルス禍の今見ることで考えさせられる作りになっていました。
雅楽のような音楽が不気味に鳴り響いているのも面白かったし、色彩が明るいのも題材に合っていると思いました。
普通に2回目を観て考察を深めてみたいくらいには面白かったんですが、一番ドキドキしたのは初めてこの映画の予告編を見たときだったので、既視感を突き抜けてくる強烈な何かがあれば…とは思ってしまいました。
音楽の使い方がくどい!!
人間というのは、気づかないうちに「何か」に支配されている。例えば酒、たばこ、AI、SNS、お金、概念、政治...目に見えるのから、見えないものまで様々だ。 そんな中で「植物」が人間を支配しているといっても、何ら不思議ではない。現に植物で言えば「麻薬」もあらゆる意味で人間を支配している。
幸せになる香りを放つ新種「リトル・ジョー」は、花粉によって人間の意識を操り、それを感染させていくのだが、感染したからといって、重病化したり死んだりするわけではない。
少しだけ微妙なラインで人間の性格や行動を支配していくだけ。だからこそ表面化しないで、静かに感染していき、価値観も自然に変化していくという恐ろしくても、恐ろしいこと自体に気づくことができないという、支配による真の恐ろしさを描いている。
私たちの考え方や行動が実は、「何か」によって作られているものかもしれない。
自分たちが創り出してしまった責任や罪悪感もありながら、創造を絶する新種を誕生させたという開発者としての達成感との間で揺れ動く主人公アリスの視点で描かれるが、彼女自身も次第に感染していくという救いのない展開となっていく。
全体的に静かなトーンで構成されている作品のため、BGMや何気ない演出がアクセントのように凄く目立つのだが、予告でも使用されている日本の作曲家・伊藤貞司による和テイストの音楽が「何か」が起こるときに決まって流れる。
それが2、3回ならいいが、さすがに毎回となるとしつこい!!歌舞伎や能を観ているわけじゃないんですよ...「いよ~」って言ってほしいのだろうか?
2014年の『嗤う分身』という作品では、ブルーコメッツなどの60年代を代表する日本昭和歌謡がサウンドトラックとして使用されていたが、物語にしっかり同化していたのに対して、今作は完全に分離してしまっていて、音楽や演出によって全体的な緊張感が台無しにされてしまっている。
発想やテイストは良いし、アート映画のような視覚的に楽しめる部分もたくさんある作品ではあるが、もう少し作品に演出や音楽を馴染ませてほしかった。
キャストの点では、主演のエミリー・ビーチャムの自然体な演技が物語にリアティを与えているし、『パフューム ある人殺しの物語』では、究極の香りの香水を求めていたベン・ウィショーが今回も別の香りを描いた作品に出演しているという点も興味深い
雅楽のような音楽は合ってたけど不快
内容のもって行き方は結構秀逸に感じた。染まっていく雰囲気が巧妙。ただ、根本的な設定とか色彩とか音楽なんかが違和感きわまりないものに感じてしまい、あまりいい印象を持つことができず…
昔の日本映画の時代劇や怪談話に使われるような音楽がふんだんに使われていて、作品の雰囲気にマッチしているとは思ったけれど、作品そのものに不快感を覚えてしまった。そう思えて成功といえるくらいの不気味な作品であるけれど、個人的には苦手。
あまり魅力を感じなかった
植物の花粉が体内に入る事で脳に支障を与え異常行動にでる。
まぁこの辺は実際の薬物、ドラッグなんかでもある事だからまぁ現実味がある為、作品に入りやすく見やすい動機ではある。
ただその異常行動が全く魅力を感じない。依存性、異常行動をもたらす花粉を出すリトルジョーを感染者は守ろうと、そして広めようとするのだが、その辺りの描写に特に緊張感がない。
主人公のアリスは途中でリトルジョーの存在を疑い、周囲がどんどん感染者としていき孤立していく。
その辺りも音楽含め不気味な演出をしてくれるのだが、特に緊張感が生まれる事なくまたそういった描写もない為飽きてくる。
自分が正常でも周りの異常者の数が圧倒的に増える事で自分が異常に感じるような演出が若干生まれかけ興味をそそられたのだが、結局アリスは同僚に殴られた気絶したところで相手に強制的に感染させられる所で話は終わる。
このタイプの作品で緊張感がなく、スリルさも全くないのは個人的にはあまり合わない作品とはなった。
もっとアリスの不安や恐怖を煽られるのかなと思いきやそういったのが全くない。
ただ不気味さはあり、一応見られる作品ではあった。
それから太鼓やら笛やら日本の古典音楽のようなのが不気味さを演出する為に使われてたがあれは外国人にとってはそう感じるのかな。その音楽もなんか違和感を覚えた。
【"ル・ポラン" ”ハッピーフレグランス” ”不稔性”であるがゆえに、新種植物”リトル・ジョー”が人々に振りかけたモノ】
ー劇中、尺八をベースにした不思議な音楽が随所で流れるのが、印象的な作品。あの、”ドン”という音は、太鼓かな・・。眠けを誘う・・。-
・植物開発に従事するアリスはその匂いで人間を幸福な気持ちにさせるという”リトル・ジョー”を作り出し、ラボの中で栽培する。アリスの開発を危険だと反対する研究者たち。息子ジョーに贈り物として、一株”リトル・ジョー”を持ち出すアリス。
だが、彼らの言動がそれまでとは、どんどん異なったモノになっていく。
ーミステリアスな雰囲気は堪能出来るし、”リトル・ジョー”の妖しきピンクや不思議な音楽も印象的であるが、ストーリー展開が相当に粗い作品。勿体ないなあ・・。-
<鑑賞後、幸せな気分になれなかったのは、”リトル・ジョー”の匂いを嗅がなかったからかな・・>
ソフトドラッグ
新種の植物の研究開発をする会社で、安全が担保出来ていないウイルスを使用してつくられた、人を惹きつける香を発する花が巻き起こす話。
オキシトニンの分泌を促す、有害な花粉を放つ花により、主人公を除く研究者や、主人公の子供が狂っていくストーリー。
SEと和なテイストのBGMで不気味やミステリアスさを醸し出しているけれど、ちょっと引きの固定された画角の中で人物が動き回るシーンが多く、数十年前の作品の様な淡白さというか空々しさというか、そんな空気感を感じるし。
淡白だからこその不気味は確かにあるし、つまらなくはないのだけれど、内容的には既視感バリバリ。
終わり方もそれだけ?ともの足りなさを感じた。
違和感
B級ホラーの様なタイミングで流れてくる尺八の音に違和感。
日本的なアイテムもチラチラと目に入るが、やっぱり違和感。
いっそのこと、花からのアプローチが分かりやすい方が良いとか、完全にB級映画のカテゴリーで観てしまった。
エンドロールでやっとそれらしい音楽が流れてホッとするも束の間、尺八が融合されて来て最後まで違和感。
お土産用のポリエステル素材の着物をガウン代わりに着る外国人に似た違和感しか残らない。
うーん・・・B級映画の”香り”・・・
ベラ、ベロ、と来たら、いつベムが出てくるかと待ってしまった・・・
あるプラント会社では、幸せフェロモンを出す新種の植物を売り出そうと開発しています。遺伝子操作やら何やらを駆使して作り出したのですが・・・
発想は良いとして、全然科学的じゃないんです。研究室で異物混入に気を使ってる割には、全く違う種類を一緒に栽培して、温度と湿度は?花粉が混ざるのは良いのか?犬まで飼ってるし。
花粉の有毒性(?)の懸念が拭えないからマスク着用なのに、勝手に持ち帰ってプレゼントしてしまうし。
植物が環境に適応するのではなく、自分で環境を作ってしまう、というからどんな凄いことになってしまうのかと思ったら、自分の意思で味方を作り、邪魔者を排除してしまう、という話でした。ホラーという程ではないです。
演出が変な日本趣味(のつもり?)で、アート感覚でアジアンなものを取り入れたようですが、無い方がすっきりして良かったのに。尺八と笙のボリュームがうるさいし、日本人が聞くと、効果音が場面に合ってないと感じてしまいます。
話の”種”に、という人はどうぞ。
音楽が…
新しく開発された真っ赤な花の花粉を吸い込むと人格が変わってしまうのではないか?と言う疑いを元に話が進んでいく。
お話の内容はそこそこ興味深くて星3つだけど、陰陽師のようなバックミュージックが何ともミスマッチだ。
これほどまでに音楽が耳障りに感じた映画は初めてだ。
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