鵞鳥湖の夜のレビュー・感想・評価
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映画アイテムてんこもり。芳醇な映画世界。
面白い。前作と同じく現代的犯罪映画と、中国の映画風土の良さと、独特のアクションを堪能。なんていうのか匂いそうな良さなんだよな。大陸の。土煙、食べ物、そしてやっぱりバイク、建物、そして、、ネオン。
観ながらとにかく隙あらば光と影とマシンの演出が加わり話なんかそっちのけでわくわくする。
遠くの山から近づく車の灯り、警官の蛍光シューズ、広場の踊り、遠くの雷鳴、発泡の直後の動物園の虎、象、霧のわく湖面、そしてやっぱり食堂。映画のネタとしか思えないアイテムがてんこもり。閉店時の見せ物小屋の幕の内と外の影、なんてものもあったな。
芳醇な映画。
中国映画も捨てておけない
中国語を低空飛行で勉強し、中国人女性がいるような店にもたまに足を運ぶ、中国好きである。しかし、本土には10数年前までに3回行っただけ。
この10年ほどにもさらに中国は激変しているんだろうが、その「暗部」をフィクションとはいえ、リアルに描いた作品と思える。
懸賞金のかかったお尋ね者が、その金を妻にやりたいと考え、ある女と接触し…。
というのが、あらすじ。
映画を見る際に、ほとんど事前知識を入れないようにしているので、ギャング団と警察、主人公とそれを手引きする女の人物関係や背景が理解しにくくはあった。
しかし、それを上回る、映像の迫力と、そこはかとないユーモアがあり、粗削りではあるものの、引きつけられた。
本作の監督、1968年生まれというから、決して若くはないのだが、ちょっとタランティーノの「レザボアドッグス」を見たときの印象につながる、作風は今後に期待したい、と思う。
結構、エッチ(おっぱいは見えません)な場面はバイオレンスシーン、かなり中国の汚い(2012年とうじという設定)面を描いていながら、中国でも公開され、ヒットしたのだという。
案外、中国国内の言論は共産党批判さえしなければ、風通しがよいのかな…。
東京・新宿武蔵野館で日曜の昼間に見たけれど、封切りから1カ月というのに、案外と客が入っていたね。
映像は凄いが意外にあっさり
最初からスタイリッシュな映像美をゆっくりじっくり見せて来る。
かと思えば突然、俊敏な動きで相手を殺傷する緊張感のあるアクションシーンに変わる!
その柔軟使い分けがこの作品最大の魅力だが、いかんせん内容が薄く、もったいないとしか言いようが無い。
お兄さん、私を好きにしていいのよ。満足させてあげる。
映像に作り手の美学を感じるこの映画。
発展した中国都市部からは遅れた、ローカルのリゾート地。そんな鵞鳥湖は、周辺自治体の管理責任もあいまいで、雑多な人間が入り乱れているようなヤバめな無法地帯。なんか、馳星周、大沢在昌の世界。躍起になってる警察権力も、逮捕時に射殺した容疑者(誰とは言わないが)の死体と一緒に記念写真を撮るくらいだから、どこか腐っているんだろう。
なんかね、残された妻子に金を残してやろうとする気持ちだけは本当のような気がするけれど、それがいろいろ裏切られていく様もまた、ノアール映画としての快感と思えればいいんだろうなあ。
かの水浴嬢は、元が美形なのに、短く刈り上げた髪には色艶などみじんもないが、それには理由があるのだろう。身を守る術なのか、単に衛生面なのか。クールに澄ましていながら、実は怖がりなのは、やはり虚栄を張っているのか。あの容姿のおかげで、いろいろと想像が逞しくなっていく。
吉田栄作似のチョウ。そうなるとは予想外。そして、謎めいたラスト。全編を通して、緊張感と浮遊感が混ぜこぜの感覚。どこかに、これは夢であって欲しい、と願いたくなる気持ちのままで。
グイ・ルンメイの底知れぬ魅力
水浴嬢を演じたグイ・ルンメイが最初から最後までえもいえぬ存在感を放っている。短髪がよく似合う。ボート上でのオレンジと白のストライプの水着が古めかしさもあり、セクシー。ミステリアスさ、したたかさ、弱さ、優しさを感じさせる演技だった。
屋台のひしめく夜の広場で、群衆たちが光る靴を履いて、ダンスに興じる場面が良かったなぁ。(この後の展開も含めて)
猫目・猫耳兄弟を殺す時の、傘の血しぶきは絵的にはカッコいいけど、あり得なさすぎて笑えた。マンガだろ〜!
最初から悲壮感漂いまくりの主人公は、もう一つ目的をハッキリさせてくれたら、より悲哀が高まったなぁ。懸賞金を与えるために逃げてるわりに、奥さんと子供に対する情が強く感じられなかったのが残念。
ネオンが『ドライヴ』を彷彿とさせる。
雑にタレのかかったワンタンや、満身創痍の主人公が欲求のままにガツガツ食べるラーメンを観て、中華料理を無性に食べたくなった。
なんだ、この映画
なんだ、この映画。俺にはハマらず。
「目を離せない」感がなくて、ずいぶんウトウトしてしまった。序盤の "赤" はじめ、印象的なことは多いのにね。
こういう映画もわかるように、自分は、もっと成長しよう。
阿部寛が逃げ回る映画に見えてしょうがなかった。
2021/8/9 追記
この手の映画が好きでよくわかる知人が、観た。感想。
「やっぱり、この監督上手いね。いいね、この映画」
俺「どんなとこがいいの?」
「どうにもならない感がいいよね。どうにもならないんだけど足掻いて足掻いて、結局どうにもならないってとこ」
俺「そうなんだ」
「"白昼の殺人" の方が最後の花火など、さすがと思わせるところ多いけど、これも面白いね」
…俺は、はっきり決着つくことを望みすぎるのかもしれないな。
ガチョーン
西島秀俊、、、いや違う
あれだ、あの〜、、あの目もとは、、
と、
本編を追いながらの、顔面パネルクイズが忙しい。
あ!!!
吉田栄作やん!
と言いながらも、100パーの合点ではない気がしている。
あの特徴的な目。
どこかで見覚えあるはずなのに。
最後のラーメン、美味そうだったなぁ🤤
なんて陳腐なレビュー🦆
ねっとりしてるが後は引かない引かせない
アジア南方系のジトッとした空気感を孕んだままに、決して息切れする程必死ではなく淡々とゆったり回転する渦の中。ホントはそんな場所居心地悪くて仕方がない筈なのになんだか心地よい…。だからと言って、心休まる暇もなく劇終まで連れていかれるので、中々の疲労感と共に劇場を後にする羽目になりかねないので、ご用心ご用心。神保町にあった蘭州牛肉麺てまだあるのかなぁ。ものすごく食べたくなった。
追記:ファムファタールと高橋一生がダブって仕方がなかったのは自分だけ?
クールでスタイリッシュ、淫靡なカオス
ほぼ闇。
そこにネオンピンクの燐光が差す。
なかば廃墟。
しかし生活臭と汗にまみれる人の群れ。
ほとんど猥雑。
一瞬、スタイリッシュな画力で見得を切る。
すべてが匂うようになまめかしい。
すべてがエロくてキマッテいる。
これぞフィルムノワール(カラード)の極み。
鵞鳥湖のほとりは、開発から取り残された飛び地。
窃盗団とバイク、暴力と圧政、貧困と堕落、酔狂と猥褻のカオス。
夥しい死の片隅に、情愛の欠片。
路上ではチェイス。
廃墟はラビリンス。
湖はエロス。
窓を通した外の雨。
ビニール傘の内側に血しぶき。
テント越しに男女が動く影法師。
鵞鳥湖の小舟の上、「水浴嬢」との淫らな遊びの最中に聞こえるのは、波と櫂のぶつかるくぐもった音。
静寂のなんとも官能的な感応。
汚さの、汚辱一歩手前の色っぽさ。
朽ちたものの、崩落一歩手前の外連味。
錆びたものの、腐蝕一歩手前の渋さ。
あらためて思い知らせてくれる。
ストーリーよりも何よりも優先するそれら光と陰、色彩と音響こそが、映画の醍醐味なのだってことを。
『薄氷の殺人』で鮮烈な印象を残したディアオ・イーナンがまたやってくれた。
映像美を楽しむ映画
ちょっと前に予告編を見て何となく面白そうだなと思い、今回見ることにしました。
原題は「南方車站的聚会」ですので、日本語の題名とだいぶ違いますね。
昼のシーンはほとんど無く、大部分が夜のシーンです。
暗くてジメジメとして埃っぽい中国の典型的な小汚い下町の風景が続きますので、いかにも中国だな、って感じです。
主役の胡歌は阿部寛と吉田栄作を2で割ったような感じの男ですかね。
この映画はギャングたちの抗争を描いているみたいなんですが、警察と窃盗団の区別が付きにくくて内容のほうが正直あまりよく分かりませんでしたし、ストーリー的にもひねりがなかったので評価は低めの2.0としました。
悲しいバイク窃盗団のバイク
映画は単純だけど、つまらないわけではない。
バイクの窃盗で生計を、たてて
生活する人生は、少し悲しい。
どこのバイクだったかなぁ?
日本製かな?
バイク乗りからすると、盗まれるとメチャクチャ腹立つ!
街の雰囲気が良かった。住みたくはないけど。
・2012年とは思えないような不衛生な暮らしをしている鵞鳥湖周辺の様子がとても面白かった。1970年代の日本映画っぽい暮らしだなぁと思った(映像や構成もあるのかな) 水浴嬢や、小銭を入れたら歌う女の人、路上の祭り?でソウルが光っている中、ジンギスカンで踊ったり、ポン菓子作ってたりとか、背景の映像が始終面白かった。
・警察官を誤って射殺してしまうシーンがとても良かった。そりゃ撃っちゃうなって。
・猫耳と猫目の方が偉いのか、ギャングを統括しているっぽい黒シャツの男が偉いのか、少し混乱した。
・バイクを盗んで転売しているギャングたちと警察の見た目や雰囲気、集会の感じがほぼ同じに見えて面白かった。
・時間軸が行ったり来たりしたけど、何となくわかる構成で良かった。
・ワンタンや牛肉麺が美味しそうだった。特にほぼラストの牛肉麺をほおばるシーンが良かった。
・騙されてアパートに行って殺されそうになったチョウが傘で刺して内側に血が噴出したシーンが良かった。
・拳銃、ネットで買えるんかいと驚いた。嘘だったのかな。想像以上に銃の撃ち合いが多くて、アメリカみたいだなぁと思った。
・皆、幸せそうじゃなくて少し憂鬱になった。それだけにラストで30万元手に入ってにやりとした。
・リウがチョウから逃げる途中に立ち寄ったクリーニング店?で会合をしていてそのシーンが少し長く感じた。それが良かった。
・チョウがリウを追うシーンが良かった。黙ってじわじわ追い詰めて、アルゼンチン?のユニフォームをパクって着てたのも良かった。
・冒頭から、チョウが西島秀俊、リウが葉月里緒菜に見えて少し散漫になった。
もっとどろどろしてほしかった。
前半の、あのホテルでのバイオレンスな感じはとても良かったが、アクションとしてはそこが頂点。特に悪さも感じず、色っぽさも感じず、淡々と終わった感じ。
何だかよさがよくわからない映画でした。
シーンシーンでの魅力もあるが、脚本がいまひとつ
2012年、中国南部の田舎の都市。
雨が降りしきる夜、誰かを待ちわびる男(フー・ゴー)のもとに女(グイ・ルンメイ)が近づく・・・
といったところから始まる物語。
このオープニングがすこぶるいい。
夜、雨、見知らぬ男女・・・とお膳立てはバッチリ。
でしたが、その直後すぐにガックリ。
男の口からこれまでのいきさつが語られる。
男はバイク窃盗団のグループリーダー。
先ごろ出所したばかり。
縄張り争いから敵対グループと抗争になり、抗争中、誤って警官を射殺してしまう。
いまは当局から追われる身で、懸賞金が掛けられている。
その懸賞金を、故郷の妻に残したい・・・と。
いきなりの回想シーン。
それが長い。
はじめ、回想シーンと思わなかったです。
過去へ戻って、そこから順に話が進められるのね、と思ったのですが、男の話が終わると、今度は女の話。
女は、開発が進んで無秩序状態の鵞鳥湖で、「水浴嬢」と呼ばれる娼婦をやっているが、男の仲間の差し金でやって来た。
あなたの奥さんはやってくることはできない・・・と。
で、この回想シーンも長く、その後も、いくつか時制が前後する。
かつて、複数の脚本家と酒席をともにしたことがあり、回想シーンについての話になったことがあり、どちらの脚本家も回想シーンの多用はあまり薦められないとの意見。
そもそも、この映画の物語は3日間ほどの話なので、順番に話を進めていけばいいはず。
見知らぬ男の1日と、見知らぬ女の1日。
交互に描いて、中盤で出逢い、同道することになる・・・というのでいいのではありますまいか。
中盤以降は時制の前後はなく(というか、男を追う犯罪組織の行動と警察側の行動も描かれるので時制を前後させるとさらに混乱するだろうから)、映画のうねりも出てくるので残念。
陰影の濃い魅力的な映像、印象主義のような影をもちいた演出、猥雑なロケーションの魅力など見どころも多いのですが、先に挙げた回想シーンの多用に加えて、琵琶法師の弾き語りのような音楽、阿部寛の偽物っぽくあまり魅力のない男優と、マイナスポイントも結構目立ち、結果的には、策士策に溺れる的映画になった感がありました。
身を売る女に売られた男
時間の繋ぎ方が独特で玄人好みな空気感を
醸し出していたんでしょうが
わたしには難しかったです...
でも男性社会に屈服して
冷めた諦観を持つ女性が
最後に社会を、男性を出し抜いて
「ユリ(?)」に走ったことは分かりました?
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