パラサイト 半地下の家族のレビュー・感想・評価
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"寄生虫"は悪なのか
ポン・ジュノ監督作品は「グエムル-漢江の怪物-」、「母なる証明」、「スノーピアサー」観賞済。
カンヌ国際映画祭のパルムドールを獲得した事や以前観た監督作も(色々な意味で)印象に残っていたので、公開後早めに観なければと思い観賞。
観賞後、個人的には今の時勢をテーマにしながらエンタメとしてもちゃんとまとまっている、名作と呼ぶに相応しい作品だと思った。
「パラサイト」ってタイトルから、序盤から中盤の展開は笑いと共に予想の範疇ではあったものの、元の家政婦が訪ねてきた辺りからは半地下家族と共に事態に巻き込まれていく様な感覚で加速していくストーリーを味わってた。
収入格差を金持ちは高台の一軒家、貧困にあえぐ主人公一家をトイレよりも低い半地下、家政婦の夫は光も届かぬ地下として、住む場所の"高さ"で象徴的に表す演出は一目でキャラクターの立場が解る素晴らしい演出だった。
貧困層のことを気にかけていない(豪雨の後の奥さんの会話が顕著)高台の一家や、そんな一家と触れ合う機会があるからこそフラストレーションが溜まっていく半地下の父親、そして光も届かない地下(触れ合う機会もない)だからこそ社長を崇拝している家政婦の夫を見ていると自分の立ち位置はどこなのかを考えてしまった。
作中で出てくる"半地下の臭い"って言う表し方も(一応作中で提示はされているものの)各々の想像の中の臭いを想起させる上手い表し方だと思った。
また、最後のシーンが父親との再会で終わるんじゃなく半地下の家で手紙を書くシーンに戻って終わるシーンが、(劇中の父親の言葉を思い返すと)おそらくその"計画"は実現しないんだろうなと思わせる、一度半地下に堕ちると(いくら一家の能力が高くとも)高台まで這い上がるのは難しい、哀しいけれどとても現実的な終わりだと思った。
「ジョーカー」を観た時にも思ったものの、あからさまに社会が悪いと作中で言わずとも、持てる者と持たざる者の関係を描いていく中で自然と問題が浮き上がってくる作品は素晴らしいと思う。
観賞後に調べてみると、北朝鮮からの核攻撃対策の為に防空壕として作られその後住居用に貸し出された"半地下"と、同様の目的で作られた"シェルター"、元々住んでいる場所も住居用に作られたものではない"パラサイト"しているものなのを知って驚いた。
また、地下に住んでいた家政婦の夫が半地下の父親が同じ"台湾カステラ"の店を経営していたのを聞いて呆然としたシーンがあったけれど、観賞時はその意図が解らなかったので観終わった後に調べてみると、"台湾カステラ"が2016~17年頃に韓国で大ヒットしていた中でとあるTV局のドキュメンタリー番組で「大量の食用油や添加物を混ぜていたり、安い粉ミルクや賞味期限切れの生クリームを使っている」と告発してブームが即座に終了。
その後番組の内容がフェイクだったと解るものの、その頃には消費者の興味はすでにゼロで「元台湾カステラ店のオーナー」の失業者が増えた=社会に踊らされたせいで高台の一家になり損ねた共通点だったってことを知って、実際の事件や事件がきっかけで今実際に韓国で起こっていることも舞台装置として組み込んである巧みなストーリーに驚いた。
全員の演技が素晴らしかったものの、個人的には半地下家族の父親役のソン・ガンホさんや妹役のパク・ソダムさん、社長一家の家政婦役のイ・ジョンウンさんが観終わっても印象が未だにこびりついてる位強烈で素晴らしかった。
また、社長一家の姉役のチョン・ジソさんは声優の花澤香菜さんに似ているのでアニメファン、声優ファンの人は変なバイアスが掛かっちゃうかもw
「ジョーカー」では持たざる者を描くことはあったものの、この作品はどちらかだけに寄らず3つの階層を描くことで、階層の高い人は高い人なりに、低い人は低いなりにお互いの理解と問題を深め観賞後に優しくなれる作品に感じられた。
いかにもパルムドールな作品
だいたい、世界的な映画祭の審査員に選ばれると、それだけで浮わついてしまい、なんとか自分の“爪跡”を残せるような作品に賞を与えてしまいがち(こんな作品を選んだオレってカッコイイ✨、みたいな)
なので、カンヌのパルムドール受賞作品はたいてい一般ウケしないものですが……
この作品にイマイチ入り込めないのは、社会的底辺家族のわりに明るく、団結力もあり、身なりもこざっぱりしていて、“悲惨さ”を感じさせないから
それは『ジョーカー』と比較すればよく分かりますよね(ま、あの作品はホアキン・フェニックスが凄すぎるのですが)
ただ、安易なハッピーエンドにせず、格差の負け組から抜け出すには金持ちになるしかない、という終わりかたは、作り手のプロ魂を感じて良いと思いました
ソン・ガホンやっぱりいい
怒りの映画
これは怒りの映画だと思った。
韓国映画らしい娯楽性に富んだブラックコメディで、笑わせたり、ゾクゾクさせたり、泣かせたりで楽しませてくれる。時計回り最高。
前半、コロコロと騙される社長一家に笑わされるが、後半の展開に、彼らは無知で無邪気な支配者の象徴なのだと分かる。まるで「パンがなければケーキを食べればいい」のマリーアントワネットみたいな。結局彼らにとって家政婦も運転手も家庭教師も、自分たちに仕える下民であって、信頼はしても決して友人にはなれないのだ。
怒りの引き金になる例の匂い。鼻をつまむ仕草がスローになった時は思わず笑ってしまったが、あの匂いというのはつまり、貧乏くささなんだろう。どんなに変装しても上手く演じても、消すことのできない貧乏くささ。主人公はそこに絶対的な断絶を感じて怒りが爆発するのだ。刃は、人はいいが紛れもない支配者である社長に向けられるが、そこにあるのは格差を生んだ社会への怒りなんだと思う。
あと、モールス信号の手紙の件は、インターステラーみたいなあり得なさで笑った。
所々に小ネタ
前情報は少ない方が面白い
陽の当たる場所
衝撃、なにこれ、壮絶なかくれんぼ
寝不足状態で21時スタートでみましたが、眠気が一切こず、衝撃的。
序盤のパラサイトの過程には感心し、途中の元家政婦の真実からは、なにこれ状態に。
壮絶なかくれんぼにはハラハラドキドキでした。
半地下に残された希望とは
恥ずかしながら、ポン・ジュノ作品は初観賞。
序盤のコメディから後半のホラーまで、観ている間私の心の中にポン・ジュノ監督が寄生し、予想はことごとく打ち破られ、えもいわれぬ感情と興奮、すぐそこに同じような現実があると言う嫌な余韻が残された。
ただ意外性を出すためだけの捻りではなく、自然に必然的に物語のツイストを生んでいく見事な構成。
そして、序盤に下から見上げる階段のカットを何度も見せてある種のケイパーものとして観客を惹きつけておきながら、クライマックスの俯瞰のカットで一気に観客を引き離す。
キム一家に感情移入して見ていた私は、最後の父親の行動に戦慄を禁じえなかった。
何も理解していなかった。
完全なる地下で富裕層を崇拝する人々に同情を禁じ得ない心と、地上の人々と同じような生々しいプライドを併せ持つ彼らは、足掻いても足掻いても半地下という地獄から抜け出せない…。
その象徴であり、最後のトリガーとなるのがまさかの匂いだとは…!
これがエンターテインメントの真髄だ。
『ブラッククランズマン』『ブラックパンサー』は黒人が受け続けてきた差別を、『万引き家族』『アス』は貧困層を描いてきたように、観客を魅了し、混乱させ、痛烈な問いを投げかける。
半地下の家にさす窓の光は希望、それすらも失った彼は…。
もう今作を見る前には戻れない。この映画は生涯我々の脳裏に寄生〈パラサイト〉し、映画以上に悲惨な現実から目を背けさせてはくれないのだ。
半地下から地上を見る
吉祥寺のレイトで席がかなり埋まっていたので何故こんな人気あるんだと思ったらパルムドール受賞作だったとは。知らずに鑑賞。
韓国の上流階級と底辺の描き分けがエグい。
些細な異物でも上流から下に、そこからさらに下に、底辺に届く頃には抗えない大きな力になって命すら脅かす様はただただ無情としか言えない。
ただ、上には上がいるとも監督は言っている。
結局上に行くにも下に行くにも自分で決めないといけないんだ。
飽きない構成
匂いがするような気がした
韓国の映画はグロテスクな描写が多いので、苦手意識があります。
今回は覚悟を決めての鑑賞。
序盤からテンポの良いストーリー展開と散りばめられた設定の対比にぐんぐんと物語の世界観に入っていけました。
気持ち的には上流階級とシンクロしたいな〜と思っているけど、主人公達までとは行かないにしろ困窮している生活環境に激しく共感してしまう。
中盤を過ぎたあたりから、物語の落としどころに考えを巡らせますが、やはりそこは十八番のグロ描写が。
私は一人で鑑賞していましたが、周りは年配のご夫婦が多く、平日の昼下がりということもあってか夫婦のイチャイチャシーンとラストのグロ描写で周りは凍りついていました。
まぁ、R指定映画だし。
最近の映画では反社会的な思想や行動を主軸とした作品が高く評価されています。
「ジョーカー」も正義やモラルを問う作品でした。
今作では格差社会、生活環境、価値観を問われます。
これを観たあなたの価値観は、作中の誰に共感しましたか?
私は「俺はこの場所に似合ってるか?」と聞いた主人公の台詞に共感しました。
自分が努力や偽らなければならない日常を平気な顔で過ごしている人がいる。
どんなに繕っても埋められない人間としての開きがあるように感じる。
上を見上げればさらなる高みが
下を見ればどこまでも深淵が広がっている
私は今の自分の位置を維持することで精一杯です。
精一杯と思ったら、あとは落ちるだけなのかも知れません。
そんな、なんとも言えない不安を身近に感じる映画でした。
貧富の差、顕著の韓国社会を象徴する作品
想像を裏切られる展開がクセになる
ほぼ家で起きるあれこれが、あれやこれやでこりゃアカデミー賞ノミネートだわ。
脚本の勝利のようでいて、役者の力でもある。映画に感情移入は必要ない...
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