パラサイト 半地下の家族のレビュー・感想・評価
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万引き家族に次ぐ、問題作。
[寄生虫]という名の貧困層がどう生きてどう死んでいくのか、その一部が時系列で語られていく映画。
友の手を借りながら生きていく縄をどうにか掴んだ息子、その縄を伸ばしどうにかして捕まるその家族。
結局友のことも忘れるほど富にのめり込むことになる寄生虫。しかし寄生した先にあるのは自らが生きてきた環境と上級国民との環境の格差。
富を持つものは優雅に暮らしていく中、地下に住む寄生虫は蜜を吸いながら生きながらえる。しかしその先にあるのは地獄にあるのは違いない。
途中、寄生虫同士が寄生先の奪い合いもする。その後寄生虫同士で殺し合い、落ちてきた僅かな富を奪い合う。結局はどちらの寄生虫も殺される。
これは韓国社会だけでなく日本社会、資本主義社会のどこにでも蔓延る格差社会の闇。そして縮図である。
醜くも美しく生きる姿、寄生虫に私たちがsympathyを感じたのは今の日本社会という格差社会に同じように生きるからであろう。
展開と描写、Wの衝撃
ネタバレ厳禁、その意味に納得。この映画のあらすじなんて全く書いていないようなものじゃないか!笑。
見事なまでに描かれた伏線、秘密が明らかになったときにはもう最後。ノンストップで駆け抜けていく怒涛の展開に脳内はパニック寸前!その中でも、皮肉ある描写や社会的背景を含ませているのも納得。韓国から見た世界の描き方が、韓国映画は初めてだけあり、新鮮に写った。
映画で観てこその衝撃、この癖になる感じ、危なすぎる…。
スノーピアサーと続き物として観る
今作の監督のポン・ジュノ監督は、2013年に撮った「スノーピアサー」で当時の韓国の右派政権によりブラックリスト入りを食い、以後迫害を受けてきたらしい。
そのため、2015年、2016年はフィルモグラフィーに空白がある。
2017年に発表したオクジャでパルムドールを争ったものの、フランスでの上映が不確定なため、逃してしまった。
その2年後、パラサイトでようやくパルムドールを手に入れる。
その波乱の始まりとなった「スノーピアサー」とはどんな物語だったのだろうか?
韓国の国家情報院(そんな部署がある事自体が異常だとは思うが)が報告していた内容では「市場経済を否定し、抵抗運動を煽る」との事だったが、個人的には、既存概念を打ち破り、自由を手に入れる名作だったと思う。
その「突き進んだ市場経済」が生み出した格差社会での2つの家族(+1)のストーリーが今作。
ギテク家族は悪びれもなく、ガードが固そうな割に、急所では全く無謀な家族に徐々に徐々に浸透していくわけだが、染み付いた体臭を軽蔑する富裕家族の浅ましい本質に気づき、その不協和音が最後に炸裂する。
長女の死の彼女の死際の吐き台詞が象徴的だった。
物語をしっとりと時に激しく綴りながら最後はほんのりと希望に終わるのは監督の優しさなのだろう。
迫害を受けながら、この作品を仕上げた監督の精神力は素晴らしい。
2020/2/10追記
アカデミー賞、3部門、しかも作品賞取りましたね。
作品の舞台裏を考えるとしみじみします。
P.s. 北のアナウンサーのモノマネが炸裂する家政婦の役者さん、僕の好きな「焼肉ドラゴン」のお母さんだったぁ〜。この感動の再会を分かち合える方と飲みに行きたいです。大阪の焼肉屋で。
テンポがかなり良くて、熱中させることに長けた作品。コメディ感で楽し...
テンポがかなり良くて、熱中させることに長けた作品。コメディ感で楽しませながら、社会メッセージ性を持たせることが世の中の流れなんだろうな。最近コメディが増えた気がする。それが映画である必要性にも繋げてるのかも。あとカットが綺麗。映画館の広い絵で見せてるのとかなり合っている。特にリビングと庭のシーン。カットの取り方がコメディではない、なんとなくの緊張感を生み出している。綺麗なシーンは緊張感を生むのか。。
半地下という存在を初めて知った。日本で言うと万引家族的な内容と被るかな。自分が認識していたより、韓国って格差が激しいのかな。確かにグローバルをメインにした時に、教育が足りず国内需要が限定的な時に職は圧倒的に足りなくなる。
今回重要なのは、悪者は社会システムということ。それにより、1つ1つの異常行動に反感だけでなく同情を持たせる。シーンのなかにもお父さんが「1番破綻しない計画は無計画」というセリフ。希望が見出せない世の中で、モラルのない行動に対して本当に責められるのか。
クレイジーコリアン
周りが見に行っているので見てみた。
この作品は、面白いとかではなく韓国を表現しているような感じ。
貧富の差を利用してこういう暮らしも有り得る、というお話。まぁ世界どこでも有り得そうな話だけれど、日本映画でもハリウッドでも売れなかっただろうな〜と思った。
前半は、まるでコメディ。パラサイトってこういう意味なのか?
と見ていたけれど後半に行くにつれておどろおどろしくなるのは韓国映画っぽくて好きだった。
お母さんだけ、ただ家政婦になって終わってしまった?感じがしたから、お母さんが裕福家族にパラサイトするシーンももう少しあってもよかったかなぁ。
匂いが…って言うシーンあったけど、いやそこはウイスキーのほうが臭うやろ!と思ってしまった笑
面白く、悲しい、苦いものが残る
前半、お金持ちの家に1人ずつ入り込んでいくところはとっても面白い、ワクワクして観てしまうけど、不穏さがだんだん増していく。貧乏を、臭いで表現するところは、残酷だ・・・。前の女中さんが帰ってきてからホラーのようになってくる、でももっとホラーなのかと思ったらそうでもなかった。棚を動かす姿勢にギョッとしたけど、可笑しみもあって。
貧しいもの同士、結託するのではなくて殺し合うというのは悲しい。(映画無駄話で町山智浩さんもそんなようなことを言っていた。本当なら貧しいもの同士が手を取って金持ちに反撃するべきなのだ、みたいなことを。山本太郎さんも演説でヤジを飛ばされたとき相手に向かって同じようなことを言っていたなと思い出した。)
最後、息子の希望が、悲しいと感じてしまった。そうはならないだろうと思ってしまった。そう思ってしまったことに対してとても苦い後味が残った。
悲鳴
自虐にしようか悲鳴にしようか迷った。
一言で言うなら胸糞悪い映画だ。
ただ、傍らにおいた缶コーヒーに一口も口をつけなかった。そおいう引力を有した作品だった。
のっけからエゲツない描写が続く。韓国の貧困層って設定なのだけれど、どれくらい現実が投影されているのか、日本に住む俺には分からない。ただ、この家族はこの暮らしのスペシャリストなのだと言う事は伝わってきた。
物語は些細なキッカケでゴロゴロと転がり出すのだけれど、不思議な陰と陽を感じてた。
どちらが勝者なんだろう、と。
社会的成功を収めた富裕層。
彼らを騙し、まんまと報酬をせしめる者達。題名の「パラサイト」が分かりやすい形で説明されていく。
もうこの辺りでは、何が正しいのか分からなくなってくる。寄生していく家族達に嫌悪感を抱いてるのは間違いないのだけれど、騙される方にも問題はあるとも思う。むしろ、こいつら強いなぁと感心までしてしまう。
寄生というと聞こえは悪いが、人は皆何かには依存してる。彼らは人ん家の財布に依存してる稀有な例だと思われる。
そうなのだ。寄生出来てる事に感謝はするものの、全く悪びれないのだ。
自分達の立場を分かってるというか、達観してるというか…身の丈に有り余るこの幸運な出来事に感謝すらしているようにも見えて、更なる強欲を発揮する事もなかった。
妬みや嫉みを抱くこともない。
かわりに、自分達よりも下層の人間達に出会った。自分達よりも醜い人間に。
この出来事に前後して「匂い」って言う要素がピックアップされる。
自分から発せられもの、まとわりつくもの、拭いきれないものって意味あいだろうか?
結果、それに関連した事で宿主を衝動的に殺害してしまう。
彼らより下層の者と出会った事でもたらされたものは蔑みというようなもので、それを自分達が抱いた事で、自分達に向けられていた視線や状況を克明に認識したかのようだった。
ホント強烈な作品でよく出来た脚本だと思う。「金があったら私も優しくなれるよ」とか痛烈な嫌味にも思う。
このレビューのタイトルを「自虐」にしようかと思ったのは、こんな話を韓国の監督が韓国の話として創作した点だ。
どこまでが現実なのかは分からないけれど、最下層から見た視点をここまであけすけになのか、赤裸々になのか、大胆になのかはさておき、こんな話に仕立ててしまえるのだ。
年頃の娘が、大雨によって便器から噴出する汚水を浴びながら開き直って、便座に座ってたり出来るか?もう許容量を超えてる。まともな神経でいたら発狂するような環境だ。
ある意味狂わされてはいるのだろうけど、自分の力ではどおしようも出来ない。
よくぞここまで、自国の事をこき下ろせたなと思うのだけど、終盤になるにつれ「悲鳴」という言葉が過ぎる。
別に韓国の話でもない。
声を上げれない人達からの悲鳴にも似た訴えに思えてきた。作中にとてつもなく長い階段が出てくる。地の底まで続いてるんじゃなかろうかと思える程、長く1人分の幅しかないような階段だ。彼らはそこを降りて逃げてくる。そこを通る他ないのだろうと思う。逃げた先には廃棄物が山をなす場所で、帰路には電線が蜘蛛の巣のように張り巡らされ囚われたなら抜け出すのは困難に思える。その場所の更に下にある半地下の我が家には汚水が溢れ返ってる。
…なんて凄惨なメッセージなのだろうか?
どこまで行っても違う地獄が待ってるかのようだ。
物語のラストは、息子が社会的に成功を収め父親が隠れ住む地下室があるあの家を購入し、何年も会えなかった父親と再会するって幕引きだった。
ああ、そおいう希望を残すのかと。
到底実現できるような境遇でもないのだけど、人生何が起こるかは分からないしな、と。
成功した息子は垢抜けてて、これが同じ役者なのかと韓国の俳優達の底力を垣間見たりするのだけれど、それは息子が半地下の家で漠然と描いた空想だった。
希望など欠片もない。
胸糞悪い映画だった。
だけどパルムドールも納得の見事な作品であった。
前評判が良かったので
ハードル上げすぎたのか、もうひとつでした。
いや、ハラハラしたり、決して面白くないわけではなかったのだけど…
ちなみに、上級家族が抱える秘密のほうが興味あったなぁ。ただの幸せな家族ではないよね。
思い違いでしたらすみません!
めちゃくちゃ面白い
これは絶対ネタバレを見ないで見た方がいいから詳しいことは書かないけど、冒頭からは予想できない展開が次々に起きてずっと面白い。
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とりあえず言えるのは、パク家が出てきたら色んなところをよく注意して見てると後に繋がる伏線がたくさん散りばめられてると思う。ぜひ気を抜かずに。
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この映画に出てくるキム一家が住んでるような半地下の家は元々北朝鮮の攻撃に備えたお金持ちの人用の核シェルターだったらしく、当然だけど人が住む用には作られてない。
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水圧が足らないからトイレの位置は高いし、ゴキブリは大量にいるし、窓の目線は酔っぱらいが立ちションするのがモロに見える目線だし。
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劇中で匂いがキーワード出でくるんだけど、その匂いが画面から伝わってくるんだよねぇ。まさに便器以下の生活。
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そんなに社会派じゃなかった。
期待して観に行ったのですが、けっこう格差が誇張されすぎている気がしました。
たぶん貧困側だけで視点だけで描かれているからなのかと、全体的に薄っぺらく感じたのでしょう。
もっと格差が生まれる根源について描いてほしかったなぁと思います。
「これだから映画はやめられない」
今年12本目。
ポン・ジュノ監督は「グエムル 漢江の怪物」などのように「ジャンルの監督」ですね。
家政婦のイ・ジョンウンは「焼き肉ドラゴン」でお母さん役で出ていました。今作でかなりインパクトのあるシーンが一箇所ありました。
そして、チョ・ヨジョン、パク・ソダム、チョン・ジソが美し過ぎる。
3人ファンになってしまいました。
映画はやめられないと感じたのは「ジョーカー」と今作での人生2度目でした。
えげつないほど一貫した連帯感が素晴らしい詐欺家族
キム家の息子も娘もかなり才能に富んでおり、学力もそこそこある。だからこそ、前半はコミカルな躍動感に溢れ、楽しい。
便器から逆流する汚水に浸かり、体育館で雑魚寝する半地下の「台風家族」。
におい smell は格差の象徴として巧みに使われている。じわじわと効いてくる。そして、ついに殺意に直結するに至る。とてもセレブパーティーを手伝うどころの状況ではなく、キム家の息子も超くさいはずだが、パク家の令嬢はおかまいなしで、キスに夢中なところや頭からの流血量は即死レベルなのに助かる点に違和感を強く感じ、後半は急ぎ過ぎた印象を受けた。
あの岩石はなんの象徴だったのか?
どうしても、カンヌ国際映画祭のパルムドール賞繋がりで万引き家族と比べてしまう。アジアの端の国の貧困を題材にした映画は欧米からすれば、気楽な娯楽映画なのかもしれないが、また再び戦前の貧しさに両国が戻って、どっぷり浸かるのだけは勘弁してほしい。
匂いのちがい
だれも悪気はなかった
…とただ思う。
地上には地上の、
半地下には半地下の、
地下には地下の、
それぞれ染み付いた匂いがある。
自分以外の匂いを知らないとそれらが交わったとき、とんでもない爆発を起こす。
見えている世界に慣れてはいけない。
属しているコミュニティの常識だけを信じてはいけない。
人は理解できないものを排除する。
受けとめる覚悟がないなら交わらなければいい。
貧富の差?身分の違い?ジェンダーも多様性も?
素面のときに見る酔っ払いだってそうかもしれない。
でもそうやって避けてきた先に生まれるのは無関心か。
排除でも無関心でもなく、爆発しない共生を私は知りたい。
ものすごぉぉぉぉぉぉく目が離せない
これは久しぶりに最初から最後まで目が離せなかった!
ストーリー構成が物凄く素晴らしいと感じました。
喜怒哀楽全てが詰まった映画。
貧困生活と上流家庭の差が物凄く伝わってきました。
みんなごく当たり前のように過ごしているのにこんなにも愛の形があるのだなと伝わってきました。
ストーリー的に後半怖く感じるかもしれませんがそれはホラーの怖さではなく人間の感情の怖さでした。
愛ある殺し。
素晴らしくて震えました。
実は今日ポイントがたまっていたので無料で鑑賞したのですが、これはお金を払って見ても後悔はしない作品だと思いました。
終わり方も最高でした。
主題歌もすぐにびびっときたので帰りダウンロードさせて戴きました!
久しぶりに素晴らしい作品をありがとうございました。
上手くは書けないのですが本当に素晴らしいんです。
残り0.5点つけなかったのは
飛び散ったガラスとか雑に片付けたのに家族が誰も気づかなかったので不思議に思ったからですw
ソファとかにも飲み物とか飛び散ってそうだなぁと思って、、お父さん一回がしゃんと飛び散らしてたからw
細かくてすいませんw
でも本当見てよかったです。
「ゴギブリ」
「ゴギブリ」
この作品の重要なキーワードのひとつであると思う。
思えば、冒頭からたくさんのシーンでその伏線が散りばめられていた。特にゴギブリというキーワードが重要だと感じたのは、パク夫妻がベッドで身を重ねるシーンだ。大雨の夜の日、何を考えることもなく夫婦の愛を育む2人。その目の前にある机の下には、3人の人間が息を潜めているというのに。2人が眠りについたことを確認すると、這いつくばって豪邸を脱出。その姿はまるで人間の目を盗み家の中を動き回るゴギブリのようだ。更に、豪邸の地下に住むホームレスの存在。パク一家は、越してきて一度も彼の存在に気付くことはなかった。ひっそりと生きる彼の姿もまた、ゴキブリと重ねて見ることができるのだ。
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