「一筋縄ではいかない曲者作品」パラサイト 半地下の家族 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
一筋縄ではいかない曲者作品
娯楽性、社会性、風刺、狂気、等々、様々な顔を見せながら、最後は収まる所に収まるという離れ業のような斬新な展開で、心に刺さる作品である。要素が多過ぎて、面白いとかつまらないとか、本作を一言で語ることは難しい。
カンヌ映画祭、アメリカ・アカデミー賞を制した作品ということで、覚悟して鑑賞した。予想通り、個性的で、一筋縄ではいかない曲者作品だった。鑑賞力が必要な作品であり、万人が楽しめる作品ではないが、格差社会を従来作とは異なる視点で捉えた意欲作である。
本作は韓国の貧困家族の物語。彼らは職に就けず、ギリギリの生活をしていた。ある日、長男の富裕階級の友人が留学することになり、家庭教師の代役を依頼される。長男は、経歴を偽り、家庭教師先の母親に巧みに取り入り、富裕階級家庭の家庭教師となる。家庭教師を起点として、彼らは富裕家族との接点を徐々に増やしていくのだが・・・。
題名通り、富裕家族との接点を増やしていく前半は、胡散臭さはあるが、貧困家族の能力は本物なので、サクセスストーリー風の、コミカルで小気味よい展開で作品世界に入り込むことができて痛快だった。しかし、世界を席巻した作品がこのままいくわけはないだろう、後半で本作の本性が現れるだろうという予感がした。
予想通り、後半、接点の増加がピークに達した時、作風が一転する。シリアスな展開になっていく。さらに、予想外の足し算もあり、作品の軌道が見え難くなる。終盤で事態は決定的な段階を迎え終息する。
前半は、格差社会に挑んだ貧困家族の挑戦だった。攻めの章だった。一転して、後半は、守りの章となる。貧困から這い上がり経済的に豊かになった者にとって、貧困に戻ることは耐え難い苦痛となる。だから、彼らは、形振り構わず豊かさを死守しようとする。終盤の展開が象徴的である。
格差社会の底辺で藻掻き続ける者達の悲哀を描いた作品は多い。本作は、その悲哀を斬新な設定で捉えた怪作である。
この作品は、私が見た、数少ない韓国映画です。
ドラマはけっこう目にしますけどね。
ポン・ジュノ作品は、ほか2作しか見てませんが、やはり共通する雰囲気あると思いました。
機会があれば全作品見ていきたいです。
共感、フォロー、コメントありがとうございます。
10年もレビュー書いてらっしゃるとは、すごいですね。
よくぞ映画.comへいらっしゃいました。
なんて、私は人に勧めるようなレビューは書いておりませんが。
映画日記程度ですが、のぞいていただけたら幸いです。
よろしくお願いします。